第173話 護衛依頼
カトレインも転職可能になり、今日もお祝いでした。
そこで、護衛依頼の話が出たのですが。
夕食後のスキル上げを終えて、居間に行くとカトレインが勉強している。
スキル取得の為に買ってきた指導書を読み返している様だ。
俺が近くに行くと、本を閉じて立ち上がった。
なので、有無を言わせずお姫様抱っこで、寝室に運ぶ。
ベッドの上に座らせて、今日も後ろから抱きしめる。
すると「本当にありがとうございました」と言ってくるカトレイン。
本当に真面目さんだ。
いや。俺に甘え過ぎないようにしているのか。
「ああ。でも、まだ神官までの道のりは長いけどね」
「はい。でも、これでゴブリン位になら勝てる様になる筈ですよね」
「まあ、相手の数によるし、上位種も居るけどね」
「はい」
後ろから抱きしめてカトレインの柔らかな体を楽しんでいると。
「依頼の事ですけど」
「仲間同士だから、別に依頼じゃなくて助け合いでも良いと思うけど、依頼にしないと駄目なの?」
「そこに拘りがある訳じゃないですけど……。父と母に会う事になりますし」
「ああ。今、娘さんを俺の奴隷になる様に口説いています、なんて言い辛いか」
「言うつもりなのですか?」
「言わないと駄目だろうな。俺が本気だと分かってもらう為には」
「それは、もう分っていますから、それを止めてくださいと言う話です」
「ん。ダメなの?」
「はい。父は真面目な人ですから」
「俺も真面目に欲しいのだけどな」
「父と母に余計な心配を掛けたくないので」
そう真面目な感じで言われてしまったので「そう言われると俺としては引くしかないけどさ」と、こちらが折れておく。
「はい」
「そっか。ご両親に会う事になるのか。
菓子折りとか用意した方が良いかな?」
「だから、そう言うのを止めてください。だから依頼と言う形にしようと思って」
「む~。外堀を埋めたいのに」と甘えてみたのだけど。
「埋まらないと思いますよ。父は堅物ですから」と、相手にしてもらえない。
「そうかな。愛する娘が喧嘩して出ていった事に弱り切っている処に、さらに混乱させて了承させると言う手段が使えないかな?」
そう言うと「……。駄目です」と、少し怒った感じと言うか複雑って感じで言われてしまった。
その様子に、少しは関係が進んだなと「まあ、カトレインがそう言うなら、今回は諦めるけど」と、ここも俺の方が折れておく事に。
まあ、半分は冗談だしね。
「はあ。本当に欲望に忠実ですよね」と、カトレインは苦笑いした感じで言って来るので。
「まあ、今日もそれなりに危なかったしね」と、俺の方の認識を伝えると。
「それは……。そうですね。明日どうなっているかなんて、本当に分かりませんから」と、カトレインも少し納得した感じに。
まあ、魔鷹に殺されかけたしな。
「そう言う事。だから、欲望・願望に忠実にいかないとね。
まあ、他人に迷惑を掛けず、許される範囲内でだけど。
でも、カトレインの欲望って何なの?」
そう、良い感じなので、聞いてみると。
「それは……」と黙ってしまった。
俺に言い辛い事なのだろうか。
家族の事を大切に思っている事は分かったけど。
よし。冗談で鎌をかけてみよう。
「俺の子供を産みたいとか?」
「そ、そんな事考えた事も無いです」
「う~ん。それは、まだまだ先の話って事?」
「……」
「しっかり、子供の出来る行為をしているんだけどな」
「でも、ちゃんと避妊してくれているって」
「それはしているけど、その先にあるんだけどな」
「それは、そうですけど」と、カトレインは何となく俺と深い関係だと言う事実を認めたくない感じ。
なので「そう。俺とカトレインは、そういう関係なんだよ」と詰め寄ってみたのだけど。
「でも、今は強くなる。ただ、それだけです」と逃げられてしまう。
でも、逃げられた事実は置いておいて「それは終わりのない修羅の道って感じだけどね」とちゃんとアドバイスもしておく。
すると「そうなんでしょうか?」と不思議そうに言われる。
そっか。
例え死んでも輪廻転生し、またこの世界に生まれ変わって生存競争をしなければならない、なんて発想は無いのかな。
そう思いつつも、彼女達の常識の範囲内での話として、
「確か、魔物の強さに上限が無いから、キリがないって話をしたと思ったけど」と言っておく。
「それはそうなのでしょうけど」
「スタンピートが起こりそうだって話もあるしね。
本当に、愛する者が居る者にとっては終わりのない地獄みたいなものだよ」
そう闘争の世界だと改めて言ったのだけど「スタンピートが」と、カトレインはスタンピートが起こりそうだと言う情報に驚いたようで、俺に確認して来た。
「ああ。ここの北にある管理されていない魔獣系のダンジョンが危ないらしい」
「そんな」
「だから、毎日を後悔しない様に生きるしかない」
「はい」
「と言う事で、今日も愛させてもらうよ」
「愛、なんですか?」と、疑問形で聞かれると、少しショックかな。
なので「そっか。一度欲望だけのエッチもしてみておいた方が良いのか」と、少し意地悪を言う。
「えっ」と明らかにおびえたようになったカトレイン。
性技スキルさんは、敵に回すと凶悪だからな。
そう思いつつ「良いよね?」と確認すと。
「だ、駄目です」と、拒否されてしまった。
まあ、やり過ぎて俺も嫌われたくないから。
「そっか。しょうがないね。
今日も愛情を込める方で行くよ」
そう言って、そろそろ指先や唇に魔力を集中させ、彼女に愛撫を始める。
彼女のご両親と会うのか。
それって、ハードルは高いけど。
でも、図々しく行かないと遠慮なんてしているうちに俺や彼女が死ぬかもしれない。
少なくとも、あのグリフォンに3人で居る処を襲われたら、彼女達を守れなかっただろう。
強くなりたいのは俺も同じか。
ああ。本能が強く彼女を求めている。
そして彼女はそれに応じてくれる。
多少睡眠不足になったって、と本格的に彼女との繋がりを深く求めて行く事に。
主人公は、今日も寝不足になるようです。