第155話 対グリフォン戦
強めの魔物を漁夫の利で倒し、さて次をと思った処で油断を突かれたのでしょうか。
グリフォンの強襲により危険な状態になったようです。
ハイオーガとファイアージャイアントが戦っている処に、横から介入し二匹を倒す。
その二体に対し戦利品処理と念じ、出てきた魔石等を回収し次の魔物をと思ったのだけど。
魔法障壁が破壊されたと魔力魔法が知らせて来ると同時に察知等の感知系スキルや先読みスキルが危険を知らせて来る。
遅いよ。
振り向きかけた処で巨大な爪に捕まれ地面に押し倒される。
横向きの状態で押し倒されたので、首を廻して確認した魔物はグリフォンだ。
グリフォンは、上半身が鷹。
その上半身についている前足と背中に付いている翼も鷹。
そして、下半身と後ろ足が獅子の魔物だ。
その前足の鷹の足に腹と太ももの辺りを拘束され、爪を突き刺されてしまった。
その痛みに顔をしかめていると、察知スキルが奴の嘴が俺の頭を狙っているのを感知する。
幸い、爪に拘束されていない右手に持っている魔樹の杖を、先読みスキルの指示により奴が狙っている箇所に割り込ませる。
それで、なんとか頭を破壊され即死するのは避けられた。
ああ。受け流しスキルも仕事をしてくれたのか。
でも、魔樹の杖を破壊され、それた嘴の一撃に首の後ろ辺りを斬り割かれる。
奴は、俺の抵抗に腹を立てたのか、前足で俺を掴んだまま立ち上がった。
馬鹿め。
すぐ嘴の二撃目をしてくれば、動揺していた俺は対処できずに死んでいたかもしれないのに。
また地面に叩きつけられ骨の折れる音を聞きながらも、嘴で頭部を狙われ続ける俺は、並列思考の片方で亜空間収納から鋼鉄の盾を取り出し、壊れた杖を捨てた右手でその盾を持ち防御を。
グリフォンの嘴攻撃の威力に焦りながら、もう片方の思考で回復と数回念じた後、魔力矢と念じグリフォンの首を狙う。
俺に止めを刺す事に固執しているグリフォンは避けもせず魔力矢を全て首で受けたが、致命傷にならない。
グリフォンの羽の舞い散る中、察知による感知と先読みスキルの指示に従いながら、鋼鉄の盾と受け流しスキルで奴の嘴の一撃を防ぐ。
いや。防ぎきれていない。
今の不自由な体制では、受け流しが100%機能しない。
細かく突いて来る攻撃は兎も角、全力の嘴攻撃は鋼鉄の盾を貫いて、俺の頭や背中や腕にも嘴は刺さっている。
ただ、それが致命傷になっていないだけだ。
その間も、魔力矢で何度も攻撃するが、致命傷になかなかならない。
いや、何度もと言うか、2~3回しか使えていないか。
ハイオークからの戦利品の鋼鉄の盾では、奴の全力の嘴攻撃一度で大き目の穴が開き、次の攻撃を防げない。
なので状況によっては防御しながら回復魔法を使わなければならない。
と言うか、回復魔法を使い続けている。
盾も交換も先読みスキルの指示に従ってタイミング良く行わないと、一撃が致命傷になる。
そんな状況では、並列思考でも攻撃に専念出来ていない。
並列思考は、まだレベルが低く思考速度が遅いままだから。
あ。
さっき倒したグレーターオークは、ミスリルの盾を持っていた。
ミスリルの盾なら数回は攻撃を防げるかもしれない。
駄目になった何枚目かの鋼鉄の盾をミスリルの盾に替えて奴の攻撃を防ぐ。
よし。盾は歪んだが上手に使えば後数回は持ちそうだ。
片方の思考で、亜空間収納から出した魔樹の短状を左手に持たせ、杖を介して魔力矢16発を発生させ全力で撃ち込む。
奴の首から血が飛び散り、苦し気な泣き声が。
いける。
もう一度、杖を介し首を狙った全力の魔力矢。
奴は俺を投げ捨てて逃げようとしたようだけど、俺の攻撃の方が早かった。
首を千切れかけるまで破壊され、地に伏すグリフォン。
それでやっと、傷を確認しながら回復魔法を掛ける余裕が出来た。
何度も回復と念じ回復魔法を自分に掛けるが、駄目だ。
傷はふさがったけど完全ではない。
体に障害が残ると神官技と薬師技スキルが伝えて来る。
実際、回復させたはずなのに左半身の動きは鈍いし体のあちこちが痺れている。
とりあえずは、俺がかぶったグリフォンの血が毒で皮膚が痛いので生活魔法の洗浄を俺自身に掛け、回復と治療の魔法を自分に掛ける。
そして周りの警戒をと思って探索をしようとすると、目の前のグリフォンが宝箱に。
あれ。あの状態でもしばらく生きていたのか。
油断したら危ないな。
そう思いつつ、亜空間収納から下級エリクサーを取り出す。
そう。この薬なら欠損部位すら再生させる力がある。
まあ、脳を破壊されたら記憶が戻るかどうかは知らないけどね。
体の動きが悪い為、危うく落としそうになったエリクサーのビンを空けて飲む。
飲んでも掛けても効果はある筈だけど、飲んでみた。
う~ん。水の味だな。
神官技や薬師技が体が全快したと教えてくれて、ホッとしたところで、もう一度周りを警戒。
安全を確認し宝箱を空けると、グリフォンの魔石B、グリフォンの爪8本、グリフォンの羽2枚、大銀貨30枚、銀貨30枚、中級MP回復薬、中級エリクサー2本、成長の雫2個、スキルの雫1個、成長の宝珠1個、ミスリルの剣、ミスリルの盾、ミスリルのインゴット5個、魔法の袋(大、収納効率化)。
なんかBランクの魔物の宝箱にしてはその内容が良い気がするけど、その前にBランクの魔物2匹がここで倒されていたからか。
いや。そんな事言ったら、他の場合でも、もっと良い物が出たはずか。
単純にグリフォンが強い魔物と言う事なのか、俺の幸運スキル及び戦利品アップスキルの効果だろう。
中級エリクサーが2本も出てくれたから、再生すらしてくれる魔法薬と言う視点でもプラスになったけど、危ない敵だった。
多分、押し倒された時に右手まで拘束されていたら、動揺したまま何も出来ずに頭を破壊されていただろうし。
落ち込みながら、もう一度冷静に周りの状況を探索系で探ると、血の匂いに引かれた魔物達が来る様だ。
こんなところで反省している暇はない。
気持ちを切り替えて、次の戦いに向かう事にした。
グリフォンに何とか勝利し、良い戦利品を得たようです。
一歩間違えれば、なので、また後で反省でしょう。