第11話 入学式 その1
第11話 入学式 その1
国内外の高級車が校門の前にずらりと並んでいた。
高級車の見本市のような光景。
私立 金見山高校
国内でも有数のお嬢様学校であり偏差値は驚異の72。
知力・財力ともにトップクラスの生徒のみに門戸が開かれている高校で
旭野朽が今日から通う高校である。
―旭野朽―
高級車の大渋滞に巻き込まれ、やっとの思いで校舎にたどり着いた。
イメージではリムジンがずらりと並ぶ光景を想像していたのだが……セダンのような車種が多かったのは意外だった。
そんな感想を口にしてみれば
「本当のお金持ちは登校にリムジンなんて使いませんよ。品のない成金だと思われますから」
とは松平さんの言である。
パーティーや晩餐会などでは乗ることもあるそうだが、車にもドレスコード的なものがあるのかと理解した。
かくいう俺も黒いSUVの送迎で登校することになったが、これは安全面を考慮しての事だという。
「防弾仕様です……7.62mmでも耐えられます。車重もかなりありますのでロケット弾でも1~2発ではびくともしません」
とどや顔で話していた片野さんが妙にかわいく見えた。
にしてもそのスペックはもはや自家用車ではなく装甲車である。
と、まぁ今日から俺は高校生だ。
私立の女子高に入学することになる……そう!女子高にっ!
特定選別研修……正式な特選男子としての仕事、特定選別業務を行うにあたって簡単なものからやっていきましょうということになったのだが。
その内容は
1年ごとに別の女子高に行き女性に慣れましょう
とのことだった。
(いや、ちょろすぎかwww)
と内心では草を生やしまくっていたのだがそう簡単な話でもないようだった。
と言ってもこの世界の男性にとってはという枕詞がつく。
男性は通常15歳まで男性保護特区つまりは男性しかいない環境で育つ。
基本的に女性との接触は家族のみになるのが普通だ。
15歳を迎えると世の男性は特区の外に出て、親戚などに接していく。
そして、国の結婚支援センターでお見合いをして結婚するという流れになる。
つまり、この世界の多くの男性は中卒だ。
そして、大量の女性に囲まれるという経験をすることはほとんどない。
なんとも勿体ない話であるがまぁ考えてみれば妥当なところである。
男性を経済的に支える物は国からの補助金である。
女性は外で出て働くことが当たり前で、それも最低でも5人の妻がいるのだ。
子種製造マシーンに徹することになるのも当然かと思える。
そんなこんなで、この究極的な女性社会の中できちんと責務を果たせるかを、この3年間の研修で見られているというわけだ。
そして今日はその特定選別研修、記念すべき1日目だ。
つまりは入学式。
これから俺の輝かしい女子高生活が始まる!
ぐへへ
評価・感想が今後のモチベーションにもつながりますので
どうぞよろしくお願いいたします。




