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第四十一話 わらしべ長者も真っ青の幸運

十六夜がしてしたたこ焼き屋の前に行くと十六夜が男達に囲まれていた。

全員屈強そうな見た目をしていて到底俺一人じゃ勝てない。


「大丈夫!直ぐに彼氏来るから!」

「いやでも大変でしょ?持つくらいならできるし」


夏祭りの高揚に乗じて女を食らう猛者共か。

特別不快感はない。あるのは尊敬だけだ。

誰彼構わず食えるなと。


俺は恐怖で震える手をポケットに突っ込み十六夜の元へと向かった。


「何してんだよ」

「間宮遅い!」

「この人混みの中探すの大変なんだよ。嫌なら逸れるな」


ガン無視して話しているが後ろの男達は何も言わない。

狙っている女を横取りされようとしているのにだ。


「お前が彼氏か!」


肩を掴まれそのまま後ろに向かされた。

屈強な顔の額にシワを寄せた顔が目の前にある。

普段恐怖の対象にくっつかれるせいかあまり震えは起きなかった。


「彼氏なんだったら放置すんじゃねぇ!この辺りは危ないんだぞ!」

「そうだ!人混みだからって安心すんな!こんな軽い子連れてかれるぞ!」

「お前ら誰だよ」

「この祭りの運営に雇われた警邏隊だ!」

「全員アメフト部だぜ!」


なんだ。ナンパ師じゃないのか。

警邏隊なら腕章でもつけて欲しいものだ。紛らわしい。

でもナンパ師じゃなくてよかったと心から思う。


「うちの兎がご迷惑をおかけしました」


わざわざ警邏の人に労力を使わせてしまい本当に申し訳なく思う。

そして急いで暑いなか走ってきた俺の労力も返してほしい。


「で、なんで助けてなんて言った」

「その方が早く来てくれるかなと思って」


十六夜の手には袋が大量にぶら下がっていてバーゲンセールの帰りと見間違うほどだった。

大方、買いすぎて身動きが取れなくなったといったところか。


「違うよ!わたしほとんど買ってない!」

「……盗んだのか?擁護はしないぞ?」

「ちがーう!なんでそうなるの!?」

「じゃあなんで」

「おまけしてもらった。わたしが買ったの人形焼だけだもん!」


そう言う十六夜の手には焼きとうもろこしや綿飴、りんご飴、フランクフルトetc。

おまけにしては多すぎだ。


「人形焼買ったら連鎖的に……」

「そうはならないだろ」

「なっとるやろがい!とにかく持って!動けないの」

「一回置けばいいだろ」

「折角貰ったものを地面に置けないよ!しかも食べ物!」


試しに手を伸ばしてみると十六夜の手から俺の手に全て引っ越してきた。


「よし!時雨ちゃんの所に行こう!」

「おい。お前も持て」

「頑張って。彼氏さん」

「ただの敵対者だろ。彼女面すんなよ」

「そういうキレのいい返し嫌いじゃないなー」


そんなボケツッコミはいいから持て。

思った以上に重くて既に腕が痛いl。


時雨の元に移動しようとした時、ガランとして出店を見かけた。

内装から射的屋のようだが、あらかたの商品を取り尽くされたのか、残っているのはコルク弾では落とすことが不可能なPS4とかSwitchなどのゲーム機のみ。


「なんで商品がないんですか?」

「ああー悪いね。ライオンに全部喰われたよ」

「ライオン?」

「ああ、獅子柄の浴衣を着た女の子だよ」


獅子柄という浴衣は珍しい。

おそらく夏鈴のことだろう。


「その子はどこに?」

「商品持って人ごみに消えたから分からないな。知り合いなら景品の処分、手伝ってあげてくれ。女の子が一人で処分するのは大変だろうから」


その点はおそらく心配いらないだろう。

夏鈴には弟達がいる。しかも三人。子供の胃袋があれば屋台一つ分の景品くらい簡単に処分出来る。


「それがウチだけじゃないんだよ。ほらあそこ、店仕舞いしてるだろう?あそこも射的屋だったんだよ」

「え、ってことは?」

「獅子に喰われたな」

「あ、わたしがここに来る前にもいくつかやられてたよ」

「足どりが掴めそうで安心した。ありがとうございました」


店主と別れた俺は時雨の元へと戻った。


「あ、戻ってき……ましたね」

「ああ。急だが焼きそばとか食うか?てか食え」

「なんですかこの量」

「おまけだそうだ」

「本命は?」

「人形焼だよ」


まー声も出ないだろう。

わらしべ長者ですら交換なのに歩くだけで物が増えるという錬金術を目の当たりにしているのだから。


「夏鈴さんと真尋さんはどこでしょうか」

「夏鈴の居場所はすぐ分かりそうだ。このあたりの射的屋が全滅してた。店主の証言として『獅子に狩られた』と言っていた」

「間違いなく夏鈴さんですね」

「射的屋はいくつもあるが襲われた後を追えばいづれ辿り着く。十六夜と時雨はここで待っててくれ」

「なんで!わたしも行く!」

「お前、自分で作った荷物を時雨に任せる気か」

「ううぅ……それは……そうだけど」

「なら二人で待ってろ。俺が探す」


十六夜が座ったのを確認すると俺は獅子狩りに向かった。

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