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第175話 防衛都市リーゼン

 クトリアもカトレインも戦士職となりました。

 これで、戦士技スキルによる指導や補助があるので、戦闘力は上がるようです。

 戦士に転職したクトリアとカトレインの戦闘力は上がったようだ。


 二人とも、アッサリとゴブリン1匹ずつを倒す。


 これなら、1対1なら大丈夫そうだ。


 移動の途中、目に付いたゴブリンは、一対一の状態になる様に俺が間引いてから彼女達に倒してもらっている。


 うん。7回ほど彼女達は戦ったが、危なげは無いか。


 二人が複雑そうな顔をしているので「どうしたの?」と聞くと、二人で顔を見合わせた後、カトレインが「戦士技スキルがあるとこれ程違うと言うのが、何となく悲しくて」と言って来る。


 「そう? でも、戦士技スキルが無い時でもゴブリンと戦えた強さが、戦士技スキルを得た後の戦闘にも生きている気がするし。

  前の戦いが無駄とは限らないよ」


 と言うと、また二人は顔を見合わせて、今度は力強く頷いていた。


 まあ、俺が何も言わなくても時間が経つうちに、そう言う思考になったと思うけどね。


 レベルアップによるステータスアップにより移動の速度を上げる為、途中魔熊3匹ほど俺が倒したりしたが、基本は街道沿いを進む。


 西へ進み、南へ下り、そこから東へ向かうと、道は立派なのに雑草とか道の傷みとかから寂れた感じになった。


 その理由も含め、カトレインがこれから行く都市の事を説明してくれた。


 ダンジョンではないが、マナが濃い場所で魔物が大量発生する現象は何処ででも発生する事だ。


 しかし、それが軍団として発生する場所及び現象は、ダンジョンが起こすスタンピートと同様に危険視されている。


 軍団兵レギオン発生。


 代表的なのは、ゴブリン、オーク、オーガの数十から数千の軍団。


 しかも、それが王や皇帝に統率されている。


 更に、その王や皇帝は統率する為の力として、多様な力を持っている事が多いらしい。


 その様な軍団が食料を求めてなのか、支配する場所を求めてなのか、人や魔族の住む都市、町、村を統率された状態で襲撃してくる。


 当然、人族にとっては喜ばしくない現象であり場所だ。


 しかし、マナや世界の理は人の意思など無視してマナの濃い場所で軍団兵発生を起こす。


 しかも、そこにダンジョンとはならない程度のマナ源泉がある場合は、定期的に軍団兵発生が起こる。


 そして、今回の目的地は定期的に軍団兵発生が起こる場所の近くにあるそうだ。


 今回の目的地は、防衛都市リーゼン。


 その軍団兵発生を監視し、防衛し、可能ならば討伐する事がその都市の目的。


 前回の発生は5年前。


 オーガが発生したそうだ。


 そのオーガの王、オーガキングがその力を使い城壁を破壊。


 有事には皆が逃げ込む領主が住む館にすら被害が出た為、多くの市民にも犠牲が出た。


 その中には親を亡くした子供も沢山いた。


 そこで、その戦いで利き腕を無くしたカトレインの父親に領主からの命令が下る。


 孤児たちを一人前に育てよと。


 その代わり、門の使用料は兎も角、土地の賃借料は免除の上に支援金も毎年出すと。


 ところが、3年前にその領主が亡くなり息子が後を継ぐと、賃借料は払う事に決められ支援金も出ない。


 その上、税金である門の使用料や土地の賃借料も上がったそうだ。


 その為、防衛都市に居た冒険者は他の場所に移り、冒険者ギルドは廃業し、多くの人が都市を去った。


 と言うのも、こういう危険な場所でも人の生活を維持する為に本来税金である門の使用料や土地の賃借料は他よりは安い政策がとられる筈なのだ。


 冒険者ギルドについても、税の優遇が有ったり、冒険者ギルドに所属する冒険者の門の使用料を下げたり無料にして、自然に戦力が集まる様にする。


 なのに、馬鹿で強欲な領主が『儲けているのに税金を払わないのは』と、他と同じにするどころが、それより高額の税を取り始めた。


 それで、冒険者ギルドは去り、多くの市民すら去って行った。


 なのに、今度は土地の賃借の解約をする場合は10万GAU、この都市から多へ移住する住民の門の使用料は10万GAUとかにし、人の流出を止めようとした。


 確かに、それで人の流出は減った様だけど、払える人はそれでも払って移住した為に商人は居なくなり、残ったのは裕福ではない者達。


 それでも、食料は自給出来ているから何とかなっているそうだけど。


 でも、人の流入が無いし、子供が出来た人達は生まれる前に周りが協力して逃がす事すらあったそうだ。


 まあ、遠くないうちに一度滅びそうな都市だよね。


 そこから、家族を移住させるのが今回の護衛依頼の目的だそうだ。


 その家族には、先ほど話に出た孤児たちも含まれるそうだし、更にお世話になっている人達を逃がすためのお金。


 カトレインは、それを求めて冒険者になったそうだ。


 なんて優しい娘なのだろう。


 流石、俺の惚れた女。


 「なるほどね。状況は分かったような気がするけど、だとしたらお金を持っている事は最後まで隠した方が良いかもね」


 「……。持っていると分かれば、値上げされるかもと言う話ですね」


 「ああ。油断しない方が良いと思う」


 「はい」


 一通りの話が終わった頃には、その防衛都市リーゼンが見えてきたのだけど。


 「どうしたのですか?」と俺の表情の変化を見たのかクトリアが聞いて来る。


 「何、あの都市の南にある大きな窪みは」


 「あ。あそこが軍団兵の発生場所です」とあっさりカトレインは言うけどさ。


 「……。強いのがイッパイ居るし、なんか危険な雰囲気があるけど、大丈夫なの?」


 「ここの軍団兵発生は、10年から100年周期なので、まだ大丈夫なはずですけど」とカトレインは平気な感じで言って来るけど。


 危機探索は、五月蠅いくらい警鐘を鳴らしてくる。


 気配探索はDランクどころかCランク以上の魔物がウヨウヨいると。


 魔力探索は、マナの濃度が異常だと教えてくれる。


 と言うか、こちらから探りに行くタイプでは無く受け取るタイプの感知スキルである察知ですら警鐘を鳴らしてくる。


 やばそうだ。


 あんな状態の所の近くに人が大勢住むなんて。


 早めに移住を開始させないと不味いと思いながら都市へと向かった。

 主人公達が向かう都市は、やばそうです。

 何もなければ良いのですが。

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