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第32話 裁縫と反省

 戦いを終えて、戦利品を売って、宿を取りに向かう様です。

 死にかけたのだから、今後そう言う事態を減らす為に反省かな。

 少知少能スキルの少知に、安全で衛生的で1人部屋で一泊5千GAU程度の宿を教わる。


 1人部屋が一晩3000GAUの宿は、部屋は狭く、壁は薄く、今一つ衛生状態が悪く、食事の取り置きとかしてくれないサービスの悪い宿だったからね。


 対象は3件あったけど、今日は冒険者ギルドから一番近い宿に向かってみる。


 中年の狼人族がやっている宿屋に前払いで5000GAU払う。


 まだ夕方になっていないけど、早めに部屋に入った。


 理由は、革鎧がザックリ行っているから、それを何とかする為に。


 幸い、俺は裁縫スキルを持っている。


 針もハサミも糸も手に入れた。


 糸は値段が高かったので、あまり買っていない。


 直ぐに足りなくなりそうで不安だけどね。


 まずは、革鎧の下に来ていた服をこれ以上破れない様に魔蜘蛛の糸で数か所縫っておく。


 次は、皮の加工だ。


 裁縫スキルは、皮を鞣したり薬草由来の薬品等に漬けたりする事で、丈夫になったりすると言うのだけど。


 面倒なので全て裁縫スキルとMP(管理下にある魔力)で加工する事に。


 材料は、魔イノシシの皮がある。


 魔イノシシの皮はこれからも手に入るだろうし、試しに造るのはこれで良いだろう。


 亜空間収納から取り出して、床に置いてから裁縫スキル起動し皮のの鞣し作業と意識すると、スキルがMPを消費して作業を行う、と通知があり作業が始まる。


 皮の質が変わり始め、あっ、毛が部屋を汚すと意識したら、毛の処理と廃棄もしてくれる。


 うん。


 それなりにMPを使うね。


 でも、数十秒で皮の処理が終わり、防具用に加工した魔イノシシの硬革になった。


 便利すぎる裁縫スキル。


 スキルに革鎧を造りたいと伝えるとウィンドウが表示され、型が数えきれない程提示される。


 条件を指示すれば提示する数が減るとスキルからの知らせがあったので、『実用性が高い』、『目立たない』、「ありふれた型」、『魔イノシシの硬革で作成』等の条件を入れて、数十まで候補を絞り、選んだ種類の革鎧に、更に幾つか指定もしておく。


 やっぱり、生産系スキルも頼りになる。


 それをスキルが教えてくれる型の通り切り、縫い合わせ、魔力を使って織り目を入れたり、強化したり、張り合わせたり、変形させたり。


 スキルとMPの消費で一切手作業無しでも可能な作業だったけど、切るのと縫うのは試しに手作業で行った。


 魔力から火を作ったりする魔法スキルなんかも凄いけど、生産系のスキルもすごいな。


 頭、上半身、下半身、両手、両足の7つが完成。


 結構隙間が多い気がするけど通気性も必要だし、可動部分は柔らかくしたとしても行動を阻害しない様にすると、こうなるらしい。


 そう言う部分は、丈夫なインナーを着たり裁縫スキルで強度を上げた麻みたいな生地でカバーするのが良いらしいが、今は無い。


 他にも、魔物の骨や金属で革鎧を部分的に強化する方法もあるようだけど、今は良いだろう。


 手袋は、感覚が指の動きを妨げない様に革を薄めに。


 ブーツの底は、戦士技スキルが教えてくれた踏ん張れるタイプを選んだので、スパイクとなる様に固まった革が十数個突起しているし、模様の様な凹みもある。


 これなら、靴底が滑らない分、これで走ればスピードも出せるだろう。


 斥候技スキルは、足音がしないタイプを進めてくれたんだけど、今回はこちらをある程度妥協した。


 さて、これで魔獣(魔イノシシ)の全身革鎧が完成した。


 防御力を上げる為に全身鎧にしたけど、今まで着ていた軽装タイプの方が狩りには向いているかな。


 と残った硬革で造ってみる。


 再び裁縫スキルの指示通りに作業をし、革を少し残して軽装タイプの作成も終える。


 どちらも、収納に入れて、晩御飯を食べに食堂へ向かった。



 あまりおいしくはない、魔イノシシの肉のステーキと野菜のスープと硬いパンと言う夕食を取り、ベッドの上で今日の反省かな。


 と言っても、分からない事も多いけどね。


 あの魔大カマキリは、何だったのだろうか。


 俺がやっている、『隠れて、見つけて、強力な一撃で倒す』をやり返された感じだ。


 見つけられず、隠れられず、奇襲を受けて死にかけた。


 気配探索と危機探索は常時していた。


 それに引っ掛からなかった。


 探索系より感知能力が高いはずの察知も、攻撃を受けてから反応した。


 革の鎧は、ほぼ役に立たず、胸と背中をザックリ斬られ、あばらの一部は斬られていたようだ。


 ……。


 気配探索と危機探索と察知は、まだレベルが10ではない。


 少知少能を使いLV1で取得したからだ。


 LV1で取得したスキルでも、あっという間にLV10になったモノもあるが、探索系と察知スキルは、そう言うスキルでは無かった。


 まあ、知らなかったし、調べる時間も無かったからしょうがないのだろうけど、生き残るためには、この3つのスキルの力も高めておくべきだった。


 少知少能の使用可能回数に余裕が出来たら、他の探索系スキルの取得もした方が安定するかもしれないし、それも考えておこう。


 後は、観察力も必要だったな。


 あの場所は、野生の果物が多かった。


 他の場所に比べると異常と言っていいくらいに。


 木になっている果物は、人族だけが食べるのではなく雑食の魔物も食べる。


 なのに、腐りかけの果物まであった。


 あれは、肉食の魔大カマキリがあの場所を縄張りにしていたから、そうなっていたと推測できる。


 しかも、武器とかが地上に落ちていたけど、あれは奴に食われた連中の装備品だろう。


 つまり、それで異常だと気が付いていたら、あんな目には合わずに済んだかもしれない。


 後は、現状LV10になっている鑑定スキルで木々を鑑定していれば見つけられた可能性もあるのか。


 俺が奇襲で格上の魔物すら倒しまくっているのだから、奇襲を受けない様にスキルを鍛える又は新しい力を得る事も考えておかないと。


 次は、防御力アップと回復手段か。


 防御力は、とりあえず自作の魔イノシシの革鎧でアップはした。


 でも、金属鎧や金属と革の組み合わせた鎧と比べると、まだまだだろう。


 しかし、金属の加工には鍛冶スキルが必要になるだろう。


 まあ、型に溶かした金属を流し込んで作る鋳造くらいなら、採掘士技スキルでも出来ない事は無いのだけど、鍛冶スキルでないと金属を無理やり魔力で形成するといったことは出来ないから、まず金属を溶かす炉も手に入れないと駄目だし。


 現状は、もっと良い皮を手に入れる方が現実的か。


 まあ、一つしか持っていないから使っていない魔虎の皮で造れば良い物が出来るだろうけど、まだ裁縫スキルのレベルが低いから、良過ぎる材料はあまり使いたくない。


 回復手段は、回復魔法を手に入れたことにより、これを鍛え続ければ、かなり改善するだろう。


 でも、他に薬師の作る魔生薬、魔法薬師の作る魔法薬による回復がある。


 それも意識しておいた方が良いだろう。


 幸い原料となる薬草類は数百単位で持っているから。



 次は、冷静さ、応用力の無さの反省かな。


 魔大カマキリにザックリ斬られた。


 正確には鋏まれて切られただけど。


 でも、その傷は少能でも治療できたけど、死にかける程の重症だったのに、それに気が付かなかった。


 それだけではない。


 信者の祈願スキルでも、失敗は多いけど回復・治療は可能だ。


 しかも、俺は魔力倍化スキルの力でMP(支配下の魔力)が多く、魔力節減のスキルを持っているから、少々失敗しても問題はない。


 だから祈願スキルで回復を祈ったって良かった。


 しかし、あの時はその発想が出て来なかった。


 死にかけてパニックを起こしている人間や、出血多量で意識がもうろうとしている人間に、余裕を持って判断が出来るかと言われると、出来ないのだろう。


 でも、あの状態でも事前に意識していたから、神官に転職しLV21前後で取得する回復魔法で回復と言う事は出来た。


 だから、事前に他の方法も意識していたら他の方法も選択出来たはずだ。


 シッカリと予定を立て、現状を把握し、失敗について反省する。


 これを繰り返しておくべきなのだろう。

 毎日反省したり、現状を把握したり、先の事を考えておくと言う習慣を身に付ける事にしたようです。

 それで、死なずに済めばいいですが。

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