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特選男子!~あべこべ世界でモテモテになりたいっ!!~  作者: みぞれパンダ
第1章 特定選別研修 金見山高校編
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第33話 ゴールデンウィーク その4

昨日、投稿予約し忘れておりました。

本日2話投稿いたします。

第31話 ゴールデンウィーク その4


―旭野朽―


 食卓は洋間だった。

 最奥には祖母が座りその隣には母さんとそっくりな女性が座っている。

 おそらく、彼女が俺の叔母にあたるのだろう。


 そしてその対面にはいとこの光が座っている。


 入口にほど近い席に案内され、席に着く。

 三者三様の品定めするような視線。

 全身を舐めるような目線がどうにも落ち着かない。

 

 「さぁ揃ったなそれでは食事を始めよう……」

 

 祖母の号令で食事が始まる。

 

 無言で黙々と食べ進めるが、どうにも気まずい……。




―旭野流雅―


 娘が男児を生んだ。


 そんな報せを受けた時、声を大にして主張した。


 お前なんかが子育てなんてとんでもない!

 しかも男児だとっ!?

 無理だっ!本家に預けろっ!


 そんな事を罵倒と皮肉交じりに喚いてしまった。


 旭野家当主として過去の私の判断は間違っていなかったと思う。

 あの娘は鬼子だった。

 実の娘とは思えぬほど手が付けられない悪童。


 今にして思えば、苛烈な性分とその行動が強く結びついた素直な娘だったのだ。

 しかし、それが許されないのが名家という物。


 あの娘を矯正しようと

 不格好ながらも真っ直ぐなあの子を矯正しようとして

 自分勝手に曲げてしまったのは私だ。


 子を産んでしばらくして、あの子が私を頼ってきたとき、私は何とも言えない気持ちになった。

 過去私が吐いた言葉が正しかったのか……。


 一瞬、頭をよぎった考えはその後、家の者に調べさせた経緯で間違いだと気づいた。


 吐き気のするような邪悪に真っ向から立ち向かう姿勢は、どこか若かりし頃の娘を彷彿とさせた。


 私は手間暇を惜しまず事後処理に奔走した。

 よかった。


 願わくば今後もこの心身共に健やかな男児が、真っ直ぐに育つことを偏に思う。




―旭野流―


 妹が子を成した時、私は母の言葉に激しく同意した。


 妹の悪童ぶりは地元でも有名になるほどで、夜な夜な街を出歩いては良からぬ者たちと非行に走った。

 犯罪すれすれの行為もエスカレートし、いよいよ母に勘当された。


 そんな妹が親となった。


 不安や心配が脳裏をよぎるが、それは妹自身の身を案じたわけではない。

 生まれてくる子が不憫でならなかった。


 「朽さんと申しましたね?雅はしっかりと親をやれていますか?」


 食事時にする話ではないかもしれない。

 しかし、母が太鼓判を押す男児には聞かずにはいれない質問。


 「質問の意図が分かりかねますが、母は私にとって掛け替えのない人です」


 少しだけムッとする表情で朗々と語るその言葉に私は全身の力が抜けるようでした。


 「失礼。安心しました」


 彼の発言は母を慮る物。

 その一言だけで今の妹が、どれほどかつての人物像とかけ離れているかがわかる。


 無言で進む食事会の中でこれほどまでに安堵を覚えられるとは……。


 数奇な物です。



―旭野光―


 おかしい。

 どうにも気まずい夕餉の席で黙々と出された料理を処理していると、目が合うのだ。

 

 かの男児、旭野朽と……。


 「なんぞ?わらわの顔に何かついておるのか?」


 目が合うたびにドキリとするせめても仕返しのつもりだった。


 「うん。右のほっぺにソースがべったりついてるよ」


 「んにゃっ!?」


 慌てて頬を拭こうとするも、彼はさらに笑みを重ねる。


 「ふふ、そっちじゃないよ」


 朽が席を立ちわらわの横まで来てから頬を拭ってくれる。


 「ほら取れた。光ちゃんはお箸できちんとご飯食べれて偉いね」


 「わらわをぐろうするかっ!?」


 「そんなつもりは、褒めてるつもりだよ?」


 「わらわはもう7歳!立派な淑女ぞ!」


 胸を張るがその仕草すら小ばかにされているようでむかっ腹がたった。


 「母様からもなにか……」


 助けを求めるつもりで母に目をやる。

 しかし、いつもなら静かに優雅に食事をする母はそこにはいなかった。


 そこには頬にソースをつけた母がいた。


 「どうかしたの?光?私の頬に何かついているかしら?」



 その後、祖母に大目玉を食らったのは言うまでもないだろう……なぜかわらわまで。 

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― 新着の感想 ―
[一言] めちゃめちゃ好きです!忙しいとは思いますが更新楽しみに待ってます!
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