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第107話 スタンピート

 少知に、この世界のダンジョンについて一般的な事を聞きました。

 次はスタンピートについてです。

 「少知。次はスタンピートについて教えて」


 【スタンピートとは、ダンジョンに大量に作成された魔物が恐慌状態でダンジョンから溢れ出る事です。

  その恐慌状態は数日続き、魔物が集団で行動するパターンもある為、人族や魔族の都市が滅ぼされる事もある現象です】


 「他には?」


 【スタンピートは、魔物同士の共食いが続き、強い個体が発生した魔物を虐殺するだけと言ったように、これ以上共食いが続いても、魔物の強化があまりなされない状態までになると、その状況を打開する為、本来はあまりダンジョンから移動しない魔物を強制的にダンジョンから追い出す現象。

  あるいは、マナを消費する魔物の発生がなされず、マナが濃くなり過ぎると、その状況を変化させる為に、魔物達が恐慌状態で、ダンジョンから追い出される現象。

  あるいは、魔物の発生がなされなかった為にダンジョン内のマナが濃くなり、そのマナにより魔物が狂わされ恐慌状態で、その危険な場所から逃げ出している状態、と言われています】


 「そ。そうなんだ。

  色んな発生理由があるんだね」


 【また、外的要因でマナの濃度が異常に濃くなる事によっても、その状況を変化させる為に起こる現象、とも言われています】


 外的要因か。


 マナを誘引する方法とかがあるかもしれないのか。


 ああ。さっき刻印魔法にマナ源泉を作る刻印があるって言っていたか。


 まあ、それは置いておいて、


 「マナ(管理されていない魔力)が濃くなると魔物が狂うって話があるって事は、濃くなり過ぎると不味いの?」


 【管理下にある魔力ならば問題ないのですが、魔力は高エネルギーですので濃くなり過ぎると何らかの予期せぬ暴走を起こす可能性があります。

  また、世界の運営者・管理者としてはマナを効率的に運用したいと言う意図もありスタンピートと言う現象が起こされる、とも言われています】


 その情報は、また神から転生者が聞いたって感じの内容だな。


 「スタンピートについての説明を続けて」


 【スタンピートは、魔族に対する支援策としても行われる現象でもあり、イレギュラーを発生させる為に神により起こされる事も、刻印魔法を高レベルで使えるモノ、スタンピートを起こせるマジックアイテム等でも起こされる現象です】


 「そうなんだ。

  でも、魔族に対する支援策って」


 【魔族は、寿命が長い分、子を成しにくく、その数が減少しやすい種族であり、その為の緩和策として魔物の中で強くなったモノを魔族にすると言う理がある為、強い魔物を多く育成する事は魔族に対する支援策になります。

  そして、スタンピートは、強い魔物を発生させる起因となる事もあります】


 「そう言う事ね。

  いや。それで上手く行くのかな。

  まあ、良いか。」


 「で、スタンピートについては?」


 【……】


 一般的な情報は終わりか。


 「人族の世界では、スタンピートはどう思われているの?」


 【ダンジョンを放置した怠惰な人族に対する神の怒り。

  飢えた魔物の暴走。

  と言う説が主流です】


 「なるほどね」


 とりあえず、人族や魔族が討伐して魔物の間引きをしていないダンジョンは、必ずスタンピートが起こると言う事だろう。


 「最初の方の説明の情報源は?」


 【転生者が神に聞いた情報です】


 やっぱりか。


 「マナって濃い場所と薄い場所があるんだ」


 と、基本的な事を聞いてみた。


 【マナの発生源は様々です。

  この星の生きとし生けるもの全てから発生していますし、この星自体からも、太陽などからも発生している空間に満ちる魔力の事です

  マナの持つ性質はバラバラで、惹かれあうように集まるマナもあれば、マナの集まる場所から逃げる様に弾かれて行くマナ。

  空気の様に流れるマナ、水の様に流れるマナ、と言ったように様々な性質を持つため、その分布は均一ではなくマダラ状態となります。

  また、この星の発生させている膨大なマナはこの星を維持する為に使われている為、海流や気流の様に地下、地上、空中を流れマナの消費地や発生地に流れ、流れがよどんだ場所でマナを空間に拡散させたりもしています】


 「う~ん。なんでそんな風になるの?」


 【世界の理と言うしかないと人族の間では言われています。

  また、転生者が神から聞いた話では、例えば前の世界であれば高圧電線を国中に張り巡らせていたように、マナと言うエネルギーを世界中に行き渡らせる為にそう言う理になっている、との事です】


 「マナの巨大な消費地とかあるのかな」


 【世界の理によって、マナが消費される場所は世界中にありますが、巨大な消費地と呼ばれるモノは有りません。

  基本、気流や海流の様に循環しているモノです】


 「神様達が、そのマナを使って何かをするという事は無いの?」


 【……】


 返事はないか。


 「ダンジョンではマナを使って大量に魔物が生じるのだから、マナの消費地と言えるのだろうけど、高ランクのダンジョンでも、巨大とは言えないんだ」


 「はい」


 「マナの流れである竜脈がどういうレベルか良く分からないからピンと来ないけど、ちなみにこの星の発生させたマナが湧き出す場所がダンジョンと言う事?」


 【違います】


 「違うんだ」


 【マナが湧き出す場所は、マナ源泉と呼ばれています】


 「マナ源泉は、必ずダンジョンになる訳では無いと言う事?」


 【はい】


 う~ん。良く解からない部分もあるけど、とりあえず目先の事を考えるか。


 「スタンピートの周期は?」


 【数十日から数千年となっています】


 「何故、それ程の幅があるの?」


 【マナの濃さ、発生する魔物の種類、討伐の頻度等により異なる為です】


 「討伐がなされていないと、その頻度は?」


 【数十日から数百年です】


 駄目だ。幅が広すぎる。


 「この都市の近くのダンジョンのスタンピートはいつ起こる?」


 【……】


 「この都市の近くのダンジョンのスタンピートが以前起こったのは何年前?」


 【83年前です】


 微妙だな。


 注意はしておくべきだけど、気にしてもしばらく起きない可能性もありそうだ。


 「スタンピートが起こる前兆は?」


 【本来、あまりダンジョンから出ない筈の魔物が、活発にダンジョンの外に出てき始めます】


 「その前兆があってから、スタンピートが起こるまでの期間は?」


 【数十日から十数年と言われています】


 期間の幅が長すぎるな。


 ハリーさんの情報通りだったけど、これでは逃げた方が良いのかどうかも分からない。


 そう思いつつ、今日の狩りに行く事に。

 スタンピートについての一般的な確認をして、狩りに行くようです。

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