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第七十六話 男として失格

颯太と風呂に入りリビングに行くと正座している時雨が見えた。


「ねーね!」


颯太は時雨の膝に乗っかると楽しそうにはしゃいでいる。


「そ、颯太くん。あまり暴れないでね?」

「うん!」

「足崩せばいいだろ。颯太乗っけながら正座はキツいだろ」

「これじゃないと擦れるんです」

「あー悪い。完全に忘れてた」


時雨は今ノーパンノーブラだったね。

まだ颯太が大人しく絵本を読んでいるからいいものの、動き出したら大変だろうよ。


「天月さん?お母さんとは話がついてるからゆっくりしてきな」

「すいません……」

「いつも狼斗が世話になってるからね。颯太の面倒も見てくれてるし」

「飯は」

「もうすぐ出来る」


あまり親を時雨と接触させたくない。

余計なお節介を焼かれても面倒だし、しかも今回は加羅忍にもバレていない。

折角自然体なんだ。そのままにして置くのが時雨の為でもあるしなにより俺の精神衛生上良い。


夕飯を食べ終わり俺は食器を片付けた。その間颯太は時雨が面倒を見てくれている。

父親の帰りが遅いから大抵は俺と母親で颯太の面倒を見るが、一人いるだけでだいぶ違う。

洗い物しながら颯太の面倒を見る必要がないし泣かれることもない。

最初こそ時雨も颯太に人見知りを起こしていたが一年触れ合えばそれもなくなる。

今は立派なベビーシッターだ。


「ありがとな時雨」

「お互い様です。お手洗いに行って来るので颯太くんをお願いします」

「おう」


時雨が立とうとしたその瞬間、颯太が襟を引っ張った。

そして俺は時雨の胸を見た。逸らす時間もなかった。

時雨は颯太を素早く拾い上げると顔を真っ赤かにしてこっちを向いた。

その目は若干涙目。

俺は今どんな顔をしているのだろうか。


「見ました……よね?」

「バッチリ」

「……ふぇ」

「気にすんな。俺は気にしないしどうとも思わない」


嘘です心臓が少し跳ねました。なんならまだドキドキしてますぅ。

誰か俺の心臓と止めてくれ。


「颯太くんをお願いします」


俺に颯太を預けると時雨は足早に部屋を出て行った。

時雨を辱めた本人は楽しそうに笑っていた。それがどうか時雨に向けた笑いでないことを願う。

人の不幸は蜜の味とかいうどっかの情報漏洩社会不適合者みたいになって欲しくない。


それから颯太が寝るまで時雨が帰って来ることはなかった。

外に出たのかと思ったが玄関に靴があったから家の中にいる。トイレは寝る前に颯太が行くからいない。

だとしたら残るは……。


「電気もつけないで何してんだよ」

「は、恥ずかしくて……顔合わせられません」

「そうかよ。明日も学校だし俺は寝る。布団はここに置いとくから、落ち着いたら寝ろ」


電気をつけたまま俺はベットに寝っ転がり一応時雨に背を向けた。

なんなんだこの焦燥感にも似た心臓の鼓動は。ノーパン女が側にいることへの恐怖なのか?それとも俺がまだ知らない別のなにかなのか?


気を紛らわせるためにスマホをいじるが後ろの気配がどうも気になって集中が出来ない。


「しぐ……れ」

「あっ……」


タイミングはきっと最悪だった。もうあと十秒早いか遅いかすれば乗り込もうとする時雨と目があうこともなかったしまた胸が見えることもなかっただろうに。


「布団があるだろ。用意した。ベットじゃなきゃ寝れないならそう言え」


適当な理由をつけてベットから降りようとすると無言で肩を押しさえつけらればっくとぅーざべっと。

顔を真っ赤にした時雨が視界に移り時が止まったかのように俺も時雨も動かなかった。


「きょ、今日は!チャンスなので!」

「なんのだよ」

「普段出来てないアピールを!もっと!沢山!」

「十分出来てるから焦るなって。取り敢えずこの手、外してくれ」

「あ」


俺は肩から時雨の手を外しただけだと思っていた。

だが時雨の重心は手に置かれており重心をずらされた時雨の体は俺の上に乗っかった。

むにゅと形を変える柔らかい胸に俺と同じシャンプーを使っているはずなのに時雨から香る匂いは優しく感じた。


「用件はわかったから離れてくれ」

「同じベットで寝ます」

「セミダブルでダブルじゃないから無理だろ」

「こうすれば。寝れます」


時雨は壁側に移動するとそのまま俺に抱きついた。

腕が完全にのまれ手を動かせばきっと時雨のデリケートな部分を刺激してしまう。

寝返りもうてなければ追い出すことも出来ない。睡眠妨害のプロ過ぎる。


「暴れるなよ」

「うん」


電気を消すと時雨はもっと俺にくっつた。

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