表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/190

第21話 乗合馬車と戦闘

 この世界の常識が無いのが心配だけど、人と関わる事としました。

 と言っても、現状乗合馬車に乗っているだけですが。

 なにも無ければ良いのですが。

 犯罪者だと、ステータスウィンドウに犯罪者と表示されるようだ。


 後で、少知に確認しておこう、と思いつつ馬車に揺られる。


 揺れは酷いし、椅子はあってもクッションが無いからお尻が痛くなる。


 正直走った方が良かったが、代わりに乗っている人達を観察できる。


 鑑定結果も踏まえ、同乗者等を見ると。


 人間の御者。


 中年の犬人族の夫婦。


 猫人族の老夫婦。


 大きな剣を抱えたエルフの若い女性。


 人間の母と子供。


 護衛らしき狼人族とドワーフの男。


 人間だけではなく、獣人や亜人と呼ばれる様なタイプの人族が居て、一緒に生活している。


 少知の情報通りだ。


 『夫婦になるのは同じ種族が多いのだろうか?』とも思ったけど、ここだけで判断できないか。


 風景を眺めるふりをしながら、鑑定・表情分析スキルを使ったりしていた。


 表情分析スキルが何度かのレベルアップをした頃、気配探索・危機探索スキルに魔物の気配が引っ掛かる。


 しかも、高速でこちらに向かっている。


 なんだ、と立ち上がりそちらを見ていると、俺の挙動に気が付いた護衛達も俺の真似をしていたのだが。


 「あ。魔狼だ!」と護衛らしき男が。


 魔狼か。


 魔物化した狼だな。


 そう思いつつ周りの様子を確認していると、御者が「討伐出来ますか?」と護衛に聞くが。


 「12頭も居たら無理だ」


 「あいつらは足が速いから逃げる事も出来ない」


 「全員で戦うしかない」と護衛二人は慌てている。


 「戦えるものは?」と御者が聞いて来たので手を上げると。


 「他に居ないのか。これじゃあ全滅だぞ」と、数名しか手を上げなかった事に御者が焦り始める。


 う~ん。力見せて大丈夫かな。


 まあ、しょうがないか。


 でも、出来るだけ力は隠そう。


 とは言え、死んだら意味がないし。


 そう考え、火魔法を使うか魔力魔法を使うか悩む。


 と言うのも、火魔法は魔法使いが必ず取得する魔法だが、魔法使いになれる者がまず少ないらしい。


 そして、それより更に取得が難しいとされるのが魔力魔法らしいのだ。


 夜通し歩いている間に、持っている人が希少なので目立たない様に隠した方が良いスキルを少知に聞いたのだが。


 『絶対に隠すべき』ではなかったが、『出来れば隠すべき』に魔力魔法が入っていた。


 なので、火魔法を使いたいところだが。


 魔力魔法は、イメージで効果を変えやすい。


 なので、戦利品が欲しい魔物に対しては、魔力矢を刃の様にして首を跳ねて戦利品を傷めないようにしていた。


 これが、火魔法だと燃えるから、戦利品が痛む。


 だから1人の時は、戦利品を気にしなくていいゾンビとかには火魔法。


 皮とかが戦利品となりそうな魔物には魔力魔法を使っていた。


 まあ、火魔法もレベルが上がって、大分イメージで変化させられるようになったから、試してみるか。


 火魔法も昨日の夜のうちにLV6になり、炎の壁をつくる魔法『火壁』や誘導も自動追尾も可能な魔法『火矢』も手に入れたし。


 周りに分かるように、声に出して魔法を使う。


 「火壁」


 目の前に急に現れた炎の壁に足を止め狼狽した感じの魔狼を狙い撃つ。


 「火矢」


 火魔法LV6で取得できた自動追尾型の火の矢。


 それを出来るだけ高温に。


 命中した場所で対象に向けて爆発するようにイメージして首めがけて撃つ。


 命中したけど、死んでないか。


 爆発と言っても、爆裂魔法ではなく火魔法だからそれ程の威力は無いのだろう。


 なら、今は身の安全の確保が優先だ。


 まだ一度に一つしか造れない火壁を横に長く作り、奴らが乗合馬車に簡単には近づけない様にしながら、奴らの口の中から脳に刺さる様にイメージして火矢を連続で放つ。


 なんとか追加の12発で、馬車に到着する前に全滅してくれた。


 「あれって、この地方では誰のモノなの?」と聞くと、呆気に取られていた狼人族の護衛が。


 「あんたが一人で倒したからあんたの物だ」


 「そっか。なら回収してきていいかな?」と御者に聞くと。


 「ああ。ゆっくりと進むから行ってきてくれ」


 と言われたので、走って行って格納箱に全て収納し、急いで馬車に戻る。


 「あ。あんた格納箱スキル持ちか?」と、ドワーフの護衛が驚いた感じで聞いて来た。


 「ああ。でないと一人旅は無理だよ」と言ってみると変に納得していた。


 この世界では、想像通り旅は過酷そうだ。


 また、獲物や戦利品を独り占めした事が心苦しかったので「一匹くらいは倒さずに残しておいた方が良かったかな?」と護衛に聞くと。


 「いや。安全第一だし、戦っていたら夜になってしまう。

  全て倒してくれてありがとう」とも言われた。


 でも、周りの俺を見る目が変わった気がして、居心地の悪い時間を過ごしながら、都市へと到着した。

 主人公は、魔法を使い、魔狼12匹を倒しました。

 一般人だとあり得ない事なのですが、主人公はそんな事は知りません。

 まあ、まだ常識外れと言う程の力でも無いのですが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ