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第38話 スキルとスキルの声と種族特性スキルと職業系スキル

 強めの魔物と戦い職業経験値を得たので、転職出来る様になりました。

 魔大狼を含む魔狼達30匹を倒したら、早くも神官でレベル上限のLV30になった。


 次、何に転職するか考えていなかったので、隠形等で姿を隠し少し悩んだが、魔法戦士に転職を選択した。


 魔法戦士技は、武器による近接戦闘と魔法戦闘の両方を使った戦闘について教えてくれるはず。


 それに期待する理由だけど、実は魔法使い技と戦士技は、『離れて魔法をつかえ』、『相手の苦手な位置取りをして武器で攻撃しろ』等と相反する指示・指導をしてきた事が多かった。


 しかし、魔法戦と近接戦の両方を前提としている魔法戦士なら、これらの声(指示・指導)が統合されるのでは、と思ったから。


 結論を言うと、それは思った通りになった。


 まあ、両方指示してくるのは同じなのだけど、大きな声で『これを使え』及び『これを使え』から、冷静に『どちらかを使え』や『こちらが有効だ』や『近接戦闘を選択するなら』や『武器を使いながら魔法も使うべき』と言った指示・指導に変わった感じだろう。


 まあ、訓練中に受ける指導ならいいんだけど、指示って戦闘中に受けるんだよね。


 スキルの指示が分かれても強い意志を持って無視すればよいだけなのだけど、やはり相反する指示が複数あったり、距離を取り魔法で倒すと決めているのに未だ『武器を手にして接近しろ』と言った指示があるのは五月蠅くはあったから。


 勿論スキルからの指示機能をOFFにしておけば、何も言って来ないのだけど、それはそれで予期せぬ戦いでスキルからの指示が必要になったら困るから、やはりスキルはONにしておくべきだし。


 まあ、魔法戦士技が戦士技と魔法使い技スキルの間を取り持つのか、上位スキルとして声を統合してくれているのかは分からないけど、集中しているのに『今それを言うのかよ』とスキルの指示に邪魔されるみたいな事もあったから、それが無くなるのは良かったのだろう。


 あれ。


 だから、スキルが喧嘩するって言って、様々な職業を経験する人が少ないのか。


 今後も、他人への指導も考えると、この辺をもう少し確認しておくべきかな。


 次に、魔法戦士で取得できるスキルは、必中撃。


 必中と言いながら必ず当たる訳では無いらしいが、このスキルを使った攻撃は魔力を使った補正により、攻撃が当たり易くなるらしい。


 しかも、魔法戦士で取得するからか、物理攻撃だけでなく魔法攻撃も当たる補正が掛かるようだ。


 先程、魔大狼に火矢や魔力矢を防がれたり避けられたりしたので、このスキルは必要かもと思ったのも魔法戦士になった理由かな。


 ただ、任意発動のスキルなので、使うのを忘れそうだけどね。



 転職を終えて、隠形等を再度解除して魔物を誘いながら都市に向かう。


 魔法戦士になるとスキルの声(指示・指導)が統合されるかどうかは、この時に確認した。


 その戦闘以外の戦闘についてだけど。


 空を飛んでいて俺を見つけたと思われる魔鷹に、5度ほど襲われ撃退した。


 それが、色々なパターンで。


 5匹全部が、後ろから音や気配を消した滑空で襲ってくる形だったのだけど。


 気配探索及び危機探索といった探索系でも察知でも感知できた為、射程内に入った処でさっくりと魔力矢で首を落としたパターン。


 探索系では感知できなかったが、察知で感知出来たので、ギリギリ魔力矢で撃ち落としたパターン。


 探索系でも察知でも感知できず、俺を襲う寸前で魔力障壁にぶちあって地上に落ちた魔鷹を魔力矢で倒したパターン3回。


 1匹だけ冒険者ギルドへ売る事にして、他は戦利品処理スキルを使うと、魔鷹の魔石E4個、魔鷹の爪24、魔鷹の羽95羽。


 魔鷹が感知できない事が怖い事態だと感じたので、街道近くに戻ってきた後、無い事に偽装、秘匿、隠形を自分にかけて、少知に聞いてみたのだけど。


 「今日、魔鷹に襲われたとき、探索でも察知でも感知できなかったのは何故?」


 【種族特性及び隠形スキル等により、隠密性が高い個体だからです】


 「種族特性?」


 【種族特性スキルです】


 「魔鷹の種族特性スキルと言うと?」


 【軽量化、視覚強化、秘匿、隠形等、個体によって多少違う複数の力を内包したスキルです】


 なんだ、それ?


 「人間の種族特性スキルは?」


 【職業系スキルとも呼ばれる戦士技や斥候技スキル等が複数の力を内包している事から、種族特性スキルに相当すると言われています。

 ただし、その力は種族特性スキルより弱いと分析されています】


 「人族は不利って事?」


 【いいえ】


 「何故、不利では無いの?」


 【人族は、戦士技等のスキルを複数所持できます。

  更に、苦手な特性が少ない為に魔物に比べ取得できないスキルが少なく、有利不利を比較できない為です】


 「なるほどね。

  魔鷹は、種族特性の中に秘匿と隠形の効果がある上に、それとは別に秘匿や隠形スキルを持つ個体も居るから、それで隠れられるんだ」


 【はい】


 「それって、俺の秘匿より凄い効果が出るよね」


 と探索でも察知でも感知できなかった魔鷹を思い出しながら聞いてみると。


 【種族特性は、複数の力を内包している事もあり、通常のスキルより力は弱い為、単純に比較はできません】


 そっか。


 スキルの相乗効果か。


 俺も、偽装・秘匿・隠形による複数の効果で隠れているのだから、絶対に不利とは言えないのか。


 という事で、その辺を少知に聞いたのだけど。


 探索・察知等の感知する系のスキルと秘匿・隠形等の隠れる系のスキルのどちらの効果が優先されると言う問題がある。


 これは、複数のスキルを総合した上で、効果の強い方が勝ち効果が発生し、負けた方は効果が発生しない又は騙されるらしい。


 どちらが勝つかについては、種族特性や似た効果のあるスキル等の存在、スキルのランクやレベルと言った複数の要素があるので、簡単には判断できないとの事。


 なので、これで絶対に見つからないとか、これで絶対に見つけられるとか、簡単に断言できないと言って良いようだ。


 まあ、地道にスキルの経験値稼ぎ・レベルアップを頑張るしかないと言う結論になるのだけどね。


 だけど、偽装、秘匿、隠形と言った、似た事が出来るスキルを複数取得した事は良かったようだ。


 とは言っても、隠すのは3つ又は2つの相乗効果があるけど、名称・数値を変えて表示するとか出来るのは偽装スキルだけなんだよな。


 気をつけないと。


 そんな事を考えていると、都市の門が見えてきた。

 探索や察知でも感知できない魔鷹は厄介そうな魔物ですね。

 他の冒険者や街の住人は無事なのでしょうか。

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