第9話 ラッキースケベ その3
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本日3話目です。
第9話 ラッキースケベ その3
朽のラッキースケベ作戦は想定外な事態が起こりながらも成功した。
しかし、若さゆえの内からあふれ出るリビドーは治まること知らない。
それはそうだ。
前世では15歳健全男子が女性の裸体を直視すれば、性欲は治まるどころか高まりの一途を辿ることになるなど、火を見るよりも明らかだろう。
つまり、それだけ冷静ではなかったのだ。
自身の事を天才などと言っておきながら、そんな簡単な思考すらもできないほど彼の情欲は高まっていたのだ。
そして、深刻なことに作戦まで立てて手に入れたラッキースケベチャンスは、あれから何度も朽に襲い掛かっている。
端から策を弄さずともタイミングの問題だったのだ。
「もう!母さんお風呂から上がったらきちんと服を着て出てきてください!」
「姫子さんも!何平然とパンツ一枚で上がってきてるんですか!?」
こうした注意は今日が初めてではない。
元々、家の中では比較的奔放だった母親が同性の増加により、まるでタガが外れたように自由になっていく様は、朽にとって恐ろしいほど目に毒だった。
最初の内こそ眼福眼福と拝んでいたが、彼も溜まるものは溜まるのだ。
妙に距離の近い家族関係のせいもあり発散させることが中々難しい環境。
その日が訪れるのも必然だった。
―旭野朽―
「……最悪だ。」
朝、妙に下半身が気持ち悪いと思えばやってしまった……。
ぐっしょりとした感覚に嫌気を覚えながら、風呂場に直行する。
そそくさと服を脱ぎ、パンツだけを持って風呂場に入る。
軽く体を流した後でシャワーを止め、ごしごしとパンツだけを洗っていると、ふと脱衣所に人の気配を感じた。
ガラガラ
浴室の扉を開けたのは姫子さんだった。
「「……」」
タオルで前を隠した姫子さんと全裸の俺。
「きゃー姫子さんのえっちー」
あえて棒読みで冗談だと伝わるように言ったのだが、見る見るうちに彼女の顔は青ざめていく。
「も、もももも、も……申し訳ありません!!!」
その場で土下座をする姫子さん。
おそろしく速い土下座、俺でなきゃ見逃しちゃうね……。
なんて冗談も通じない。
男性のしかも保護対象の裸体を見てしまった。
故意ではないとはいえ、この世界の男性基準でいえば即解雇・訴訟ものである。
「大丈夫、大丈夫。姫子さん俺の方こそごめんね……。」
「く、朽様……なんと寛大な……」
「ほら風邪ひいちゃうよ」
しかし、俺は転生者……女性に裸を見られた?
全く問題ない!
むしろ、美人のお姉さんに裸体を見られるなんてご褒美だ。
「そ、その今すぐ出ていきますので!」
彼女のそんな発言に待ったをかける。
「そ、その良ければさ……一緒に入らない?」
「へ?」
ここで顔を赤らめるのを忘れてはいけない。
あくまで俺は純真無垢な男子中学生。
そう自分に言い聞かせわずかにはにかむ。
「姫子さん……綺麗だよ。ほら、そのタオルも濡れちゃうから」
タオルを取ろうと手を伸ばす。
ぐへへ。
互いを意識した男女が二人でお風呂に入って、洗い合いっこだけで終わるわけねぇんだよなぁぁー!
「朽さん姫子さん」
底冷えのするような冷たい声が浴室に響く。
「何をしていらっしゃるのぉ~?」
絶対零度の声色。
永久凍土の表情。
姫子さん越し、脱衣所の入り口には無表情でハイライトの消えた目をした母さんが立っていた。
「すこ~し……騒がしいと思ったら……姫子さぁ~ん」
ギギギと油を差していない機械のように振り向く姫子さん。
「ふふふ、お話し~ま~しょ~」
「ひぇっ!!!」
その日、俺と姫子さんは母の最終形態を目にした気分だった。
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