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第146話 カトレインの告白

 今日すべき事を終え、後は愛させてもらう時間。

 でも、今日は少し違う様です。

 夕食後のスキル上げを終えて、居間に向かうとカトレインがスキル取得の勉強中だ。


 彼女を抱き上げて寝室のベッドに座らせ、後ろから抱きしめて、魔力をあちこちに集中させながら彼方此方を撫でさせてもらう。


 結構、傷だらけだ。


 最近できた傷なのか、昔からの傷なのか。


 祈願スキルで回復を御願いし、回復させたとしても再生ではないからな。


 折を見て、エリクサーとかを使ってあげれば、綺麗な肌に戻るかもしれない。


 そんな事を考えていると「夕食の時に言っていた、強い者が奴隷化されると言う話は、本当なんですよね」と確認してくる。


 「いや。俺が信頼している人から、そう聞いていると言うだけで、本当にそうなるかどうかは分からないよ。

  ただ、手遅れになったらどうしようもないでしょ。

  だから、強くなる二人に忠告しておこうと思ったんだ」


 そう言うと、カトレインは黙り込んだ。


 そして話題を変えようと思ったのか、聞きたいと思っていた事を確認して来たのか、


 「私が、白金貨を4枚も持つ事になるなんて」


 そう呟くように言ったので、何か言いたい事がありそうだと愛撫を中止。


 抱きしめて、彼女の柔らかさと香りと温かさを感じながら話してくれるのを待つ。


 すると「魔牛を狩る為には、何が必要なんですか?」と沈み気味の声で聴いて来るカトレイン。


 「そうだね。

  探索系で10キロ圏内を感知できる力。

  その上で探索範囲を広範囲に出来る様に街道沿いを高速で移動できる力。

  更に見つけた後の話として60匹程度のEランクの魔物の集団に襲われても逃げたり一気に倒せたりする力。

  倒した後は、安全に輸送できる力だね。

  今日なんて、可能な限り血抜きをするかって外で処理していたら、血の匂いで魔狼が結構な数襲って来たし。

  まあ、倒した後については、一匹ずつ倒して都市に運び込んで売れば何とかなるか。

  2~3人程度なら一日1~2頭でも充分生活できるだろうし」


 斥候系の力と、魔法により大量討伐と、格納箱スキルか収納効率化の付いた魔法の袋を意識しながら言うと。


 「そ。そんな」と、カトレインは絶望したような声を上げる。


 もう少し、斥候系の力や同時に複数を高い攻撃力で攻撃できる魔法の取得を意識させた方がいいのかな。


 安全な輸送も大事だけど、収納効率化の付いた魔法の袋は高いし、格納箱スキルは俺が使っているのを見てほしいと強く思っていると手に入る確率が高いって話だったから、特に訓練はしなくていいだろうし。


 ああ。最大MPを増やすって言うのも手段だって話か。


 そんな事を考えつつ「魔牛が狩りたいの?」と聞くと。


 「お金が必要なんです」とカトレインは少し悲しそうな声で。


 「そうなの?

  その割に渡しても直ぐに受け取ってくれないし」


 そう拗ねた感じで少し文句を言うと。


 「それは、今だけでなく、ずっと稼ぎ続ける為に」と、キッチリ反論される。


 「それはそうなのか」


 「いえ……。一生かけて稼ぐつもりだったお金が、今手元に」と、悲しそうに言われるが。


 「ん。400万GAU程度でしょ」と、俺の認識と違うと言ってみる。


 だって、日本円に換算すると4000万円相当。


 たしか、前世だと生涯賃金は正社員で3億円だったような。


 まあ、そんな表現は最近聞いていなかったから、多分かわっているだろうし、物の価値の前提が色々と違うから、あくまで大ざっぱな数値比較でしかないけど。


 まあ、農村なら自給自足でお金はそれ程必要ないってファンタジー者も多かったけど、ここは都市だし。


 そんな風に考えていたのだけど。


 「それすら、稼げないんです。普通の人は」


 カトレインはその事実が許せないと言う感じで吐き捨てる様に言う。


 「そうなの?」


 「門の使用料、壁内に借りている土地の賃借料と言う名の税金で、普通はそんなに貯まりません」


 ああ。俺が税について文句を言っていたから、彼女も文句を言う気になったのか。


 それとも、ため込んでいたモノが爆発したのか。


 そう思いつつ「ああ。まあ、そう言う風に社会をつくるだろうからね。権力者は」と、前世でも思っていた事を言うと。


 「なのに、私達を強くすると言う足枷があるのに、あっという間に」と、何故か俺の方に矛先が向く。


 「まあ、この辺の土地が多く魔牛がわいてくれる土地だったと言うだけの気もするけど」


 そう言って誤魔化そうとするのだけど。


 「でも、あれは凶暴で集団で虐殺しに来るから、本当の強者でないと狩れません」と誤魔化されてくれない。


 「う~ん。強者か。

  その辺の判断基準は良く分からないけど。

  確かに、魔牛と戦うのもそれなりに怖かったか」


 そう、自分を下げて行ってみたのだけど。


 「なのに、貴方に抱かれているだけで……」と、結構酷い事を言うので、俺も言い返す事に。


 「酷い事言うね。抱かれているだけなんて」


 「でも、家事なんて誰でも出来ます」


 「誰でも出来るかどうかは知らないけど、真面目にやれば結構な重労働だけどね。

  生活魔法でもない限り」


 「だけど、ダイスケさんは生活魔法を持っていますよね」


 「ああ。でも、生活魔法は結構MPを使うから計画的に使わないとMP不足になるって知っていてくれるから、洗濯とか食器洗いとか掃除や風呂の準備をしてくれているんでしょ」


 「私達が意地になっているだけです」


 そう悲しそうに言われてしまったので。


 「そうなの。俺に対する愛情をこめて家事をしてくれていると思っていたのに」


 と少し冗談方面へと舵を切ろうとしてみたのだけど。


 「愛情ですか」と、俺を睨みながら言うカトレイン。


 「そう。まあ、俺の場合は欲望も多分に含まれているけどね」


 そう言うと、抗議するような目で俺を見て来るカトレイン。


 なので、少し話題をそらす。


 「それに人は一人では生きていけない。

  人は集団で生活する生き物だから、もし世界に独りぼっちになったら生きて行けるだろうかって話もあるよね。

  まあ、俺みたいに対人関係で酷い目にあった者は、時間を潰せるモノと寂しさを埋められるものがあれば、一人でもやっていけそうだけど」


 俺がそう言うと、しばらく深刻な表情をしていたと思ったら、


 「……。どうして一人でやって行かないのですか?」と、カトレインが聞いて来た。


 「えっ。やって行こうと思っていたのに、君達が割り込んできたんだよね」


 そう正直驚きながら返事をすると。


 「あっ」と今更驚くカトレイン。


 あの当時は必至で、俺の気持ちを考えられなかった事に改めて気が付いてくれたのだろうか。


 でも、それを言うのも彼女を追い込みそうなので、話題を少し変える。


 「しかもカトレインを強く欲しいとまで思わされたと言うのに」


 そう言って軽く抱きしめると『何で?』と言う顔をしているカトレイン。


 「見た目は麗しき女性。

  真面目なのと優しいのは、二人で頑張っているのを見て確信した。

  それなのに、何で不思議そうな顔をしているの?」


 「そ。そんな事ないです」


 そう言って褒められた事を素直に認めようとしないカトレイン。


 「それに、自分の為に頑張れなくなったのなら、他の人の為に頑張ろうって思う様だね。俺は」


 「他人の為?」


 「他人と言っても誰でも良い訳じゃない。

  祖父母の次の次にそう思ったのは、君達だね」


 そう前世を思い出しながら言うと、カトレインが大粒の涙を流し始める。


 次と言わなかったのは、裏切った人が次だと思ったからだろうか。


 泣かせてしまう様な嘘をついてしまったのか、それとも自分の為に頑張っていると言われた事が嬉しいのだろうか。


 表情分析スキルは、悔しさと情けないと言う感情を強く読んでいる。


 カトレインも他人の為に頑張ろうとして駄目だった、と言う事なのだろうか。


 そう思っていると、カトレインが体の向きを変えてキスをしてきた。


 うん。


 愁いのある美女も良い。


 性技さん。


 彼女を慰める様なエッチを教えて。


 そうスキルに呼び掛けてから、深く愁いを帯びた彼女だけに全てを注ぐ事にした。

 これでカトレインとの関係は、少し深くなったのでしょうか。

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