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第三十九話 時間を墓地に送り!従業員を確保!▼

翌日。

俺は海の家という狭い敷地を動き回っていた。

炎天下ではないものの猛暑日近い気温の中動き回っているだけで体力が削られていく。


「なんでこんなに人が」

「ありがたいことに。上が宣伝したらしくてね。集客が凄いんだよ」

「人手が足りないですって」

「確かに。今から従業員を雇う余裕もないしどうしたものかね......閉めるか」


俺の給料は時給制だ。

店が閉まるということは給料が入らないことを意味する。

開店から二時間。稼ぎ時にしては短い。


「客は増えるかもしれませんが従業員を用意できます」

「そんな下僕みたいな人が?」

「その下僕の下僕に俺がなればの話ですけど」

「ならお願いしよう」


人の話を聞いていない人だ。

だが背に腹は代えられない。

バイト継続のためなら身を切る。


俺は十六夜達に電話をかけた。


「今どこだ」

「宿だけど?」

「臨時の従業員として働いて欲しい」

「......いいよ?」

「ありがたい。今すぐだが来れるか?」

「行けるよ?皆に聞いたらいいよって」

「そうか。それじゃ、またあとで」

「待って。報酬は?仕事だけして終わり?」


な、なにを言っているのだろうか。

バイト代という立派な給料が入るじゃないか。加羅忍にはなにもなくなってしまうが。


「そうじゃないでしょ?急に時間を使わせるんだから間宮も時間を......さ、差し出すべきじゃない?」

「給料が入れば十分だろ」

「え、あ、なら行かない!」


クソ......加羅忍め。

裏で手を引くならもっと隠れろよ。バッチリ声入ってんだよ!


「分かった。午後は付き合う。それでいいか?」

「午後だけ?」

「それ以上はバイトに影響があるから無理だ」

「夏祭りは?」

「それは元々俺が提案したことだし」

「そっか!今から行くね!」


上機嫌に通話が切れ俺はもの凄い疲労感に襲われた。


「随分と仲良かったね。男の子?」

「女子です。同学年の」

「......はは~ん」

「察したなら言わないでください」

「分かったよ」


しばらくして十六夜たちが動きやすい服装で来てくれた。

夏鈴と十六夜は、半袖をへそ上あたりで結びホットパンツを履いている。

時雨と加羅忍はスカートとロングスカートという清楚感漂う装い。

浜辺の男の視線を釘付けにしてきた。


「時雨と俺がオーダーを取って、他三人が配膳だ」

「っしゃ!愛想なら任せとけよ!」


般若のような笑顔はさぞ夏にぴったりだろ。

でも子供にはやらないでね。確定で泣くから。


「おまたせしました!ビールと枝豆です!」

「ありがとう!一緒にどう!」

「未成年なのでお酒は飲めません!」

「ははは!振られちまったよ!」


「おまたせいたしました。やきそばとラムネになります」

「あ、ありがとうございます」

「はい。ごゆっくり」


流石と言うべきか。男がどうやったら喜ぶのか理解している動きだ。

夏鈴は子供相手には効果てきめんで、時雨は注文漏れなく厨房に届けてくれる。


「狼斗さん。かき氷イチゴ、レモン、ブルーハワイ一つづつ。五番です」

「分かった」


かき氷機のスイッチを押し俺はその間にオーダーを取る。

戻ってくると1つ出来上がっている。

かき氷を持って五番テーブルに届ける。


「おまたせいたしました。お先にかき氷のレモンです」

「あい!」


子供が勢いよく手を上げると他二人が不満そうに顔をひそめた。

他の姉弟が来ているのに自分のが来ないから不満なんだろう。


「おまたせしました!イチゴとブルーハワイです!」

「はい!」「来た!」

「助かる」


昨日より明らかに客脚は増え、注文数が激増している。

もし十六夜達の協力を得られなかったと思うとゾッとする。

ま、その代わりに俺の時間が犠牲になったわけだが。

と言っても今日の夜は夏祭りがある。

拘束の時間はそれまでと考えれば、時間は結構短い。


「すいません。今日はおしまいなんです」

「えー折角聞いてきたのにー」

「私達は臨時の手伝いなので......」

「明日以降もやるかは彼にかかっていますね」

「こっち見んな」

「やってくれるよね?ね?」

「いやーうちもそこまで余裕ないというか。今日意外性があっただけであって明日以降もとなるとねー。キツイっすわ」

「そこをなんとか!見てこのツイート!」


見せられたスマホには十六夜達が働く姿が撮られていた。

ハッシュタグには『#ビーナスのたまり場』『#女神のきまぐれ』など手放しで褒めちぎるリプライの数々。

中には合成だというリプもあったがその下には無数の動画が送られていた。

ネット社会の情報の周りは早い。特に、十六夜達のような美少女が揃って働いているとなれば余計に。


「リツイート数五万。イイネ数六万!ここまで有名になっていて一日限定なんてもったいないって!」

「ではこの場でアンケートを取りましょう。時刻は今から十分間。継続か終了か。彼女達も人間で夏の暑い場所での仕事は体力を使う。食材がなくなり次第終了を記載したうえで、今ツイートしました」


店名のアカウントを作り、俺は第一ツイートとしてアンケートを載せた。

そのツイートは瞬く間に広がり、お休みモードにしないと通知がうるさいほどだった。


十分後。

継続:十万。終了:二万という結果に終わった。

ま、見えていた結果ではある。俺の味方が二万もいるというだけでいい。敵は十万の大軍勢なわけだが。


「お前ら。明日も来れるか?」

「ちゃんと約束を守ってくれるなら」

「......ああ」

「うわーこいつ全然乗り気じゃねぇ!」

「当たり前だ」


誰だ夏祭りまでだから時間は短いとか言った奴。

明日一日の休みを丸まる費やすことになりそうだ。

朝早く誰かに見つかる前にどこかに身を隠そう。

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