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第143話 ロダン市の総合商店

 狩りを終え、都市に無事戻りました。

 今住んでいるこの都市で、戦利品を高く売る為の道具を買いに行く事にしたようですが。

 魔牛などの高く売れる魔物を大量に狩り、ロダン市に無事帰って来られたので総合商店に行く事にした。


 理由は、少知スキルに「冒険者ギルドの受付嬢の言っていた、魔牛を処理する道具とかロダン市でも売っているのかな」と聞いたら【売っている】との返事だったので、売っている店を教わり行ってみる事にしたからだ。


 コンクリート製の様な大きな5階建ての商店に入り、大型の道具を売っている1階を見て回っていると、あるよ。


 獲物を吊り上げる、吊り下げ滑車付きヤグラが。


 ついて来ている感じの猫人族の男性店員に「これって魔牛とか吊り下げて処置する為の道具かな」と聞くと。


 「こちらが、そうです」と一式紹介される。


 うん。簡易のヤグラとか造らず、さっさと買えばよかった。


 すると、店員が「魔牛をお狩りになるのですか?」と聞いて来るので「運がよければね」と答えたのだけど。


 「しかし、大変危険だと聞いていますが」と、追加で聞かれてしまう。


 「まあ、その辺は秘密だね」と、言いながら表情分析スキルを起動すると。


 うわ~。


 この店員が『買い取ろう。騙そう』と言う意思を持っていると、表情分析スキルが教えてくれる。


 魔牛を安く買いたたくつもりか。


 魔牛と言わずに、魔イノシシと言えばよかったのかな。


 変装して来ていないから色々と不味いな、等と思っていると。


 「それは申し訳ありません。

  ですが、もしお持ちならお売りいただけないでしょうか?」


 と言って来る店員。


 表情分析スキルが教えてくれる相手の感情が少し変わった。


 俺が警戒し始めたのが分かった様だ。


 警戒を緩めず「ん。どうしたの?」のと聞いてみると。


 「はい。魔牛は需要が多く、常に不足していますので」と、ストレートに事情を伝えて来るので。


 「だよね。冒険者ギルドですら、結構な値段で買い取ってくれるから」と、こちらも安く売る気はないよとの意味を込め言っておく。


 すると「少しお待ちいただけますか」と店員が下がったかと思ったら、立派な髭をした50代くらいに見える人間のおじさんが出て来る。


 「こちらでお話を伺ってもよろしいでしょうか?」、と隅の方のテーブルに誘われる。


 まあ、表情分析スキルでは悪意を感じないし、逃げられない様な場所じゃないし良いかと思い付いて行って話を聞くと、やっぱり魔牛を売って欲しいそうだ。


 「秘密は守れるの?」


 「はい。それには自信がございます」


 なるほど。


 それも本当と言うか、この人はそう思っている様だ。


 「なら、値段次第だね」


 「冒険者ギルド程低くはございません」


 「だけど、色々と難しくてね」


 「とおっしゃいますと?」


 「先日、高く売る為に血抜きと内臓の処理をしてみたのだけど、匂いで魔物が寄って来て収集がつかなくなりそうになってね。

  本当に命懸けだよ」


 と事実に基づいた嘘を言ってみる。


 でも「はい。それは大変でございましたね」と馬耳東風な感じか。


 「だから、安定して売れるかと言うと」


 「別に飛び込みでも大丈夫でございます。

  それだけ魔牛の肉は不足しておりますから」


 表情分析スキルによると、本当の事を言っているらしいので、魔牛の事は横に置いておいて気になった事を聞いてみる事にする。

 

 「魔豚は如何なの?」


 「あちらは、群れで行動しない個体が多くランクの低い冒険者でも狩れますから、それなりに供給があります。

  もちろん、魔物を呼び寄せる血の匂いのする魔豚を運べる人は限られていますので、魔牛程ではないにせよ、それなりの値段にはなりますが」


 「なるほどね」


 「後、老婆心からお伝えしておくと、血抜きや内臓の処置は、肉が劣化したり腐敗したりしない様にする為の処置です」


 「ああ」


 「ですから、首を切り落とす等、内臓を傷めない様に狩ったのであれば、内臓の処置は時期にもよりますが、直ぐに行わなかったとしても買取価格は変わりません。

  なので、なので内臓の処理は都市に持ち帰り、そのまま私どもの方に持ち込んでいただければ問題ございません」


 「そっか。それはそうなるのか」


 なるほどね。


 この世界では、内臓は食べないみたいだし、それでいいのか。


 「はい。血も首の動脈を切って格納箱内に入れておけば、必要な血抜きはある程度可能です」


 そう言って期待を込めた目で見て来る商人。


 あれ? 格納箱持ちだって言ったっけ?


 ああ。見ていたヤグラが格納箱に入れる様だもん、バレルよな。


 まあ、悪い人ではない様だし、幾つか試しに売ってみるか。


 「分かった。どこに出せばいい?」


 「こちらへ」と、商店の建物から出て裏の買取倉庫みたいなところへ。


 「こちらにお願いします」と言われた所へ、内臓の処分と血抜きを自力でした牛の半分の10頭。


 血抜きの為に自作のヤグラに吊りっぱなしだったのだけど、一度格納箱から亜空間収納へ移動させ、ヤグラからは取り外した。


 自作のヤグラがみすぼらしく見せたくなかったからだけど、必要ない事だったかな。


 次が、戦利品処理をしたと分からない程度に血抜き処理だけをした魔牛を10頭。


 後は、冒険者ギルドへ売る用の血抜きすらちゃんと出来ていない魔牛を10頭。


 血抜きは、ここでも言われた様に亜空間収納から格納箱に移動させれば、数時間である程度できるのだけど。


 でも、首を火矢で焼き切った魔牛は、どうも焼かれた血管が詰まるのか血の流出量が少ないみたいで、血抜きが十分できないと冒険者ギルドで聞いているモノだ。


 まあ、それでも、そこそこの値段で買い取ってくれるのだけどね。


 血抜きが不十分でも、料理スキルとかで料理すると何とかなるのかな。


 「最後に出した10頭は、血抜きが出来ていないから」と一応伝えると。


 「はい。こちらで鑑定させていただきます」と丁寧な返事。


 う~ん。ここで売ったら、どれくらいになるか楽しみだけど。

 今、自分が住んでいる都市の総合商店に魔牛を売る事になりました。

 今までは、目立たない様に冒険者ギルドか他の都市でしか売っていなかったのですが、少量試しに売ってみる様です。

 30頭なんて、結構な量なのですが、主人公の感覚は狂っているようです。

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