第31話 魔物の名称とランク
カマキリ系の魔物に奇襲を受けて死にそうになりました。
色々と不味い対応をしても生き残る事は出来ましたが。
反省する為に、事実を確認するようです。
とりあえず、出血で意識が朦朧とする様な事は無くなったので、戦後処理だ。
戦利品処理により戦利品だけとなった魔物の魔石を改めて鑑定すると、魔大カマキリの魔石Dだそうだ。
『魔』の文字が付くカマキリだから、魔物化したカマキリだ。
しかも、『大』が付いている。
この世界の理では、魔物化した生物には、『魔』の文字が付く。
その『魔』付きの魔物が、更に進化して更なる力を身に付けると、もう一文字付く。
そのもう一文字は、『大』、『牙』、『角』、『毒』、『酸』、『邪』、『火・水・土・風』等と色々とあるが、そうなると当該魔物の強さのランクも1上がる事が殆どで、討伐の難易度はかなり上がる。
その為、その名称を確認した場合、注意すべき魔物と少知スキルから説明があった。
つまり、あの魔カマキリは進化して強くなった個体だったわけだ。
いや。
弱い魔物にとっては生存競争のきつそうな世界なのだから、最初から進化した魔大カマキリとして発生した可能性の方が高いのか。
ちなみに、『魔』の付いていない魔物の場合、ランクが上がると『ハイ』とか『グレーター』とか名称に付く場合が多いそうだ。
まあ、世界の理か神が決めているのだろうから一定の決まりはあるようだけど、毒ゴブリンとか、ゴブリンシャーマンとかゴブリンジェネラルとか、例外も色々あるので参考程度の知識らしいけど。
そんな事も思い出しながら、危なかったなと思いつつ試しに戦利品処理スキルで処理された戦利品を改めて確認すると、魔大カマキリの鎌2つと、魔大カマキリの魔石D。
大きな鳥とゴブリンの方に行き、こちらも戦利品処理スキルを使う。
ゴブリンの魔石F8個、青銅の槍3、鉄の剣2、こん棒3、魔鷹の魔石D、魔鷹の爪6個、魔鷹の羽24羽。
「ん。魔鷹の魔石がDなのか」
そう疑問を持ちつつ呟くと。
【一般的にはEランクの魔物です】
と、俺の疑念に少知が反応する。
「どういう事?」
【……】
曖昧過ぎるのかよ、と思いつつ、
「魔物のランクについて概要を説明して」
と説明を求めると反応があった。
【各魔物には、ランクが設定されていてG、F、E、D、C、B、A、その上にS、SS、SSSの10の区分があります。
そして、各魔物にそのランクが割り振られているのですが、それは絶対ではありません】
「そうなんだ」
【各魔物がスキルと言う形で強い力を得ている場合がありますし、魔物にもレベルがあります。
そのスキルの力や高いレベルになった事による力により、魔物の核となる魔石のランクが上がっている魔物も多く観測されています】
は~。厄介そうだな。
【その様な事実がある為、魔物の名称だけで強さを判断するのは危険だとされていますが、強力なスキルと言う力を得た個体は特異種と名称が付いたり、進化した魔物については名称が多少変更されたりします】
「ああ。さっき確認した『大』とか『ハイ』とかつく進化種のパターンと、『特異種』と名称が付くパターンがあるのか」
【それに加えて、レベルが上がり強くなった個体は名称の追加変更がなされておらず、名称で強さが分からない怖い魔物と恐れられており、強化種とも呼ばれます】
「ああ。こいつは強化種なんだ」
【はい】
なるほど。強化種かどうかは少知には分かるらしい。
まあ、鑑定により魔物のレベルが分かるようになれば、解かる程度の事だからか。
さて、もっと経験値が欲しいけど、まだ出血の所為か体が重いし、もう都市に帰るか。
どうしようか迷ったので、帰りながらの狩りにする事に。
と言っても来る時と同じ地域を通るので、獲物には会えず都市へ。
門では、壊れた防具を壊れていないように偽装して入る。
中古の槍等を買った武器屋に行き、戦利品の武器防具を売る。
青銅の剣4本、青銅の槍3本、鉄の剣6本、鉄の槍5本、鉄の盾4個、こん棒16本、革の鎧4セットは10360GAUになったけど。
「随分安いですね」
と、表情分析スキルを使いながら聞いてみたのだけど。
「ゴブリンが発生時に持っている武器は、品質が悪くてね。
溶かして造り直しても、純粋な鉄や青銅としては量が減るし、こんなものなんだよ」
と教えてくれる。
表情分析スキルで、それが本当だと分かったので。
「なるほど。そうなんですね」
と、納得し相手に不快感を与えない様に話術スキルも使う。
「獲物の解体用の小剣かナイフが欲しいのだけど」と言うと、
中古の鉄の小剣と研ぎ石を1万GAUで売ってくれた。
ああ。お金ってたまらないのね。
そう思いながら冒険者ギルドへ。
まだ、少し時間が早いので人は多くない。
依頼の掲示版から、以前これなら今すぐ達成できると確認した依頼表を取って受付に。
「この依頼は薬草の採取ですが、納品ですか?」
そう、こちらを伺う様に聞かれたので。
「そうだ」
と言って、事前にバッグに詰めておいた、保存処理済みの傷薬草10束分、解毒草10束分、麻痺解除草10束分、病気治療草10束分、目薬草10束分、気付け草10束分を出す。
葉や茎だけでなく、種や球根やキノコもあるから束と言う単位にするのもおかしいのだけど、まあいいよね。
「こんな立派な薬草類を」
と少し驚いた感じで言われたので。
「旅をしていれば、運が良ければね」
と、軽く誤魔化す感じで言っておく。
「流石に、魔力草や万草は無いのですね」
と、またこちらの様子を伺う感じで聞いて来たので、
「あれは、知り合いに売ったからね」
そう軽く嘘を付いたのだけど。
「そう言えば、スキルをお持ちなのでしたね。
もし、今後魔力草と万草を入手する事があれば、お願いしたいのですが」
と、軽く頭を下げられてしまった。
「さあ。そうそう機会があるとも思えないけど」
と、詐術スキルの指示に従い言っておく事にした。
しかし、今回売った薬草はどれも一束分で500GAUだから、全部で3万GAU。
はあ。
これで収支は黒字になったけどさ。
ちなみに、魔力草は一束5000GAU、万草は一束10000GAUが冒険者ギルドでの買取価格らしい。
薬草類は、薬師や魔法薬師に直接売った方が儲かるらしいのは知っているけど、冒険者ギルドへ売ると依頼達成による功績がプラスになるから、どうしたものか。
まあ、買取価格が安すぎるし、この辺では見かけたことが無いから、売らないか。
「ダイスケ様は、ギルドへの登録を申請中ですから、功績に入れておきます」
「ああ。頼む」
と言ってお金を受け取り、宿を取りに向かう事にした。
転生してきた場所で採取しまくった、魔力草と万草は高く売れるようです。
各種数百束確保してあるけど、主人公は心配性なので売らないようですね。




