第2話 チートスキル、少知少能
神らしき存在に、強制的に転生させられてしまいました。
スキルからの返答については、【 】で記載させてもらっています。
「これって大丈夫なの?」
異世界に強制的に転生させられて思わず呟いてしまった。
え~と、転生時にスキルは貰ったはず。
「ステータス」と念じながら呟いてみると、様々な俺の情報が表示されるステータスウィンドウが出てきた。
「よかった」
まあ、こういう『何が出来るか』等の細かい説明が面倒で、異世界モノ・ゲームを知っている人を選んでこの世界に送り込んだのだろうけど。
と言うか、神みたいな存在なのだから説明なんて頭に強制的に知識を入れ込むとか、どうとでも出来る様な気がするけど、良く解からないな。
ステータスウィンドウを消える様に念じると消えたので、今度は『プロパティ』とか『メニュー』と口に出さずに念じて見ても、同じステータスウィンドウが表示された。
口に出すのでも、念ずるのでも、どちらでも起動できるみたいだ。
で、様々なその人の情報が載っている情報盤である、ステータスウィンドウの内容を見ると、
ダイスケ・オオノクラ(男性:16歳。生年月日:太陽暦15951年4月15日)
職業 <村人LV1/10(0/100)>
状態 <通常>
称号 <転生者>
賞罰 <なし>
契約 <なし>
スキル <少知少能LV1/10(0/100) 57回(60/100日)>
ログ <カラゴスパへ転生した。>
備考欄 <少知少能スキルを与えられ、強制的に転生させられた。>
装備 <頭:なし、上半身:麻の服(上)、下半身:麻の服(下)右手:なし、左手:なし、右足:革の靴(右)、左足:革の靴(左)、首飾り:なし、右手指:なし、左手指:なし>
ステータス
HP 200
MP 200
筋力 20
知力 20
耐久 20
精神 20
俊敏 20
器用 20
パーティ欄<なし>
等と表示されている。
転生者と称号に載っていると言う事は、ステータスウィンドウが見られる人にはバレバレなのね。
そして、神様が言っていた少知少能と言うスキルがある。
スキルに説明してもらえばいいと言っていたけど、スキルに話しかければいいのかな。
「え~と。ここは安全かな」と少知少能スキルを意識しながら、声に出して行ってみた。
【59分間は安全です】
と、耳から聞こえてくる感じではなく、俺の意識に直接話しかけてくる感じの声。
「えっ」と素直に驚き声を上げたのだけど、それ以降はスキルから反応が帰って来ない。
こちらから、少知少能スキルを意識しつつ質問しなければならないようだ。
「何故安全では無いの?」
【ここは現在魔虎と言う魔物の縄張りの中で、59分後に発見され襲われると神様からの情報提供がありました】
「……。えっ」と、思わず大声を上げてしまった。
なので、おそるおそる「あ。今ので安全な時間は減ったかな?」と小声で聞いてみたのだけど。
【時間に変更はありません】との返事。
それにホッとしながら、「え~と、どうすれば良いのかな?」と聞いたら。
【……】
あれ? 返事が帰って来ない。
時間はあまりないのだけど、色々と質問してみる。
どうも、あまりに抽象的すぎる質問は、答えてくれないようだ。
他にも、質問に対する回答が多そうな場合も、回答は無かった。
色々と知りたい事はあるけど、とりあえず59分しかないから、今ある力で魔虎を倒すか逃げないと。
「今ある力で生き残れるかな?」
【生き残る事は可能です】
「移動した方が良いかな?」
【移動すると魔虎に発見される為、安全ではないと情報提供がありました】
「生き残るにはどうすればいい?」
【……】
「少知少能スキルを使えば生き残れるのかな?」
【生き残る事は可能です】
「少知少能は、どういう力?」
【少知少能スキルは、二つの力を持っています。
『少知』は、人族が知る事が可能で且つ理解できる知識を聞かれれば回答する力。
『少能』は、人族で可能な事を実現できる力です】
「少能の人族で可能な事とは、具体的に言うと?」
【……】
「『少能』は、スキルや魔法を得たり、お金を得たり、装備を得たり出来るって事かな?」
【可能です】
なるほど、神様はこれを使えと言っていたのに間違いないようだ。
「この57回と言う数値は何?」
【『少能』の使用可能回数です】
「何故57回なの?」
【少能には、大きな力が必要となる為、常時ダイスケから溢れ出る魂の力の一部を確保しスキルに蓄えておいて、それを使用する事により力が行使される仕組みとなっています。
神様が転生時に調整してくれた為、現在のダイスケの魂の力だと100日で1回分の力が溜まります。
そして、0歳から16歳までの5760日分の力が現在貯められているため、57回です】
おお。結構長文の説明も、内容によっては可能なんだ。
少知少能スキルに関する質問は、色々と答えてくれる感じのようだ。
と言うか、100日で1回しか貯まらないんだ。
「100日掛かる時間を短くは出来る?」
【可能です】
「どうやればいい?」
【主な強化方法は二種類あります】
「一種類目は?」
【ダイスケの魂の力を効率良く使える様になる事】
「どうすればいいの?」
【この世界は職業制及びレベル制が採用され、全ての人が何らかの職業に就き、その恩恵と制限を受けています。
そして、その就いている職業のレベル上限になると、他の職業に転職出来ます】
なる程。
特定のレベルになると転職出来るゲームみたいな世界か。
当然、違う処もありそうだけど。
【転職時、レベル上限まで上がった職業レベルは1になります。
その時に、貯まっていた職業経験値と言うエネルギーを肉体及び精神の強化の他、効率よく魂の力を収集する力・魂の力を扱えるようになる為の基礎的な力の強化に使う為、職業の星の数に応じて日数が減らされます】
「幾つくらい減るの?」
【1級職なら1日、2級職なら2日、3級職なら3日、4級職なら4日、5級職では5日、6級職では6日減り、人族の枠の限界まで鍛えて10日まで減少させられます】
1級職とかは、職業のランクを示している感じかな。
それは、後で確認で良いか。
「少能の使用可能回数を増やす為に掛かる日数を100日から減らす二種類目の方法は?」
【他人の魂の力を取り込む方法です】
「具体的には?」
【ダイスケ・オオノクラに対するプラスの思いにより、その人から放出された魂の力がダイスケ・オオノクラに誘引されてくる為、その理を利用して他の人の魂の力をダイスケ・オオノクラの力として取り込む事ができ、掛かる日数を減らせます】
「プラスの思いと言うと?」
【信仰、信頼、愛情、友情と言った感情です】
「プラスの思いでないと駄目なんだ」
【魂の力は、人程度では感知する事すら出来ませんが非常に強力な力です。
そして、非常に不安定・不定形なモノです。
マイナスの思いだと魂の力もマイナスのモノになっているため、それをダイスケ・オオノクラにプラスになる力として取り込むのは効率が悪く、逆に力を減らす事になる為に取込みの対象から外しています】
「どの感情が良いのかな?」
【思いが強ければどの感情でも良いですが、愛情は相手にそそぐ思いと言う側面があり、また独占欲・依存・執着と言った感情でも魂の力が多くダイスケ・オオノクラに誘引される為、愛情が多くの力を取り込めるケースが多いそうです】
「第二の場合でも、少知の使用可能回数を増やせる日数は、やっぱり10日までしか減らないんだよね?」
【いいえ。最短1日まで減らせます】
「それが限度なんだ?」
【それ以上は、例え他人の協力があったとしても、亜神・半神の領域となります】
なるほど。
でも、とりあえずは生き残らないとな。
と、生き残るための強化へと思考をうつす事にした。
どうも、厄介な設定のチートスキルの様です。