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特選男子!~あべこべ世界でモテモテになりたいっ!!~  作者: みぞれパンダ
第1章 特定選別研修 金見山高校編
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第26話 灰被りの秀才 その10

灰被りの秀才 次回 完結

第26話 灰被りの秀才 その10


―宮本明日香―


 油断していた。

 今思えば、あの夢を見たのも何かの啓示だったのかもしれない。

 

 「みぃ~つけた~2号」


 間延びした口調。

 粘着質な声質。

 2号という言葉。


 その声を聴いたとき、私の全身に電流が走ったかのように震えた。


 奴だ……奴が来たんだ。


 お辞儀の姿勢から顔を上げるとそこには一人の男がいた。

 周囲の客が彼を囲んでいる。


 外面は確かにいい。

 旭野朽とは別系統の顔立ちであるが、それでも確かに整っている。

 

 さわやかな顔立ちに細い目。

 やや髪を長めにして後ろに一本で束ねた中性的な容姿。

 

 何度も何度も夢に見た。

 何度も何度も思い出した。


 奴……佐山浩平だった。



 「え?また男の子?宮本さんも隅に置けないのね」


 そんな店長の言葉にとっさにそちらを睨めつけてしまう。

 違う!違う!違う!あいつはそんなんじゃないっ!

 

 そう言いかけて自分の声が出ないことに気づいた。

 あう、あうとまるで酸素がなくなったみたいに口をパクパクさせてしまう。


 いつもと様子の違う私の様子にいぶかし気な表情をする店長。


 「あ、あの宮本さ……」


 そんな店長の言葉を遮って、やたら高いテンションで佐山が喋り始める。


 「ねぇ2号ほんとにこんなところで働いてんの?まさか本当だったとは」

 「あの人に教えてもらった通りだわ」

 「ねぇ戻ってこない?今日で17号が辞めちゃうんだよ~」

 「やっぱ1、2号ほどみんな気骨がなくてさぁ~」


 な、なにを言っているの?

 あんなことを……あんな蛮行を!?

 10人以上に、ずっと続けていたの?


 「なぁ2号?どうしたんだよぉ返事はぁ~?」


 ぺしぺしと頭をはたいてくる佐山に私はどうしても言葉を返すことができなかった。

 脳裏にはずっとずっと虐げられてきた記憶が浮かんでくる。


 『画鋲が100個刺さるかなぁ~』

 『なにこれコラ画像見たい』

 『奴隷は奴隷らしくってね』

 『なに?2号おなかすいたの?』

 『ほら、お食べ2号』

 『金さえあればいいんだよなぁっ!?』


 私は震えることしかできない。

 もう、嫌っ!


 「なんだよ?あ?無視か?えぇずいぶん偉くなったなぁ2号っ!」


 そういって、私の胸倉をつかんでカウンターから引っ張り出した佐山。

 抵抗する気力さえ起きない。

 引きずり出されてカウンターに準備されていたハンバーガーを無理やり口に押し付けられる。


 「お腹すいてんのぉ~?ほら、あ~ん」

 「ちっ!食わねぇのかよ」

 「あ!そうだよな2号はこうしてやらないとなぁ~」


 佐山は“あの笑顔”で床にハンバーガーを落として


 グシャ


 踏みつけた。


 「ほら、お食べ~」






 「……もう、許してください。お、おねがいします」


 「あぁ?」


 「なんでもします……だ、だから……もう私に、か、関わらないで」


 「は?なんだよそれ……なんだよっっ!!それぇっ!!」


 口角に泡をためて叫び散らす佐山の声が、鼓膜をつんざいた。

 やっとの思いで出た声も佐山の絶叫にかき消された。


 「もういいや、んじゃ土下座しろ。それで勘弁してやっから」


 ほんとに?

 それでおわり?

 もう?いたいことない?


 あぁこれで……わたしは……






 「どけっ!!」


 あぁやさしいひと

 

 どうして、あなたがおこっているの?


 あなたもわたしにいたいことするの?


 「宮本さん。どうする?」


 わかんない

 いたいのはいや


 「僕は君を助けたい」


 た、すけ……る?


 「君のために、なることをしたい」


 わたしのため?


 「どうしてほしい?」


 ずっとずっといえなかった。

 いままで、ずっと……。


 あのいえでも

 学こうでも

 今でも

 

 わたしは……私は……。






 「……助…け、て。助けてっ!旭野朽っっ!!!」


 「わかった。今助ける」

【読者の皆様へ】


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