とある青年ととある元魔王―その①
※この作品だけあらすじや次回予告文等は御座いませんのでご了承ください。
「さてと・・・人間の住処に行くのは何度目だろうか・・・」
外套を身に着けて王国を見渡す一人の女が居た。
「アレから数十年、魔族達の行方も知らず魔王を辞めて姿を眩ましてから結構月日が経ってしまった・・・今更戻って来ても魔王は弱いって言う認識だろうなぁ~」
彼女は一人で項垂れながらその場でしゃがみ込む。
「あの時、無理矢理でも皆で一緒に逃げていればひっそりと暮らせていけれたのに・・・」
彼女は魔王でありながら魔王としての資格は無いといった自身を卑下にする思考を持っている。
今では人間同士の争いに巻き込まれたくはなく一人細々とした生活を送っている。
今まで生き延びたのはあの人のお陰だと―――
『えっ、勇者が・・・?』
『あぁ、だが安心してくれ。決して君を不幸にはしない。そんな出会いが来るまで俺が用意した場所で安静にして居てくれ』
それは紛れも無い未だに行方知らずの先代精霊魔導皇からの言葉だ。
「・・・ん?誰か居る・・・この感じ、まさか?!」
俺はある依頼を受けて調査している。
「周辺に魔物が居る気配は無し・・・か。確かにここ最近辺り小精霊に聞いたら結構減っているって聞いたな・・・ん?」
何者かの気配を感じ取った俺は少し帝国から数十メートル離れ
「・・・俺は決して怪しい者では無い、君が何者であろうと敵対するつもりは無いから安心して出て来て欲しい。顔が見られたくないのなら着ている物を外さなくても構わない・・・それでどうだ?」
俺はそう諭すようにしゃべると、奥の大きな木の木陰から外套で身を隠している人が現れた。被り物を外し――
「君は・・・魔族か」
「・・・魔王。元だけど」
魔王と呼ばれるその美しい女性は額に小さな二本角で綺麗な薄小麦色の肌をした顔の子だ。
見た目からして同い年のように見えて身長も同じに見える。
「・・・君の同胞は見かけてはいないけど・・・君と同じ魔族の家族を神聖教皇国で保護している」
「!!!」
その子の話を聞くと一度餓死で死んで魔法で自動的に今の状態まで回復しているとの事。
「・・・そうか、だから見た目もそのままで年も取らないのか」
「うん、それにおじ様が戻って来るまで一人で細々としていたから。」
彼女の言うおじ様とは先代精霊魔導皇らしい。
何でも今の弱々しい魔王を倒すべく勇者が次々と無害な魔族を倒している事で先代はその勇者を止めに向かったらしい。
今でも行方不明だと言う事を外から馬車で移動していた商人が休憩して居る所に偶然出くわし、その事を聞いたのだと言う。
「今やる事終らせるからその間に待ってて貰って良いか?」
「分かった。」
彼女はそう言ってまた木陰に隠れる。
俺はその間に調査した資料を手に帝国のギルドに報告を済ませておいた。
帝国を出て再び彼女と合流し神聖教皇国の女帝の居間まで瞬間移動をする。
「ひやっ・・・し、シヴァ様?!」
「急な訪問でスマン、用があって此処に来た。」
取り敢えず元魔王を保護した事と神聖教皇国で面倒見て欲しいと言った。
「そ、そうですか・・・それでは私の眼で観させて貰いますね」
そしてこの後当然の反応を示す事になる。
当作品以外にも
・「オメガ~追放者の絶対支配~」
・「セヴン~大罪の力を持つギルド職員~」
の2作品もお勧めです。
是非ご覧ください




