第110話 木工スキルのスキル上げ
魔雷牙熊戦を勝利で終える事が出来ました。
勝利は紙一重だったようですが。
魔雷牙熊を倒したので狩りを続けたいところなのだけど、どうも奴がこの辺りの魔物は殺しつくしている感じ。
まあ、それでも魔物は発生するけど効率が悪そうなので、少し西側に移動する。
と言うか、街道沿いに西の都市まで行くか。
そう言った事も考えたけど、この辺の冒険者の為に魔熊を狩ってやる必要があるのか。
明日、二人と狩りに出るかもしれないから、危険かどうかの確認も必要だし。
と、ハリーさん達とは被らない方向へ。
とりあえず、村人に転職し、発生したばかりのゴブリン達の群れに向かった。
そこからは、ゴブリン18匹、オーク6匹、魔熊4匹、魔トカゲ4匹、魔イノシシ8匹、魔蜘蛛2匹、魔アリ244匹。
魔アリのお陰で、大分転職を繰り返し、小知少能を鍛える事が出来た。
借家に帰ると二人が驚いている。
「どうしたのですか?」
「えっ。何が?」
「革鎧に艶がなくなっています」
革鎧にも雷によるダメージがあった様だけど、別に破損していないから良いかと、そのまま帰って来たのだけど。
しかし、女性はそんな事にも気が付くのか。
革鎧、新品に着替えて帰れば良かった。
そう思いつつ「ああ。少し攻撃をくらったんだ」と言うと二人とも心配そう。
おお。
ここまで思われるようになったんだとも思ったけど、自分を鍛えてくれる人が死んだら困ると思っているだけかもしれない。
食事を終え、恒例の俺はスキル上げだ。
また、薬包紙を使った生産スキルと経験値増加スキルのレベルアップでも良いのだけど、1年保存薬包紙って、そんなにいらないよね。
今、LV11以上になっていない生産関係スキルは裁縫と木工と鍛冶と錬金術。
そして、今日トレントの材木が手に入ったので、木工をLV11以上にする事にした。
更に、経験値増加スキルの経験値も稼げるなら稼ごうと思っている。
木工スキルで何を造るかだけど、こん棒とか棍とか造ろうかと思ったのだけど、スキル上げという事は、ある程度の数を造る必要がある。
でも、棍棒とか数百本あっても使わないし売れるかどうかも疑問なので、木材の消費を抑える為に小さめの物を造る事に。
後は、消費するMPを抑える為にも小さめの物が良さそうかな。
大量のMPを消費する生産と、少量のMPを消費する生産での当該生産スキル及び経験値増加スキルの成長度の違いについて、ちゃんと調べるべきなのだろうけど。
ざっと見た感じだと、大量のMPを使った大量生産、少量のMPを使った大量生産、大量のMPを使った少量生産の順に各スキルの成長がはやそう、と感じているので。
どの程度違うか、又はそれほど変わらないのかとか、そのうち調べるべきなんだろうけど、今は先送りかな。
で、少量のMPを使った小さな物を大量生産をする事にしたんだけど、だからと言って楊枝や割りばしを作るのも無駄だ。
と言う事で、木製の手裏剣。
それも小刀タイプを造る事に。
木工スキルを起動し、木工メニューを表示し、作成を選んで、メニュー内の作成物を見ながら、木製の手裏剣(小刀)と意識すると、木製の棒手裏剣が数種類出てきたので、その中で一番小さな物を選ぶ。
これだと、原材料が少しで済むので今後も大量に造れそうだ。
でも、普通に造ったのでは実戦では使えない土産物みたいにしかならないだろうから、重心を移動させ、MPで堅く重く加工して、鉄ぐらいになら刺さる手裏剣に。
1個サンプルを造り、手に取ってみる。
投げてみたいけど家を傷めるので諦め、強度とかを確かめてみるけど金属並みに堅いから、弱い魔物にも使えるだろう。
もっとも、動いている魔物とかに対しては投擲と言ったスキルが無いと命中もさせられないだろうけど。
手裏剣の作成は、小さめの手裏剣にした為か1年保存薬包紙とそれ程消費MPが変わらなかったのだけど、一応心配なので一度に100個作成と量産スキルも使用する。
それでMPの消費量を確認し、次は200個同時に作成。
ふう。
一気にMPが減るのは、体の中の活力を抜かれる感じで、少し気持ちが悪いな。
そう思いつつ、MPが危なくなる手前まで製造を繰り返す。
これで、木工のスキルもLV11を超えて+1の良品が造れるようになった。
なら魔物と戦う用に、木製の棒である棍を幾つか造っておくのも良い気がしてきたが、使い道がないと邪魔になるだけだし今は止めておくか。
そう言えば、と確認してみると棒手裏剣にも+1があるはずだ。
亜空間収納内の在庫数を見ると332個が+1の良品だ。
夜中や明日の朝、再度スキル上げをすれば更に数百個を+1の良品に出来る。
これに錬金効果を付けると言う錬金スキルのレベル上げもできそうだ。
MPがゴッソリ減ったので、何時もやるスキル上げは一部に減らして居間に向かう事にした。
居間で、1人手引書を読んでいるカトレイン。
彼女の手を引き寝室へ。
キスをしてベッドに横たえると「今日は、どうしたのですか?」と聞いて来た。
「ん。何が?」
「革鎧が痛んでいた件です」と、カトレインは軽く責めるような目をして言って来る。
「聞いてどうするの?」
「……」
「俺の事を愛しているから知りたい、とは言ってくれないんだね」
そう愛の言葉を要求しても複雑そうに、
「危険だったのですよね」
と、聞いて来るだけだ。
その事に複雑な心境になりつつ「まあね」と軽めに答えたのだけど。
「教えてくれないのですか?」
と心配そうに聞かれる。
「う~ん。どうしたもんかな。
……。
そっか。明日も写本とスキル取得の為の訓練をするなら話す、で良いのか」
「えっ。写本は終わりましたけど」
「そう。ならスキル取得の訓練かな」
そう言ってカトレインを見ると、困っている様なので普通に話す事にした。
「実は、口から雷を出す魔熊と戦ってね。
その雷がかすめたから、体中が軽く焦げたと言う感じ」
「そ。そんな」
とカトレインは予想していた事態より酷いって感じ。
「実は、魔熊が異常発生しているのでは、って話でね。
今日、出来るだけ探し出して倒したのだけど、まだああ言うのが居るかもしれないし」
「……」
「明日も家で訓練していてくれる?」
「狩りに行きたいと言えば、連れて行ってくれるのですか?」
と、カトレインは何故か不安げに聞いて来る。
「二人に甘えられたら、考えるだろうね」
そう二人の意思も尊重するよと伝えると、カトレインはホッとした表情から少し暗い表情に変わる。
しばらく、魔物狩りに連れて言ってくれなくなるかもしれない、って不安になったのかな。
そう思いながらカトレインの様子を探っていると。
「……。毎日、危ない目に合っているのですね」
そう不安そうに呟く。
「毎日では無いけど、結構な頻度だね。
ダンジョンの方が、魔物のランクが均一でリスクが少ないかもって今日も思ったし」
そう言うと「私達なんて、冒険者として生き残れない……」と、カトレインは俺から目をそらし暗い表情で呟いたので。
「そうならない様に、幾つかの職業を極めたうえで、スキルも幾つか取得してもらうって話だけど」とハッキリと伝える。
そうすると「そうでしたね」と俺との約束を思い出してくれたのか、カトレインはホッとした感じで薄く微笑んでいる。
うん。可愛い。
二人で見つめあってからキスを。
大分、恋人らしくなってきた。
その事に興奮して、今日は早かったような。
もっと、性技スキルを使いこなさないと。
少しづつですが、カトレインとも距離を詰められているのでしょうか。