第136話 もう少しで転職かな
3人での狩りを終えて、借家に帰る様です。
転職までの道筋が見えた様で、二人は随分明るくなった感じ。
なので、少し気持ちを引き締めるようです。
「今日も届きませんでしたね」
今日の狩りを終え都市に帰る途中に、そう言ってくるクトリア。
倒した魔物次第では、今日で転職まで行けたかもしれなかったから。
「焦って危険な目に合うくらいならね」と、無理せず狩りをしていたからと事情を説明すると。
「そう言う配慮だったのですか?」とクトリアが確認してくるので。
「ああ。こういう時は注意すべきだからね。
次の次くらいに思っていてもらえば良いかな」
そう伝えても「はい」と言った二人の表情は、希望に満ち溢れている。
だから俺がしっかりと彼女達を守るべきなのだろう。
都市に帰り、二人に夕食の準備をしてもらっている間に、俺はスキル上げ。
今日は、錬金にしよう。
理由は簡単。
今持っている生産系スキルで唯一LV11以上になっていないから。
まあ、錬金術が生産系かどうかには争いがあるかもしれないが。
錬金術技スキルを起動してメニューを表示し、錬金開始を選ぶと錬金対象を選ぶメニューになり、亜空間収納内の木製の手裏剣(+1)を指定し、つける錬金効果のメニューから錬金術LV6から追加できる硬度アップ効果を選ぶ。
触媒の指定は、魔石Fランクを指定。
ああ。量産スキルも使える様で、個数を指定してくる。
なので100個と指定して実行。
あ。これ危ない奴だ。
キツメの目眩がしたのでステータスウィンドウを表示すると、結構MPが減っている。
錬金はMPを結構使うのか。
あ。そう言えば、今日も強めに魔法障壁とか張ったり、マメに鑑定して危険を探ったり、探索系にも魔力を多めに回してキッチリ調べていたから、そもそもMPが少なかった可能性もある。
相変わらず迂闊だな。
前世では仕事では失敗して人に迷惑を掛けたくなかったから、あれほど注意するようになったのに、命がけのこの世界で何をやっているのやら。
MPが減っている状態でも出来るスキル上げって何があったかな。
そう思いつつ、スキルを調べてやると決めたのは、毎日やっている耳たぶを針で刺して回復魔法で癒すスキル上げ。
他にも、格納箱への出し入れは、それ程MPを使わなかったはず。
等と幾つかのスキル上げをしていると、夕食のお呼びが掛ったので、居間に向かった。
夕食中も嬉しそうなクトリア。
まあ、目途が立ったと言えば立ったのかな。
「後、二回狩りに行けば、転職まで行けそうなのですよね」とクトリアではなくカトレインの方が聞いて来る。
「ああ。今日みたいにCランクとDランクの魔物を狩れればと言うのもあるけどね」
「そう言えば、今日はどうして西へ行ったのですか?」とクトリアが西側へ行った理由を確認してくる。
「ああ。西は10キロ程行くと南に行く街道があるから、その街道の討伐による効果で、それ程強い魔物が居なさそうだったからね」
「でも、Cランクの魔物を狩らないと」
「そうなんだけどね。
やっぱり、怖いでしょ。
Cランク」
「それは、そうですけど」と不思議そうにしているクトリア。
カトレインもかな。
何度もCランクの魔物を倒しているから、それに対し警戒するのが不思議なのかもしれないけど。
「好事魔多しとも言うからね。
油断して死ぬくらいなら、DとかEランクを大量に狩って転職まで持って行った方が良いかなって」
「それでも、後数日ですか」と、クトリアは心配し過ぎではと言う感じだけど、遅くとも転職出来るであろう期日を確認して来た。
「そう。まあ、その後の事もあるから、慎重になり過ぎるのも問題ではあるのだけど」
「次は戦士ですよね」
「いや。クトリアが、と言うか二人とも、現状何に転職出来て、そのレベル上限が幾つかをすべて把握して、今後の事を計算し話し合ってから転職した方が良い。
だから、クトリアが転職可能になったら、一度ここに帰ってくるつもりだし」
「そうなんですか?」と、クトリアはそう言う事を考えていなかった感じで、不思議そうにしている。
「そう。3人で相談した方が良い」
「ダイスケさんの指示で転職するのではないのですか?」
と、クトリアは俺に丸投げと言うパターンも考えていたようだけど。
「今後の人生を決めかねないから、本人が納得しないと駄目。
その為の説明も長くなるかもしれないし」
「はい。解りました」
そう今後について話して夕食を終えた。
夕食後のスキル上げも、多少MPが回復してきた程度だったので通常通りとは行かなかった。
それを終えて、居間に行きクトリアを寝室に。
今日も後ろから抱きしめる。
村人の弱いクトリアを抱けるのも、今日が最後と思うと感慨深い、と言う程でもないか。
そのまま後ろから俺に欲望を受け止めてもらう。
ちゃんと、魔力操作を使ってのスキル取得訓練も忘れずに。
まあ、最初の方は魔力操作を忘れてしまっていたけど、それも訓練と言う事で。
好事魔多し。
主人公は、そんな事態は避けるため注意をしていくようです。