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第三十二話 そこまでしてでも手に入れたいものってあるでしょ?

「お前らいつ帰るの?もう十七時だぞ」

「帰っても暇なの!」

「同じく私もです」

「おれは別に」

「わたしも別に」

「なら帰れよ」


男の家に入り浸るのはよくないと思うんだ。

まともじゃない教師しかいないからそんなこと言われないけど。


「お母さん達は?」

「もう少しで帰ってくる。その前に帰れ絶対に」

「耐久か」

「なぜそうなる!親にあってどうする気だ」

「息子さんをくださいって言いましょう?」

「そんな混沌とした申し込みがあってたまるか」


かぐや姫ですら結婚の申し込みはまともだったぞ。


「ただいまー」

「あ」

「あ。じゃねぇ座ってろ!ついでに喋るな!なにも!加羅忍、お前もだ」

「狼斗?誰かきてるの?」

「ああ……見ての通りだ」


リビングには女子四人が座っていて一人は俺に半ば抱きつくような形で静止していた。


「お邪魔してます!」「お邪魔しています「お久しぶりです」「どーも」

「狼斗のお友達?え?皆さん男性……ではないよね……」

「男だったらどれだけいいか」

「もしかして邪魔した?」

「余計な気を使うな。ゲームしてたとこ」

「そう。なら今夜は狼斗が夕飯つくりな」

「なんで?」

「料理が出来るアピールしとけばいいじゃん」

「必要ない」


確かに出来るが夏鈴には劣る。俺の場合、質より量だからな。

繊細で量も多い夏鈴の足元にも及ばない。


「間宮お料理出来るの?」

「出来ない」

「嘘つく必要ないのに……簡単なものなら出来るよ。簡単じゃなくても食材と時間とレシピさえあれば食べられるものは作る」


どうして大人ってのは本人の許可なく情報をばら撒くのだろうか。

十六夜の力がつくだけだから本当に止めて欲しい。

まあ、止めて欲しいで止めたらこんな苦労しないんだけど。


「味は期待するな」


俺はコントローラーを置き台所に立った。


「ご飯全部使うぞ」

「うん」


冷蔵庫からキャベツとねぎを取り出しキャベツは千切りにねぎは縦に切ってから斜めぎり。最悪食べ易ければ切り方は問わない。

次に卵と薄力粉と水を混ぜる。終わったら白米とさっきのキャベツとねぎともやしを加える。

フライパンを熱して油を引き、さっき作ったタネを流し込む。その時には豚肉を一面に広げると食べ応えがアップする。

大きさがフライパンの面とほぼ同サイズなため一旦皿に避難。そこから皿ごとひっくり返しヘラで押さえつける。

中が生だと食べられないため二回ひっくり返しじっくり焼く。

小さく颯太用に切り分けて後は大皿に乗せて完成。

お好み焼き風ご飯。

見た目はお好み焼きだが実際は卵とご飯で出来ている。


「ほら。これが俺が出来る最大の量だ」

「飯使ったってことはこれ白米か」

「正解。卵もあるしキャベツも入ってる。豚肉はその表面しかないが、腹には溜まる。ここ重要な」


取り皿と箸を人数分用意し机を囲んだ。が元々四人用に買ってきた机は流石に狭い。

いつもはキッチンに近い場所に机があるが今日だけテレビの前の平机で食べることに。


「それでも狭い」

「こんな友達来るなら外に食べに行けばよかったのに」

「いえいえ、その家庭の味を楽しめるので。お気遣いありがとうございます」

「よく出来た子だ〜」


本当に出来すぎて悪知恵働く程度には出来すぎているよ。

毎度悪知恵の餌食になるこっちの身にもなって欲しい。


「学校でどう?狼斗は」

「ええ、文句を言いながら助けてくれる優しい人ですよ」

「助けた覚えは一度たりともないが」

「嫌嫌って言うけど最終的には言わなくなるツンデレさん」

「気持ち悪い言い方をするな。諦めてるだけだ」

「楽しそうでなによりだよ」

「え?」


息子の反論ガン無視じゃん。

どこが楽しいって?毎度毎度人の勉強邪魔しやがって。

いてもいいが静かにして欲しい。そして俺にベタベタするな。


「期末試験も近いことですしあまり邪魔してはいけませよ?」

「確定補習だから……はっ!」


俺は今なにを口走ろうとした?確定補習だから気を使わなくていい?そんな……馬鹿な。


「確定補習だからなに?」

「補習の勉強もしなきゃいけないから邪魔するな」

「補習は各教科の復習だったはずでは?新しく勉強する必要もないはずですが」

「どーせおれたちも補習だし仲良くやろうぜ」


ここにいる面子は少なくとも補習は免れないだろう。

時雨はテストである程度点数を出せば免除になるだろうが、停学明けの夏鈴と保健室登校の俺は確定面子。

……去年は俺含め数人で無言の教室で快適だったのに。

今年はうるさくなりそうだ。


「これからよろしくね?」

「なんだ急に改まって」

「まで出会って二ヶ月ちょっと。ここから永遠にってこともあるんだよ?」

「なんでそんな背筋が凍るようなこと言うの。大学は別々だろ。少なくとも俺は心理系の学科のある学校に行く気はないぞ」

「絶対?そう言い切れる?」

「ああ。俺は進学しないで就職するからな」

「でも同じ家に住めば関係ないよね!」


この子はなにを言っているのか。

同じ家に住む?は?あり得るわけない。

恋人でもない男と女が同じ屋根の下なんて。


「夢の話は別の時にやってくれ」

「夢になれば良いね」

「なんだその不敵な笑みは」

「人の感情なんて十秒で変わるんだよ?どんなに怒っていてもどんなに悲しんでいてもアクションを起こして十秒後には変わるんだよ?」

「な、なにが言いたい」

「……えへ」


こいつ……人を脅すか。

カウンセラーになりたいとか言っておきながら人を脅すという矛盾。


「そこまでしてでも手に入れたいものってあるでしょ?」


生憎と俺はそこまで欲深くはない。

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