第25話 職業制と転職とエネルギー
転生してきて最初の宿屋で、落ち着いて色々と考え込んでいます。
次は。
次は、現状確認か。
まず、この世界では職業制が世界の理により採用されているようだ。
その職業によって強さが変わったり、得意な事が変わったり、得られるスキルが変わったり、恩恵により取得しやすいスキルが変わったり、恩恵を受けるスキルの成長が促進されたりする違いがあるとの事。
また、最初は全ての人が村人から始まる。
そして、転職すると職業制により強化されたステータスの1%が、転職後永久にその個人を強化し続ける。
転職により、それまで貯められていた職業経験値と言う名のエネルギーの一部が肉体・精神の強化に使われるから、と言われているらしい。
少知少能スキルに関する説明を受けた時とは微妙に違う気がするが、人族の間ではそう言われていると言う説明だから、常識としてはそうだと思っておこう。
また、転職しても得たスキルは失わない。
更に、これは俺だけだけど、少知少能の『少能』の使用可能回数を増やすためのエネルギーを貯めるのに必要な日数が減る。
だから転職しまくった方が良いと思ったのだが、衛兵との会話から推測すると、それは推奨されていないらしい。
まあ、スキルが喧嘩すると言う理由は兎も角、職業の恩恵があるスキルは成長が早いが、無いスキルは成長が遅い上に鍛えるべきスキルの数が転職をする度に増えて行くので、結局器用貧乏になると言う認識のようだ。
俺の場合は、成長を促進するスキルを持っているので、それは問題ない。
また、スキルが喧嘩すると言うが、現状邪魔になる程ではない。
更に、魔法戦士と言う2つの職業を極めてから就ける職業がある事からも、複数極めるのが悪い事とも思えない。
そして、スキル上げをやっていて気が付いたのだけど、俺は魔力回復、魔力節減、魔力倍化スキルにより、スキル上げに潤沢にMPを使える。
だけど、そんな風にMPに余裕がない人は、レベル上げをするスキルを限定せざるを得ない。
そう言う理由もあるのだろう、と気が付いた。
なので、しばらくは世間の方針とは違って複数の職業を極めて行くつもりだ。
次は強くなる方向性について考えてみる事にする。
俺は現在LV9の経験値増加のお陰で、職業レベルもスキルのレベルも成長が18倍だ。
だから既にLV10と一回目の上限に達しているスキルも多い。
強くなるには、この開放が必要だけど、ノーマルスキルの場合は、職業経験値100万というエネルギーを使って、スキルを強化する必要がある。
でも、俺ってレベル上限20の職業に就いているから44万程度しか職業経験値がたまらないんだよね。
例えば、乗合馬車で魔狼を12匹倒したのだけど、3匹目で転職出来るってメッセージが出た。
だけど、気持ちに余裕が無かったので転職しなかった。
この世界では戦闘終了ではなく、魔物を倒した時点で経験値を取得すると言う事が分かったのは良かったのだけど。
でも、レベル上限に達した時に、余った経験値はそれなりにあったはずだ。
最初の魔虎戦なんて、99%以上の経験値が無駄になった。
それはどこに行ったかと少知少能スキルに聞くと、エネルギーを貯めておく為の器不足で虚空に消えた。
正確に言うと世界に満ち溢れているマナ(魔力)と言う力に還元され、俺の管理下にはないとの学説が有力だそうだ。
つまり、職業経験値100万以上貯めたければ、レベル上限が20の2級職ではなく、レベル上限が30の3級職(中級職)になる必要がある。
でも、その3級職に転職してしまうとレベル上限になる為に必要な経験値が2556万と爆発的に増えるから、次の転職が難しくなる、で思考が止まっていた。
良く考えてみると、確かにレベル上限に簡単になれなくなり転職し辛くなるが、既存のスキルのレベル上限を10から20に出来る為、強力な攻撃手段や便利な力を手に入れられる。
だから、早く3級職の職業になろう。
でも、何になるのが良いのか。
魔虎戦を思い出すと、攻撃力が欲しくなるけど。
でも、あの時と比べると、魔法の威力に影響するステータスと教わった知力や精神はかなり数値がアップしている。
だから見た目にも魔法の威力が上がっている。
と言う事は、攻撃力だけでなく便利な力も欲しい。
例えば、薬師なら魔生薬と言う薬が造れるように。
神官なら回復魔法が使えるように。
と選択肢が多くて良く解からない。
まあ、その前に2級職(下級職)で就ける職業には全て就いておくつもりだが、現状なっていないのは、木こり、動物使い、採掘士だ。
と言う事で、後3つの職業を極めれば、3級職に移行しても問題はない。
3級職の職業は、戦闘士、狩人、薬師、魔物使い、神官、黒騎士、白騎士、鍛冶師、魔導士、隠密、魔法戦士、錬金術師の12種類。
さて、どれが良いのだろう。
3級職は魅力的な職業が多そうです。
さて。どれを選択するのでしょうか。




