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第102話 転生者達への認識

 今日の狩りを終え、都市に戻り食事を始めるようです。

 そこで出た会話の内容は。

 都市に無事に戻り、借家での食事中にカトレインが聞いて来る。


 「今まで、力を隠していたのですね」


 そう若干睨みながら言われたのだけど、


 「いや。今でも力を隠しているけどね」


 と事実を告げると『どうして』と言う風に口が動いた。


 だから、ちゃんと答える事にする。


 「不安なのは君達だけじゃない。

  俺もそうだからね。

  まあ、今は愛する二人になら、あの程度なら見せても良いなって、色々と見せているけどね。

  強くするって約束もあるし」


 そう言うと「私達とは、本当に違うんですね」と絶望した感じでクトリアが言ってくる。


 畜生。


 『愛する』と言う部分は無視されてしまった。


 「はあ。

  何度も言うけど、幾つかの力を手に入れれば、あの程度の事は出来る。

  しかも、俺より強い者だって、腐るほどいる」


 そう言っても二人とも納得していない感じだ。


 なので、追加の話もしておく。


 「俺だって、ダンジョンへ行って成長の雫を5個とか10個手に入れられれば、もっと強くなれる。

  成長の宝珠や成長の祝福と言ったマジックアイテムがあれば、それもあっという間に可能。

  俺は、持っているスキルの数が多い分、どれも十分に鍛えられていないんだから」


 まあ、本当は転生して来たばかりで、スキルを鍛えている時間が無かったからだけど。


 「そ。そんな」


 と、カトレインはCランクをあっという間に倒した力が弱いと言う事を認めたくない様だ。


 近くに、強者が居なかったと言う事なのかな。


 「上には上がいる。

  化け物みたいなのがね。

  それも忘れないで」


 そう注意を促すと「転生者達の事ですね」とカトレインが吐き捨てる様に。


 転生者は嫌われるように情報操作されていると言う事か。


 無理やり奴隷化しても、非難されない様に。


 国民が転生者に同情しないように。


 あれ?


 そう言えば、この国では最近まで奴隷化はしていなかったって話だった気がするけど。


 奴隷にはしなくても、見つけ出して強制的に国に従わせたりはしていたと言う事か。


 なら、この国の常識に合わせておくべきだろうと、


 「それ以外にも、国を挙げて鍛えている連中も居るけどね。

  でも、転生者は最初から強力な力を得ているのだから、狡いよな」


 と、自分が転生者である事を隠すと意識しながら詐術スキルを使い、教えてくれた事を発言する。


 「本当に狡いです」とカトレインは断言した。


 「何故、こんなに不公平なんでしょう」と、クトリアも改めて文句を言っている。


 「まあ、俺達を救ってくれている分には優遇されていても、良いんだろうけどさ」


 「でも、国の政策に異を唱えて、逃げだしたり国と戦ったりした転生者もいるそうですから……。

  本当に許せません」


 そう言うカトレインと、それに頷いているクトリア。


 そう言う認識なんだ。


 確かに、転生時にスキルとか装備とかを渡されているのは、不公平に見えるだろうけど。


 だったら、お前らも力を得る為に訓練とか生産とかしろよ。


 ああ。この世界で生きると言う事自体が大変で、そんな余裕がないとか言い訳があるのかな。


 でも、大切なモノから強制的に切り離されて、この世界に来ている者だっているだろうに。


 親、友人、愛車、ゲーム、未完の小説や漫画、少ない貯金、自由と平和。


 兄弟は縁を切りたいが、それでも可愛い甥っ子と姪っ子。


 心の支えである祖父母のお墓、おふくろの味、日本食、ネットやスマホ等の便利な道具、娯楽、親しい友人達との繋がり、困った会社の後輩、可愛がってくれた会社の先輩、苦労して築いた得意先との関係、やりがいは無かったけど責任感をもってしていた仕事、数十年生きて来た軌跡。


 恋人、妻や子供のいなかった俺だって、無理やり切り離されて心残りになっている事や物があると言うのに。


 寿命を終えて、この世界に転生した者だって、何故静かに眠らしてくれないのか、等と思う事はある筈だ。


 スキルや装備を持って転生してくると言う理由だけで、強制的に奴隷にされ、命がけの戦いに強制的に出される事に正当性なんてあるのか。


 二人は、ただ奴隷になると言うだけでも嫌がっているのに。


 そう思っても、転生者を擁護する発言はしない方が良いんだろうな。


 でも。


 そう思い、詐術スキルに聞く。


 俺が転生者と思われない程度に、転生者の擁護は出来ないかって。


 「ほんと頭に来るけど、俺の師匠が転生者にその事を伝えた事があるんだって」


 「えっ」と、驚いている二人。


 「平和に暮らしていた処を、知らない間に殺されて、強制的にこの世界に転生させられたんだってさ。

  愛する恋人や家族に別れも告げられず、愛する人たちの記憶から消され、絶対に前の世界には戻れないって宣言されたのに、それのどこが優遇なんだってさ。

  本当だと思う?」


 そう言うと、二人は黙り込んでしまった。


 二人は真面目で優しい人だから、真面目に転生者について考えているんだろうな。


 でも、そうでは無い人が多いのも人の世だろう。


 キッチリ、転生者を貶める情報操作はされている感じだし。


 この世界で生きて行く為には、色々と注意し隠した方が良い。


 そう思いつつ、複雑そうな表情になった二人をただ眺めていると、どうも彼女達を落ち込ませてしまったようだ。


 まあ、転生者の地位向上の為には、この程度の事は。


 いや。


 変な事はしないでおこう。


 自分の命や自由が優先だしね。


 なので、話題を変える、と言うか元に戻そう。


 「狡い転生者達は兎も角、俺や師匠達は、物心つく前から過去のノウハウのつまった訓練を開始し、成人を迎える頃には、数個から十数個以上のスキルを手に入れているんだけど、二人は何をやっていたの?」


 「えっ。でも、生活の為に働いていたから」


 「なる程ね。

  親の稼ぎだけで充分生活できる環境じゃないから、子供が家の為に働いているうちに大人になって稼げるだけの力が無いって感じの悪循環なのか」


 「そ。そんな」


 「ダイスケさんは、スキルを十個以上持っているんですか」


 「転職しまくって手に入れたスキルを含めると、そうだね」


 そう言うと二人は、目に見えて落ち込み、会話が止まってしまった。

 クトリアとカトレインは、同じ年齢程度の主人公が十以上のスキルを持っていると聞いて、落ち込んでしまいました。

 転職さえ出来れば、ある程度の数のスキルは手に入れられるのですが。

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