第4話 MPIのお姉さん その1
見惚れるという経験を一度でいいので味わってみたいものです。
第4話 MPIのお姉さん
男性保護監督官とは何か?
簡単に言えば男性専属の護衛である。
彼女らは財団法人男性保護団体で日夜訓練に励み、男性の護衛として様々な任務に従事する。
専任と呼ばれる専属の人間のほか、男性の要望に合わせてチームを編成しその護衛に従事するのだ。
護衛であるので武道や格闘技は熟達しており、並みの女性はもちろんのこと筋力的に優れた男性でさえ歯牙にもかけない。
そして彼女らの素晴らしい点は何もその武力だけではない。
男性を目の前にしても失われることない冷静さ、男性と時間をともにすることが多いので彼らを満足させるだけの教養、そして何より彼女らの美しさである。
男性保護団体では男性保護監督官に独自の容姿基準を設けている。
かわいい系・クール系・清楚系と体系的にまとめられているので、男性は専任の男性保護監督官を選択する際にカタログから好みの者を選択できるのだ。
男性の多くは、武道や教養などのスペックを重視する傾向にあるらしいが……。
―旭野朽―
扉を開けた時、そこに天使がいた。
財団法人男性保護団体なる組織から、広辞苑並みの分厚さを持つカタログが送られてきたときは仰天した。
女性のプロフィールが、かわいい系・クール系・清楚系別にまとめられていたのだ。
彼女らのプロフィールには
格闘技を得意としていますとか
射撃の成績が良いですとか
大会で入賞しましたとか
アピールポイントとなる身体能力の高さが記述されているほか
茶道の大家出身ですとか
ワインソムリエですとか
精神科医ですかとか
公私にわたり男性をサポートできるというようなポイントも事細かに書いてあった。
そんな中から最初に選任を選ぶことになったのだが……。
ぶっちゃけた話、最初からそれらプロフィールなど全く見なかった。
そうこのカタログで最も重視したのは……。
顔とスリーサイズ!
我ながら最低の選定基準である。
しかし、そうした事を重視して選定した甲斐があった。
鬼塚姫子 24歳
B:W:H = 84:58:74
身長:174㎝ 体重:68㎏ カップ:D
清楚系であり、剣道を得意とする。
2年間の従軍経験があり、銃火器の取り扱いもライセンスを所持している。
カタログスペックは大体こんな感じである。
スリーサイズは黄金比ともいえるBとW、WとHがそれぞれ20cm前後の差、所謂ボンキュボンである。
あ、ちなみに別におっぱい星人ではないのでカップは選定基準にない。乳に貴賎なし
そして、特筆すべきはその容姿。
実物を見ると半端ない……超美人。
切れ長の目からは艶やかな印象が醸し出され、筋の通った鼻と相まって日本人離れした顔立ちに見える。
腰の辺りまで伸びた黒髪を高い位置で結び、さらさらとした髪質はまるで絹糸のように美しい。
パンツスーツは長い手足をより強調させるとともに、抜群のスタイル(主に胸部と臀部)をこれでもかと主張させていた。
姫子さんと目が合い数秒。
お互いが見惚れるという数奇な間からまず回復したのは彼女の方だった。
「す、すいません!見惚れ……いえ!その!あの、はい!財団法人男性保護団体から派遣されました男性保護監督官の鬼塚姫子です」
顔をやや赤らめ早口にまくし立てる彼女は、清楚な見た目からは想像できないほど愛らしい。
「あ、すいません。僕も見惚れてしまいました。では、中にどうぞ。」
こうして母と二人だけで過ごすには広すぎる新居に初めてのお客さんを招き入れた。
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