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第112話 魔熊達との戦いの報告

 魔熊の異常発生の状況を確認し、問題が無ければ3人で狩りに行く事に。

 なので、3人で冒険者ギルドへ向かう様です。

 朝の訓練の後、2人を連れて冒険者ギルドへ行き、受け取りを渡し買取りの為に解体場の方へ。


 今日は、魔大イノシシ1頭、魔イノシシ2頭を買取に出す。


 その解体場からの帰りに、またハリーさんに捕まる。


 「おい。面仮せ」


 そう言って、また奥の会議室の様な部屋に入り事情を聴かれる。


 「魔熊の件、どうなった?」と、流石に真剣な感じで聞かれる。


 「ハリーさん達が狩ってくれたのですよね」


 「ああ、お前もな」


 と、ハリーさんにはキッチリばれている様だ。


 まあ、俺の様に複数の探索系を持って居たり魔力系のスキルのお陰でMP不足の心配が無かったりする者を除き、MPの消費が多くなる上に探索に漏れがある最大範囲で気配探索を常時する事はしないだろうから、常時把握されてはいないだろう。


 その上、ハリーさんのグループとはある程度距離を取る様に意識していたから、流石に途中からはハリーさんの探索系のスキルで捉えられていなかっただろうけど。


 でも、ハリーさんは4級職の忍びだし、把握されていた可能性もあるのか。


 なら、魔雷牙熊の事を言えば、その辺が分かるかな。


 そう考えつつ会話を続ける。


 「ええ、相手は魔熊ですから可能な範囲内で、ですけど」


 「俺らの方には、厄介なのが2匹ほどいたが、お前の方は?」


 そうなんだ。


 どういう厄介さだろう、と気にはなったけど、ハリーさんに常時把握されていたかどうかを確認したいと考え、こちらの状況の説明を優先する。


 「ええ。魔雷熊って言うのに酷い目にあいましたね」


 と『牙』の字を抜いて、ワンランク下にしておく。


 「マライグマ?」


 と、不思議そうにしているので、ハリーさんにずっと動向を確認されていた訳では無さそうか。


 それに安心しながら、


 「ええ、雷です。

  咆哮したと思ったら、口から雷を撃ってきて、危うく黒焦げでしたよ」


 と、こちらの状況を伝えると。


 「お、お前どうやって」と驚いている処を見ると、ハリーさん達が戦った厄介な魔熊とは厄介さが違うようだ。


 「ああ。偶々持っていた鋼鉄の槍が避雷針代わりになったようで、痺れる程度で済みましたけど、少し違っていたら危なかったでしょうね」


 それは、実際にあった事だ。


 偶々だけど、雷が直撃した槍から地面に雷が流れてくれていた。


 とは言え、手には革のグローブ、足も革のブーツだけど完全な絶縁体ではないようで、俺の体にも電気は流れた。


 けど、その量は少なかった。


 まあ、本物の雷よりは、規模が小さかったのもあるか。


 おかげで、エリクサーによる再生治療は必要なかったので、そう言う意味でも助かったのだけど、あれはかなり痛かった。


 しかし、雷も避雷針もこの世界にあったんだ。


 まあ、前の世界でも昔からあった技術だし転生者からそう言う技術も流れるよな、と避雷針と言うワードが不用意な発言で無かった事に安堵しながら説明を続ける。


 「しかも、昨日懸念していた通り俺より索敵能力が高い奴で、逃げたくても逃げられなかったんですよ」


 「そ、それは大変だな」と、ハリーさんは絶句気味に同意してくれる。


 「それで、ハリーさんの方の厄介な魔熊系の魔物って、どうだったんですか?」


 「こっちは、魔大熊と魔角熊だ」と嫌そうに言うハリーさん。


 あれ?


 魔大熊とか結構戦っているけどな。


 あれは、革鎧の原料となる良質な皮の量が多くて、結構助かる魔物なんだけど、Cランクにはなるのか。


 そう思いつつも「厄介そうですね」と、ハリーさんの口調に合わせると。


 「魔大熊はデカすぎて倒しにくいんだよ。

  武器は急所に届かないし、届いても致命傷にし難いし」


 あっ。


 3人で戦っていたと言う事は、魔法使い系が居ないのか。


 あれを武器で倒すって……。


 「十メートル以上あるんでしたっけ。

  良く倒せましたね」


 「アインの飛斬撃や強撃や疾風撃。

  ダイの大木斬で、足をやって急所へ攻撃だ」


 とハリーさんは言うが。


 「ハリーさんが素早い動きで、魔大熊を撹乱したんでしょうね」


 そう俺の推測を言うと。


 「ああ。バレルか。

  仲間が安全に技を打ち込む為にはな」


 と、ハリーさんが少し照れている。


 地味で危険な作業だろうけど、理解してくれる人がどれだけいるか、と言うのはあるんだろうな。


 と言うか、流石4級職が3人も居ると、魔法が無くてもあれを問題なく倒せるのか。


 そう思いつつ、


 「魔角熊はどうだったんですか?」


 と聞くと、アインさんがまた嫌そうな顔に。


 「魔大熊より苦戦したんですか?」


 「あっちは、魔大熊と違って動きが早くてな」


 そうか。


 大きすぎてダメージが入り辛いけど、動きが遅い魔大熊は、ハリーさん達にとってはカモなのか。


 そう思っていると。


 「魔角熊の方は、ユニコーンみたいな角を、振り回したり突き刺したりするやつでな。

  それだけなら、どうとでもなるんだが、動きが速くて、アイン達が攻撃を当てる為にスピードで勝っていた俺が魔角熊の動きを止める役になってな」


 ああ。


 しのぶ筈の忍びが、矢面に立ったわけね。


 それは嫌だろうけど、ハリーさんくらいなら経験はありそうだけど。


 「ハリーさんなら、そう言うのもそつなくやりそうですけど」


 「まあ、やるけどさ」と嫌そうなハリーさん。


 嫌そうにしていた主な原因はそれか。


 この世界は職業制が採用されていて、職業によりステータスに補正が掛かるが、それ程大きな補正は無かったはずだけど、耐久やHPが低い忍びが前面に立つと言うのは、嫌なんだろうな。


 そんな会話をしつつ状況が分かったので。


 「それで、警報が出ていない処を見ると、魔熊の異常発生は終わったんですよね」


 と聞くと。


 「ああ。昨日と今朝の調査で、ほぼ通常に戻っている事は俺が確認した」


 「そうですか。

  お疲れ様です」


 とねぎらうと。


 「お前もな」と俺の肩を軽く叩いて部屋からハリーさんは出て行った。


 という事は、今日も二人と狩りだな。

 魔熊の異常発生は、少なくとも都市の周りでは終息したようです。

 異常発生と言っても、スタンピートの前兆として、ダンジョンから流れてきている可能性もあるので、油断は出来ないのでしょうけど。

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