表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

178/190

第178話 弟とすべき事

 主人公は親子喧嘩を危機を知らせる事で終わらせたようです。

 さて、これからどういう流れになるのでしょうか。

 クトリアとその父親が決定的な亀裂を生じさせることになりそうだったので、この都市が危険だと話して誤魔化した。


 まあ、本当に危険そうだからね。


 なので、それを確認する為に城壁の上に上がり、軍団兵が発生する場所を見ているのだけど、ヤバそうだな。


 でも、出来れば行きたい場所と言うのも分かった。


 と言うのも、薬草師技が反応したから。


 魔力草や万草があんなにあるなんて。


 あれ?


 ひょっとして、転生してきた場所って、こういう場所に近かったのか。


 しかし、薬草を取りに行きたいが、BランクやCランクの魔物が大量に居る。


 しかも、殺し合っているようだから、それなりに強そうな個体ばかりだ。


 だから、取りには行けそうにないけど。


 「少知。この場所に軍団兵が発生するのは何時かな?」


 うん。返事はないね。


 人が知りえる事では無いから、少知スキルの能力を超えている内容だ。


 「10年から100年周期で軍団兵が発生する場所に、もっと早く発生する事はあるのかな?」


 【あります】


 「どういう場合?」


 【軍団兵が発生する場所の魔物討伐が行われていない場合や、何らかの理由でマナ源泉から漏れるマナが増えた場合です】


 「魔物討伐が行われていないと、どうしてそうなるの?」


 【魔物討伐が行われている場合と行われていない場合では、魔物の発生の為に消費されるマナの量が変わる為、数分の一から数十分の一まで期間が短くなる現象が知られています】


 「魔物の殺し合いでは駄目なんだ?」


 【はい】


 「そっか。討伐がある場合も無い場合も魔物の殺し合いはあるのだろうから、それだけでは駄目なのか。

  でも、そもそも、なんで10年から100年と言う頻度に幅があるの?」


 【前回発生した軍団の規模と強さ、次回発生する軍団の規模と強さが影響すると言われています】


 「そっか。前回ゴブリンが10匹しか湧かず、今回またゴブリンが10匹とかだと短いスパンで湧くけど、オーガ1000匹が連続して湧く場合とかに比べると頻度が変わるのか」


 【はい】


 その返事を聞き、城壁からカトレイン達の居る家へと一度戻る事にした。



 カトレインの家に戻る途中に少知スキルにこの都市の宿について聞くと、冒険者が止まれる様な宿は無いそうだ。


 まあ、これだけ寂れていればね。


 まあ久しぶりに野宿で良いか、と言うかこの警告の感じだと寝ないでスキル上げをした方が良いのかもしれない。


 そう考えながら、カトレインの家に辿り着くと、家の庭でカトレインとクトリアが子供達と遊んでいるのでどうなったか聞く事に。


 「どうなったの?」


 そう声を掛けると、カトレインがこちらに来る。


 「明日の朝、皆集まってくれるそうです」


 「そっか。で、皆移住しそうかな?」


 「……。悩んでいる人も居るので、今晩考えてもらう事にしました」と、カトレインが困り顔で教えてくれる。


 まあ、こんな都市でも離れたくない人も居るかもしれないのか。


 移転には不安もあるだろうし。


 「そう。で、全部で何人いるの?」


 「私と両親と弟と妹で18人。食料や子供たちの世話でお世話になった農家の人達が3家族で18人なので36人ですけど」


 「お金足りるかな?」


 「そ。それは幾ら何でも」と、カトレインは少し必死な感じで言って来る。


 全員移住させたいのか。


 でも、あの領主と言われていた奴の性格が信用できないので「ああ言うのは、分からないよ」と指摘すると。


 「はい」と、カトレインも同意見の様だ。


 「冒険者ギルドや商店があれば、換金してもらうんだけど、無いんだよね」


 「はい」


 「まあ、手の内を知られなければ、大丈夫か。

  じゃあ、俺は外で寝るけど、クトリアはこちらでお世話になるので良いのかな?」


 「えっ。でも家に泊まれば」


 「夜中お父さんに闇討ちされて、ウッカリ殺したとか不味いでしょ」と冗談半分に言うと。


 「そ。そうですね」と、何故か直ぐに納得してしまうカトレイン。


 俺って、そう言う人に見られていると言うか、父親はそういう人なのか。


 「まあ、死んでしまったら親子喧嘩も出来ないから、それよりはマシとでも思う事だね」


 そう言うと「クトリアにもそう言われました」と、カトレインは微妙な表情をしている。


 「と言う事は、クトリアのご両親は?」


 「はい」


 「そっか」


 「おい。お前」


 そう年長っぽい男の子が俺に声を掛けてくる。12歳くらいかな。


 ああ。カトレインに泣きながら抱き付いていた奴だから、カトレインの血のつながった弟か。


 「ん。何?」


 「お前はカトレイン姉ちゃんの何なんだ」


 「恋人だよ」


 「んな」と、何故か驚いている少年。


 「そうだよね」と、カトレインの方を向き確認する。


 「まあ。そうですけど」と恥ずかしそうに言うカトレイン。


 おお。認めたよ。


 「なら、なんで姉ちゃんは、辛そうな顔をしているんだよ」


 「それは、真面目な話をしているからで」とカトレインはフォローしたけど。


 それでも俺を睨んでいるな。


 「お前は、姉が大切な家族を逃がすために、必死で働いている事も分からないのか」


 そう言うと、下を向く子供。


 「僕がもっと大きければ」


 「子供だと言う事を逃げ道に使うな。

  今のお前にでもできる事はあるし、しなければならない事があるだろう」


 「ダイスケさん」とカトレインは抗議してくるが。


 「姉は死ぬかもしれない戦いをしてでも皆を守ろうとしている。お前はお前のできる事をしろ」


 そう言うと、泣きながら去って行った。


 う~ん。あの子の事情も分からないのに言い過ぎかな。


 カトレインだけでなく、クトリアも抗議する目で見て来るけど。


 「甘やかすのも良いけど、厳しい事も知らせておかないと、あの子の為にはならない」


 と、もっともらしい事を言っておく。


 詐術スキルさんは、『俺は、もっと子供の頃からスキルを得る為に地獄の特訓をしていた』と言うのも有りと言って来たけど、嘘を付き過ぎるのも何となく嫌だったので。


 さて。陰で聞いていた父親はどう思っただろうね。

 カトレインの弟を泣かしたようです。

 姉が大好きな弟なのかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ