とある男ととある三姉妹③終
女子生徒が走って来た後に雰囲気の変わったカリーナが来た。
「ソォォォウゥゥゥルゥゥゥゥゥッ!!!!!」
「カリーナッ?!何をやっているんだッ?!」
「――――!!!殿下、危ないッ!!!」
俺は咄嗟に動き瞬時にカリーナの動きよりも先にクリムデムズ殿下を掴んでクラスメイトの方へ投げた。
「全員離れて!彼女は裏の人格に取り込まれているッ!先生達と一緒に遠くへ離れて!」
俺の表情に気付いたコタツ姉さんとバッファ先生は生徒達を遠くへ避けさせる。
「キサマノセイデェェェェキィサァマァノォセェイデェエェッ!!!」
暴走する彼女の攻撃を避けつつ瞬時に魔法を発動する。
「――――【魂双乖離】――――。」
「―――――――ッ?!」
彼女の周りに魔法陣が展開し、次々と彼女の裏、つまり心の中の悪魔を除く。
「クソッ!ハナセッ!ハナセェッ!!!」
「殿下!彼女を連れて避難を!」
「分かった!」
悪魔から離されたカリーナは気を失っている。
俺の掛け声にクリムデムズ殿下は承諾し、急いで彼女を回収する。
「さて、君は少々―――――俺を怒らせ過ぎたようだ」
「――――ッ?!」
魔法で瞬時にドーム状の結界を作り、俺ごとその悪魔を閉じ込める。
「終焉魔法――――」
「マ、マテッ!!分カッタ!人間ニハ手出シシナイ!!本当ダ!!!」
「―――――【刻終|の宴】」
「イ、嫌ダッ!死ニタクナイッ|シニタk―――」
ドーム内で魔力による大爆発を起こし――――その場で拘束されていた悪魔は欠片も残さず―――消えて行った。
ドーム状の空間を解除して外に出た。
「――――さてと」
「ソウル君!本当にすまない!」
殿下達に謝罪と感謝をされ、取り敢えず一件落着となった。
そして――――
「顔を上げてくれ」
「はっ」
数日後、祖母であるエレアお婆ちゃんと登城した。
父さんと母さんは仕事で不在の為である。
「学園を守ってくれてありがとう」
「いえ、自分は父の教えを守っただけです」
昔から何度も父さんから色々と教わり記憶に仕舞っていた。
時々思い出しながらこうして行動をした訳だ。
「息子がな、目を覚ました彼女に事情を聞いてみたらキミを嫉妬していたらしくてな」
「そう言う事ですか」
嫉妬や妬みや恨みなんかはロクな事にならないから彼女もこれでだいぶ反省はしただろう。
「それと、公爵家の処遇なんだが・・・君の顔を立てさせてしまって良いのかい?」
「勿論、今回の件は祖母も見覚えはあるので」
父さんの実の父親の年代に似た事があったと言う事をエレアお婆ちゃんから聞いていた。
「成程、ここからの件は私の保管している書物を漁って探す事にする。今日は態々来て貰ってすまないね」
「いえ、良いのよ。孫の活躍は私の誇りなんだから」
エレアお婆ちゃんがそう言って誇らしげに胸を張る。
そして今日はそのまま寮へ帰る事にした。
後日、俺の要望通りに彼女は国外追放とはならなかったものの、公爵家から縁を切る代わりに数年程の修道院生活を送る事になった。
そして婚約者でもあるクリムデムズ殿下に見て貰い、殿下の判断により修道院生活を終了させて暫くは王宮で妃教育をイチからやり直させる事となる。
だがしかし、理事長であるリンド姉さんの判断により学園での登校ならびに寮生活は一切無しとなった。
あれから一ヶ月後―――――
「え?転生者が?」
「えぇ、突然転生魔法が発動したらしくて。ソウル様の方で保護して戴けないでしょうか?」
母さんの代まで暫く起きなかった転生魔法だが今年になってから久し振りに発動したらしい。
その事を態々王宮での休みを利用して俺の実家に使者が訪ねて来た。
「――――それで私にも話を?」
「えぇ、どうやらその転生者は何でも『母から皆守結を頼れ』と言われたらしく――――」
カリーナがそう言いかけると、母の顔が変わり
「ねぇ、その子って【八雲】って名乗って無かった!?」
「えっ、えぇ。どうしてわかったので?」
母さんは一度、昔話を話し
「―――――って事で暫く会えていないの。・・・そうね、彼女をウチに連れて来て」
「分かりました。クリムデムズ殿下に伝えておきます」
彼女はそう言って家を出て行った。
この事が切っ掛けで彼、ソウル=ソリティカはより一層に縁が結ばれる出会いが待っていたのであった。
特別章―――終
今回の話はここまで。
当作品以外にも
・「オメガ~追放者の絶対支配~」
・「セヴン~大罪の力を持つギルド職員~」
の2作品もお勧めです。
是非ご覧ください




