第100話 才能の有無
新しく得た力、量産スキルと並列思考スキルは、良さそうなスキル。
それを確認後、朝食に向かいました。
新しく得た力、『量産スキル』を使い大量にモノを造る事によるスキル上げ。
それを終え、朝食を食べているとカトレインが「大丈夫ですか?」と聞いて来る。
「ん。何が?」
「少しボーっとされているようですから」と少し心配そうだ。
「ああ。スキル上げを頑張り過ぎて、MPが危なくなってね」
「それは。気を付けないと」
つい最近、自分もMP枯渇で意識を失った事を思い出したようで、カトレインが少し怒った感じで言ってくる。
う~ん。素はこういう面倒見のいいタイプなのかな。
「ああ。でも、こう言う事でも魔力回復とか魔力節減とかのスキルが手に入るはずだし、難しい処だけどね」
そう言うと、色々と思う処があるようで、
「私も、祈願スキルを使ってそう言う訓練をした方が良いでしょうか」
とカトレインが少し困惑した感じで聞いて来るけど。
「いや。まだMPが少ないから危険だと思うよ。
魔回薬も用意しておいた方が良いし」
「あ。そうですね」とカトレインが納得したところでクトリアが聞いて来る。
「今日は、狩りに連れて行ってくれるのでしょうか?」
「ああ。行きたいのであれば、一緒に行こう」
そう言っている途中にカトレインの様子が目に入ったのだけどシマッタと言う表情。
昨日の夜に話した『有用で強いスキルを手に入れられれば世界が変わるくらいの違いがあるからスキルを取得の為の修行を頑張ってね』との話をクトリアにしておけば良かったと言う感じだろうか。
まあ、家に籠って写本とスキル取得の為の訓練では、気が滅入るだろうし。
とは言っても、魔物狩りは危険なのだけど。
朝食を終え、彼女達が片付けている間、俺は庭で体を動かす方の訓練。
それをしていると、今日は二人とも訓練してくれとやって来た。
う~ん。
洗物なんかは生活魔法でさっと片付けて、訓練した方が良いのかな。
まあ、MPを回復させるにはMPを結構使う生活魔法も使わない方が良いのだけど。
クトリアには剣技を、カトレインには槌技を持っていないので、戦闘士技に教わりながら指導する。
30分ほど軽く汗を流し、3人で冒険者ギルドへ行き、魔物の買取依頼と代金の受け取り。
魔鹿は、魔石Fが50GAUの21個で1050GAU。
肉が1個5000GAUの84個で420000GAU。
魔鹿の肉は魔イノシシの肉に比べて小さめなので、安い様だ。
いや。隠れたまま倒したから分からないけど、魔イノシシに比べて狩りやすいとかあるのかも。
オスの角とかは怖かったけど、魔イノシシの方が強そうだし。
どちらにせよ、魔石だけの買取に比べると、ばかみたいな金額になる。
そう思いつつ、魔鹿を22頭買取に出して冒険者ギルドを後にした。
今日は東側の門から都市の外へ出た処で、クトリアが謝って来た。
「その。すいませんでした」
「私も、すみませんでした」とカトレインまで謝ってくる。
ある程度予想は付くけど、二人がそこまで謝ってくる理由が納得できないので、
「えっ。何が?」
と、驚いてみせると。
「スキルを取得すれば世界が変わるって話、朝食の片付けの時に聞いたので」
と申し訳なさそうにクトリアが言ってくる。
「それで何で謝るの?」
「えっ。でも、私達の事を色々と考えてしてくれているのに、私が我が儘を言ってしまって」
と、クトリアは申し訳なさそうに言ってくるけど。
「我が儘でもないと思うけど。
それに、長いスパンで考えないと駄目だって事は分かったのでしょ」
「はい」
「と言う事は、長く続けられる様に鍛えて行くしかないという事だから、飽きない様に、嫌にならないように、その時の気分とかも考えながら鍛えて行かないと駄目だろうからね。
だから、別に今日狩りに行ったからと言って、我が儘ってわけじゃないよ。
職業経験値を得る事だって、大切な事だし」
そう俺の認識を言うと、
「はい」とホッとした感じで言ってくるクトリアとカトレイン。
「じゃあ、また30分程度疲れない速度で東へ行ってね」と言った処で。
「その……。
私にも才能はあるのでしょうか?」と不安げに聞いて来るクトリア。
「少なくとも、二人とも『鍛えてもスキルは取得できない』とか言われた事ないよ」
「そ。そうですか。では行きます」
ホッとした表情でクトリアは走り出した。
スキル取得の努力しても、それが報われない。
二人とも、それは無いようです。