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第174話 二人の戦士

 今日からは、カトレインからの依頼で護衛任務だそうです。

 まあ、冒険者ギルドを通すわけではないので、口約束で報酬の約束も無い形の様ですが。

 ふう。今日も良い目覚め、かな。


 昨日も頑張り過ぎた。


 最近こればっかりだ。


 カトレインは、今日は目覚めると、もう居なかった。


 既に、食事の準備に取り掛かっている。


 さて、今日からカトレインからの護衛任務になるのかな。


 面倒そうな事になるかもしれないし、キッチリスキルのレベル上げをしておこう。



 食事をしながら、カトレインに確認する。


 「今日から護衛任務と言う事で良いんだよね?」


 「はい。よろしくお願いします」とカトレインは軽く頭を下げて来る。


 「ここから、どのくらいの時間が掛かるの?」


 「全力で走れば、半日もあれば」


 「そっか。なら早めに出た方が良いんだよね?」


 「はい。それとひょっとしたら、ダイスケさんからお金を借りる事になるかもしれません」


 カトレインが、そう申し訳なさそうに言って来る。


 「えっ。そんなに費用が掛かるんだ」


 「はい」


 「ひょっとして、都市からの転出に税金が掛かるのですか?」


 そうクトリアが心配そうに聞くと、頷いているカトレイン。


 「えっ。門の使用料だけでは無いの?」と、事情が分からないので素直に聞いてみる。


 「はい。昔は門の使用料が安かったので、それを補完する為の制度だったのですけど、税が高くなった今もその制度が残っていて」


 そうカトレインは暗い表情で告げて来る。


 「……。ひょっとして、ヤバそうな領主なの?」と聞くと頷いているカトレイン。


 「それは、ちょっとやばそうだな」


 そう俺が言うと「お願いします。何でもしますから」と、血相を変えて言って来るカトレイン。


 その様子に、俺が護衛を止めるつもりになったと誤解させて申し訳ないと思いながら「いや。そういう意味じゃないけどね」と、訂正しておく。


 「で。でも」


 「何でもしてくれるか。領主の暗殺くらいしないと駄目って事か」


 そう俺が言うと。


 「い。いえ。そう言う事では」と、カトレインは何故か引き始める。


 権力者を暗殺か。


 まあ、そんな風な思考にすぐ行くのは不味いか。


 そう思いつつ「ん。違うの?」と聞くと。


 「はい。お金が足りないかもしれないと言うだけで」


 「なんだ。それなら問題ないでしょ」と、暗殺しなくて済んで少し安心したのだけど。


 「は。はい」とカトレインの方も少し安心したようだ。


 それを横で心配そうに見ているクトリア。


 「そっか。でも行ってみないと分からなそうだな。

  朝冒険者ギルドで緊急事態の確認をして、クトリアの訓練を簡単にしたら直ぐに出よう」


 「えっ」とクトリアは自分の名前だけが出てきたことに驚いているようだけど。

 

 「ん。クトリアは、戦士技を使っての訓練や会話はした?」


 「未だです」


 「魔物と戦う前に、戦士技を使いながら動く訓練もしておいた方が良いよ。カトレインは、外でする事になるけどね」


 「はい。お願いします」とのカトレインの返事を聞いて、冒険者ギルドへと向かった。



 今日は、混んでいる時間に冒険者ギルドへ来た。


 カトレインの話の内容からするとお金を受け取りたかったけど、今の買取依頼だと大した金額ではないし、混んでいるので諦めて緊急事態の確認だけ。


 直ぐに借家に戻り、朝食の片付けを終えたクトリアとの戦闘訓練。


 やっぱり、スキルの恩恵により直ぐに動きが良くなる。


 スキルによる自動操作。


 スキルにより伝えられるイメージによる指導。


 不整地における足さばきの指導。


 戦闘中に転んだりしない為の地形の把握と暗記。


 武器毎の使うべき方法や注意事項の指導等。


 スキルを使用する事により、受ける恩恵は大きい。


 大きすぎて、それが無い世界から来た俺には恐ろしい程だけど。


 でも、目の前のクトリアの戦闘力は上がって行く。


 それを羨ましそうに見ているカトレインだけど、カトレインももう直ぐだけどね。


 動きが良くなってきたところで、出発する事にした。



 カトレインの故郷のリーゼン市は、ロダン市から西へ10キロ進み、南へ30キロ下りて、そこから東へ25キロ行ったところにあるらしい。


 前世なら、辿り着けるかどうか疑問な距離だけど、ステータス制も採用されているこの世界なら大丈夫だ。


 まずは、カトレインの転職だ。


 都市の近くで8匹のゴブリンに近づき、戦士に転職してもらう。


 その後は、俺がゴブリンの首をはね最低限のレベル上げ。


 ユックリと都市から離れながら、カトレインの戦闘訓練をするか確認する事に。


 「次、弱そうなゴブリンが居たら戦ってみる?」


 「はい」と二人は勇ましい感じ。


 心配だけど、二人の自立の為にはしょうがないし、ここで認めなければ不満もたまるだろうし。


 その前に街道から少し離れた場所にいたオーク8匹を倒して、最低限のレベル上げを終えてゴブリンへ。


 ゴブリン5匹の内、3匹を俺が剣で倒して二人に任せる。


 すると、クトリアは大剣で相手の攻撃を受け流し、体制の崩れた処に上段の構えから打ち下ろし、ゴブリンの頭にめり込ませる。


 カトレインは、最初未だ戸惑っていた感じだけど、少しずつ動きが良くなってきて、同じく武器を弾いて体制を崩したゴブリンの頭に槌の一撃を入れて倒した。


 二人を見ると、少し驚いている。


 「こんなに違うなんて」と呟いたクトリアの言葉がその内心を現しているのだろう。


 まあ、前世なら数年以上の期間を掛け、痛い思いもしながら必死で身に付ける様な技術が、あっという間にだから。


 それに、前はあったカトレインの生き物を殺す事に対する躊躇が無くなっている。


 それは、覚悟を決めたからなのかもしれないが。


 ひょっとして、戦士技には接近戦で戦う技術だけでなく、精神面も強くしたりストレスを弱くしたりしてくれているのだろうか。


 俺も思ったよりストレスは酷くなかったし。


 「よし。次は、二人で一グループを全滅させられるようになるのが目標か」


 そう言った俺に対し二人が頷いた処で「でも、今日は移動だ。それはまた今度という事で」と言って、目的地に走りだした。

 二人は、戦闘について一皮むけた様です。

 

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