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第六十七話 eat or die

編集済みとなっているのはタイトルの英語がスペルミスしてたからです。

内容に変更はないぜよ。


dieをdaiとしてました。英語よわよわなのがバレちゃった。

なにが祟ったのかおおよそ検討もつかないが……怠い、痛い、苦しい、暑い。そんな考えが頭の中をぐるぐると回る。

秋も深まって半袖で過ごすのが辛くなってきた今日この頃、俺は自宅のベットで寝込んでいた。


起き上がる気力もスマホを見る気力すらない。

颯太に移すわけにもいかず、トイレ以外は全て自室でやっている。

久しぶりの一人の空間。


だがそれが続いたのはわずか半日だけだった。

夕方になり朝よりは落ち着いて来た。今すぐにでも窓から逃げ出したいがそこまでの気力は回復していなかった。


「間宮!元気ー?」

「チッ」

「なんで舌打ち!?まだ具合悪いの?どこが悪いの?わたしが直してあげる!」

「保健委員に出来ることなんてなにもない」

「昨日の今日でこれですか?半袖で外に出たりしましたか?」

「いや、原因が全く分からん」

「あ、あれだろ。おれに上着着せて薄着でずっと外に居たからだろ」


そこまで柔じゃないと言いたい所だが……否定しきれない。

どんなに慣れていると言ってもその時の心体の状況によるしあの時は心を大いに乱された。

言われてみれば無謀だったかもしれない。


「んじゃ休むから帰ってくれ」

「看病しに来たんだよ?」

「なら時雨だけで十分だ。他は帰れ。お前ら四人の相手してる余裕はないんだよ」


こうして喋っているだけでも辛いってのに。


「風邪とか疲れてる時って溜まるっていうよね」

「なにが?」

「性欲」

「おっけ黙れ」


純粋な俺の疑問を返してほしい。

十六夜が勿体ぶった言い方をしたせいで気になってしまった。


「止めろ近づくな。これ以上体力を使わせるな」

「キスしたら風邪が移るって言いますよね」

「あ、おれ移した?もしかして」

「ナチュラルに煽るな?これ以上ブラックホールを生み出すな」


感情が消えた紫紺の瞳と青空のような青い瞳がなにも言わずに無言で迫ってくる様は某ゾンビ映画のよう。

怖すぎて鳥肌が止まらない。


「俺は寝る。帰るなり静かにしてるならいてもいい」

「案外早い諦めですね」

「もう一度言うぞ。これ以上体力を使わせるな」


昼間温存した分が尽きた。

今襲われたら俺はなす術なく食われる。


「お前、なんか食ったのか?」

「一応」

「一応とは?」

「水飲んだ」


俺は枕元に置いてある飲みかけのペットボトルを指した。

一般的なスポーツ飲料で今日はそれ以外には口にしていない。

風邪の時はどうしても食欲が落ちる。


「おかゆとかスープとか作るけど……食材あるか?」

「使いかけのやつならあると思うが……悪い」

「いいって、おれが移したようなもんだし」


友達に料理出来る奴がいると本当に助かる。

これで恋愛感情だとかがなければ最高だったのに……俺はどこで選択肢を間違えた?

今まで絡んできた女子には同じ態度をとったのにそれでもこいつらは前に進んできた。

居心地が悪であろう俺の周りに座った。で、現在に至ると……原因が分からん。


もし選択肢からやり直せるなら今度は誰にも好かれないというTRUE endに行きたい。


「間宮、どこか辛いところはない?」

「十六夜がいるという状態が辛い」

「抱きつくよ」

「マジでごめん。謝るから座れ」


スタンバイ状態となった兎を眠らせるすべく手を出すがどうやら待ては出来ないらしい。

「うりやー!」という掛け声とともに、俺のベットへとダイブしてきた。

スプリングがギシギシと悲鳴をあげ、俺は十六夜を抱きしめてしまった。


「お前……殺す気か。俺じゃなくてベットが死ぬ」

「間宮のベットだぁ〜」

「止めろ。離れろ。汗かいてるから」


同年代の女子に自分のベットの匂いを嗅がれるほど恥ずかしいものはない。

十六夜は俺の布団に寝っ転がってスカートということも忘れパンツを曝け出す。

風邪だからか恐怖と感じてるからか鳥肌と寒気が止まらない。


「あまり側にいると移るぞ」

「移してもいいよ?その代わりお見舞い来てねー桃缶持って」

「ありとあらゆる劇物を盛ってやる」


お茶会事件の俺のように苦しむがいい。


「狼斗、持ってきたぞ……なにしてんだ」

「不法に占拠されただけだ」

「人が飯作ってる時によ。イチャ付きやがって」

「悪い。助かる」

「……おう」


夏鈴はおかゆの入ったお碗をスプーンでよそいこちらに差し出した。

眉間にしわを寄せ無言で差し出してくるあたり圧を感じる。だが同学年女子の前であーんをして貰うなんてことは恥ずかしいの極みだ。


「自分で食べるから」

「食うかかけられるか選べ」


その鍋からよそったばかりの熱々おかゆをぶっかけられたら絶対に無事ではすまない。


「食べます。かけないでください」

「可愛いですねー。従順な間宮さんって」

「黙れ」


食べたおかゆはすごく美味しい。

ただおかゆと思っていたが、ちゃんと塩が効いてるし卵の甘さも相まって栄養を欲するのに味濃いものは受け付けないというワガママな状態の俺からすればありがたい。


「どうだ?」

「美味い。ありがとう」


本当に、恋愛感情が含まれなければ夏鈴とはいい友達なれると思うのに……こんな愛しいものを見る目で見られたら、良心が痛むというものだ。

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