第118話 鍛冶の前準備
魔法スキルのレベル上げで強くなる。
でも、強くなる為に出来る事は他にもあると言う事で、鍛冶にも挑戦するようです。
魔物狩りをして人型の魔物が持っている武器・金属を手に入れた後、借家へと向かいながら、鍛冶関係の道具を売っている店を少知に教わる。
何故道具を自分で造らないかだけど、目的の物は鍛冶師技スキルLV1,LV6、LV11とLV21以上ないと造れない。
つまり、現状のLV1では絶対に作れない物が多すぎるから。
鍛冶関連の物を安めに売っている店と小知に聞いた処、総合商店ではなく武器防具屋との事なのでその店に向かう。
その店主の犬人族のオッサンに、まずオークが着ていた革鎧を20セットを売りに出し、査定してもらっている間に売っている道具を見て回る。
ドワーフじゃなかったと思いつつ。
そんな俺の内心を知らず。
「なんだ、兄ちゃん。
鍛冶師を目指しているのか?」
と俺が売った物のチェックをしながら店主が聞いて来る。
「いや。知り合いが採掘士でね。
鍛冶師を目指しているから、今の内に粉を掛けておこうかなと」
「ああ、プレゼントか」
「ああ、結構いい女なんだ」
そんなやり取りをして、金属を叩く為の金槌を大小2種、叩く時の土台となる金床、熱した金属を掴むやっとこ3種。
そして、目玉の携帯用の炉だ。
それにインゴットや武器防具を造る用の金型を幾つか買いたいと思いつつ見て回ったんだけど……。
案の定、高かったです。
金槌が5万GAUと10万GAU。
金床が20万GAU。
やっとこは3つで8万GAU。
金型は鋳造用の金型を10種で各1万GAU。
まあ、金型は砂で型を取ったりして自分で造れる気もしたが、剣用の物3種、槍用の物2種、戦斧用を1つ、斧用を1つ、金槌用の物を2つ、インゴット用を1つ。
どれも重力鋳造用金型。
つまり、溶けた金属を流し込んで作るタイプだ。
そして今回の目玉の小型の炉は、金属を溶かす溶解炉であり転炉と言う、くるっと回って溶けた金属を流し出す物。
他にも、本来ならば鉱石から金属を取り出す高炉とかも必要なのだろうけど、スキルとMPで鉱石から目的の金属を取り出す事も出来るので、買う予定はない。
それ以前に、現状鉱石が無いか。
と言う事で、原料として魔物の持つ金属を集めた訳だ。。
なお、金属を無理やり形成する事で金属製の武器防具を造る事もできるが、それだと武器や防具として脆くなるそうだ。
でも、色々なスキルを手に入れたり、スキルのレベルを上げたりすれば、無理やりの形成でもそれなりの物は造れる様になるとの事。
当然LV1の現状だと強度不足になるから、鋳造か鍛造で造ってくれって鍛冶師技スキルが。
だけど、一歩引いて前世の事も思い出しながら考えると、スキルで様々な事が出来るこの世界では、普通に科学技術とかが発展しないだろうな。
上の存在は、それを必要としていない、か。
上の存在になると科学なんて無くても自分達の力で何でも実現できるのなら、科学なんて必要とされず、そうなるのかもしれない。
で、炉が400万GAU(4000万円相当)です。
なんでも、高温に強いヒヒイロカネと言う金属の合金を使っているらしいから。
まあ、鑑定でもそれが嘘では無いと分かっているし、表情分析スキルで武器防具屋の店主もぼったくりをしようとしていないのは確認したし。
金槌や金床にはアダマンタイトと言う重くて硬い超硬金属の合金が一部。
やっとことは熱に強く熱が伝わりにくい様に変質させたミスリルが一部、金槌は魔力による変質を促進する様に変質させたミスリルが一部使われているんだって。
トータル453万GAU。
詐術スキルが教えてくれた嘘を言ったけど、プレゼントだなんて店主は信用しているのだろうか。
自分で造れれば、こんな値段にならない筈なのだけど、造れないのだからしょうがない。
まあ、魔牛の熟成肉の売却代金があるから問題なく買えるのだけどね。
鍛冶師技スキルが教えてくれた、それなりに良い物だし。
革鎧20セットが1万GAU。
差額の452万GAUを払い、物は格納箱に入れた。
スキルを見せるのは嫌だったけど、小型とは言え炉なんて重くて運ぶのが面倒だし、運ぶ時に壊したら意味がないしね。
遠縁の鍛冶師が造った古い物が売れたと店主も嬉しそうだったけど、実は俺も嬉しい。
特殊な金属を使った製造道具なんて、当面入手は無理だと思っていたから。
なので、今でも作れる金槌すら買った。
問題はどこで鍛冶をするか、か。
借家では、難しいよな。
スキルに色々と聞くと、ある場所で出来そうだ。
なら、そこで鍛冶にチャレンジだ。
武器防具屋での買い物を終えて、とりあえず借家に戻る事に。
二人に気が付かれない様に家の裏庭に行き、周りに誰も居ないことを確認しながら隠形、秘匿。
その上で、亜空間部屋を作成。
ドアを開けてその中に入る。
時空間魔法もLV17になり、17メートル四方の空間。
その空間内で『亜空間部屋変更』と念じるとメニューが表示される。
そのメニュー中に表示されている『換気』と念じ、そこから更に表示されるメニューから変更する項目を指定。
空気が下から上に。
それも風と感じる位の強さで流れる様に。
それは、これからやる鋳造(鋳物造り)の為の準備だ。
炉から発生する有毒ガスは、殆ど燃料から発生するモノだろうけど、金属を溶かした段階で気化した何かしらが毒にならないか心配だったので。
金属を溶かす為の熱が亜空間部屋に籠るのも危険だし。
ちなみに、空気の取り入れ口は亜空間部屋のドアの上空30メートルから、排出先は北西上空1千メートルに。
後は、目が焼けるのとか心配なのだけど、それは鍛冶師技スキルが瞳孔を調整してくれると。
ちなみに、有毒ガスみたいなものが発生しても、それも鍛冶師技スキルが教えてくれるそうだ。
後は、溶けた金属が飛び散ったりするのも心配だけど、炉やその関連品を生活魔法の洗浄で奇麗にし、温度に気を付けておく事である程度防げるようだ。
さて。鍛冶の鋳造を始めるか。
鍛冶をする為の準備は整いました。
まあ、まだ色々と不足している物はありそうですが。