第6話 MPIのお姉さん その3
3名の方が評価してくれています……嬉しい!!
ありがとうございます!!
御礼に本日、先ほど投稿したものも合わせ3話投稿しますw
第6話 MPIのお姉さん その3
―旭野朽―
起きては気絶
起きては気絶
起きては気絶
と3回も繰り返した結果。
そろそろふざけるのも辞めようと母と話し、膝枕を辞めて数分。
「度重なる醜態……大変お見苦しいものを……申し開きのしようもございません。」
鬼塚姫子さんは随分とまじめな人の様だ。
清楚系まじめポンコツ……散々擦られつくした分野だが、何とも言えない魅力だ。
「そんな、こちらもいきなり馴れ馴れしかったですよね」
あからさまに落ち込んだ雰囲気を出し、反省アピール。
「わ、わたしはき、気にしておりましぇん……」
「あ、下の名前でお呼びするのとかも……」
「じぇ、全然!無問題です!Welcomeです!」
「よかったぁー。それじゃぁ姫子さん。これからよろしくお願いしますね」
「ひゃ、ひゃい!」
超絶美少年の全力スマイルの威力にひれ伏すように、彼女は三つ指揃えて礼をする。
―鬼塚姫子―
夢のような時間だ。
最初はそう思った。
保護対象の旭野朽様は資料で見る以上に美少年だった。
変声期を途中の甘く低い声はまるで天上の調べのようで。
全体的に均整の取れた顔のパーツは、計算されて配置されているかの如く美しい。
身長は若干私の方が高いが、成長期も加味すればこれから大きくなっていく。
天使という言葉で彼を表現できるか?
否、断じて否である。
森羅万象の全てが、彼を讃えるために生まれてきたと表現しても差し支えない。
主はここに降臨せり……あぁ美しきかな至上の美よ。
などと変な場所に行くできるぐらいには、彼は素晴らしかった。
世の男性の多くに見られる高圧的な態度も見られない。
やや悪戯っ子のような屈託ない笑顔を浮かべることもしばしば。
彼のその愛すべき姿勢は、傲岸不遜を地で行くすべての男性に、見習ってもらいたい。
4度目の気絶から復活した私はいくつかの言葉を交わしながら彼をそう評した。
彼の男性保護監督官になれて本気でよかったそう思った。
次の言葉が来るまでは……。
「それじゃ母さん。姫子さんは予定通り住み込みって事で」
「へ?」
「そうね~様子を見ながらになるでしょうけど~よろしくね~姫子さん」
住み込み?
は?
へ?
ん?
住み込み!?
聞いてない!?いくら男性保護監督官でもいきなり住み込みなんて!?
徐々に信頼を築いていって……というか、徐々に朽様に耐性を付けていく予定がぁ!
「い、いえ。最初から住み込みというのは……」
「……そう……ですよね。やっぱり僕なんかといきなり同棲は……」
シュンという擬音語がどこからか聞こえてきそうなほど落ち込みを見せる朽様。
子犬のような潤んだ目つきと震える声音。
激しく母性を掻き立てられるが、それどころではない。
「あらあらまぁまぁ。姫子さんはいけない子ねぇ~朽さんを困らせるなんて……」
表情は変わらない。
にこやかにおっとりに声を発するお母さま。
旭野雅は男性保護団体の要注意危険人物だ。
彼女の発言には当然裏の意味がある。
(ワレェ、うちの朽の言うことが聞けんのか?おぉ?)
一切笑っていない目がそう訴えてきていた。
(ひぇ!やばいやばいやばい。)
あの目は獰猛な狩人の目だ。
「い、いえ!誠心誠意、朽様の保護に努めさせていただきますっ!」
「よかった!姫子さん!これからよろしくねっ!」
にこやかな表情で握手を求める朽様……あぁおててやわらかい。
そんな現実逃避の思考と共に現実にも思いを馳せる。
(こういう親が居るから世の男性が我儘放題になるんだよなぁ)
「姫子さぁ~ん。何かぁ~?」
「い、いえっ!なんでもございません!」
こうして、旭野朽の家に新メンバーが加入した。
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