第29話 都市の周りの状況と狩り
買い物に行ったら、一気に所持金が減りました。
慌てて狩りに行く事にしたのですが。
冒険者ギルドの受付嬢に聞いた話だと、都市の北側には平原があり、それを超えると森。
その森の奥に山があるのだけど、『森の中には行くな』ではなく『近づくな』と言われている。
この都市の北の森や山には強い魔物が多いからだ。
東はこの都市に来た道だけど、街道沿いに魔物はあまり出なかった。
なんでも王都は東にあり、そこへ行くための街道なので、討伐が頻繁に行われているからだそうだ。
『魔物が湧き辛いマナが薄い場所に街道は造られている』らしいと少知スキルに聞いたけど、それだけでは無かったようだ。
だけど道を外れれば、それなりに魔物も出るらしい。
南は、平原と所々木々が生えている風景が続いており、比較的弱い魔物が多いらしいが、街道を離れるとやはり強い魔物が多いらしい。
西は外国へと繋がる道で、これも頻繁に討伐はされているらしい。
しかし、街道から外れれば、それなりに魔物が居るのは同じ様だ。
うん。
やっぱり、安全性を考えると、北には行かず東の街道から少し離れた所で狩りをするのが良さそうだな。
今晩の宿泊代くらいはあるし。
と衛兵に見られる程度のチェックで東の門から出て、街道沿いを数キロ程進み、街道から南に平原と幾つかの木々と言う感じの地形に進む。
気配探索と危機探索は、レベルが上がりLV6だから最大6キロまで探れる。
それらを使うと、街道から少し離れると魔物がそれなりに居るのが分かる。
無い事に偽装、秘匿、隠形を自分に対して使い、魔物達に向かう。
まずは魔トカゲ。
この世界は、人族、魔物、魔族、竜族、精霊族が居るらしい。
でも、ここに動物や昆虫類と言った生物が含まれていない。
生物の多くが魔物化し、魔物の陣営に入っているから。
まあ、人や魔族の生活の為の動物は残っているらしいから、鶏、牛、羊、馬、犬、猫と言った動物も相当数いるらしいけど、相対すると言う存在ではないので陣営として意識されないようだ。
で、昨日も散々倒した魔トカゲは、魔物。
つまり、魔物化したトカゲ。
魔物化した事により、この世界に満ち溢れ循環している魔力であるマナにより、彼方此方に自然発生する厄介な存在。
転生者が神から聞いた情報によると、その存在理由の一つは、自分達魔物を含めたこの世界に生きるモノのエネルギーになる事だから、可哀そうと言えば可哀そうなのかな。
まあ、強くなって魔族に属性が変わるモノもいるらしいけど。
その魔トカゲを火矢で倒して気が付いた。
あ、転職していないから、経験値が無駄になった。
慌てて転職。
木こりに。
木こり技は、植物に関する知識や森や林における立ち回りに関する知識が得られたり、スキルにより森における状況・空間認識に関するフォローがあったりする。
なので、森での戦闘には役立つスキルだろう。
まあ、危機探索の感じだと森には怖くて行く気はしないけど。
後は、斧の使い方とか、木の切り方とか、加工に関する知識も得られるが、残念ながら生産スキルでは無い。
また、木こりは職業レベルが11になると、大木斬スキルを身に付けられる。
この技は、木を切るのにも魔物を攻撃するのにも使える汎用的な技だ。
このスキルのお陰で、木こりは準戦闘職とも言えるので、戦士団や自警団に所属する者も多い職業だそうだ。
戦士程では無いけど簡単に転職出来る職業であると言うのも大きいだろうけど。
ちなみに、戦士は魔物と一度でも本気で戦えば。
木こりは、木を切ったり、草を刈ったり、木を育てたり、果物を集めたりしていれば、数か月から数年で転職条件を満たす。
なお、木こりに転職し木こり技や大木斬を手に入れると決まっていたので、これに合わせる為に中古の斧を手に入れておいた。
なので、装備を鉄の槍から鉄の斧に変えてみる。
で、魔トカゲの死骸の前に立って考える。
何を考えるかと言うと、戦利品を売る場合と売らない場合の違いだ。
もし売らずに在庫にするのなら、戦利品処理スキルを使った上で亜空間収納だ。
実は、戦利品処理スキルは、少知スキルに珍しいスキルになるとは聞いていない。
でも、所持スキルの多さから『転生者か?』等と違和感を持たれない様にする為に出来るだけ隠そうと言う決断をしている。
だから売るなら、戦利品処理スキルを隠す為に魔物の死骸をそのまま格納箱に入れ冒険者ギルドで売る。
魔トカゲの死骸の前で、色々と考えた結果、そう言う取り決めにした。
と言う事で、そのまま格納箱に入れた。
でも、解体用のナイフや小刀を手に入れるべきだなとも気が付いた。
常識が無さすぎるとため息をつきながら、移動と狩りを再開する。
今の処、隠れていれば見つからないから、楽な狩りだけど。
その後、ゴブリンの15匹の集団を火矢で全滅させ、戦利品を回収。
戦利品は、ゴブリンの魔石F15個、青銅の剣4、こん棒11本。
なんか、ボロボロの服も来ていたけど、戦利品処理したら消えたから売れないのだろう。
また、ゴブリンを倒している途中に、騒いでいるゴブリンを捕食しに来た感じの毒大スライムも火矢で倒す。
それで、またレベル上限になったので、動物使いに転職。
動物使い技を取得。
動物を従属させる事が出来、従属した動物とはこのスキルを使いある程度意思の疎通が可能になるそうだ。
LV11前後で身に付けられるスキルは、動物呼出。
離れた所にいる動物と、なんとなく意思の疎通ができるスキルだそうだ。
もっとも、動物使い技の中にその能力が追加されるだけで、ステータスウィンドウ内にスキルとして表示される訳では無い変わったスキルだが。
まあ、どちらにしても今は必要ないな。
次に行こうとしたら、悪寒が走った。
あ。次倒そうと思っていた魔大蛇。
俺に気が付いて向かって来ている。
蛇は嫌いだ~と、火矢と火弾と魔力矢と魔力弾を撃ちまくる。
一か所にとどまり暴れ始めた処で一帯に火壁も発生させ、更に火矢と火弾を撃ち込み続ける。
ああ。黒焦げだ。
一応近づいて、戦利品処理スキルを使うと、魔石だけは手に入った。
戦利品は、魔大蛇の魔石D。
しかし、隠れていたのにバレた。
感知能力の高い魔物にはバレると言う事か。
注意しておかないと命に係わる。
で、またレベル上限になったので、2級職最後の職業の採掘士に転職。
採掘士技は、岩盤や地層に含まれる鉱石が分かる。
レベルが上がれば、地中深くにある物すら分かるらしい。
また、LV11前後で加熱と言うスキルが手に入る。
これは、自身のMPを使い、対象を加熱するスキル。
これによって、鉱物を溶かす補助が出来る為、鋳造(鋳物の生産)がかなり容易になるらしい。
また、金属製の武器防具を造れる鍛冶師の下位職であるため、これでレベル上限になれば鍛冶師の転職条件の一つを満たせる。
うん。順調だ。
蛇は怖かったけどね。
狩りにより順調にレベルを上げ転職を続けているようです。
リアルを想像すると、苦手なタイプの魔物との戦闘は嫌ですね。




