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第三話 美少女だからって許されると思うなよ

「別に病んでないが」

「じゃあなんで保健室登校してるの?間宮だけだよね?」

「人の事情に首を突っ込むな。やかましい」

「教えてくれるまでは付きまとうつもりだけど」

「変質者」


頼むから話しかけないでくれ。

今すぐにでも逃げ出したいが入り口を封鎖されては残念ながら逃げ道はない。


「今この場でわたしが叫んだらどっちの言い分が信じられるだろうね」

「二度と口を開くな」


人の不安を煽ってなにが楽しいのか。

いくらでさえ思考読めなくて怖いんでやめてください。

心臓バクバクうるさいし冷や汗かくしで大変な状況なんで。


「おはよ......」

「先生。説明ありますよね?当然」

「あ、説明してないのか?」

「こういうのは大人からするべきなんじゃないんですか?個人情報を簡単に漏らしてくれちゃって」

「いいじゃないか少しくらい漏らしたって。どのみち女に慣れておくに越したことはない」

「ありがた迷惑という言葉を辞書で百回ほど引いて欲しい」


頼んでもないのに。

だが鳴川先生の登場で少し楽になった。

『同年代の女』が苦手なだけで年上であれば平気だ。


「十六夜は保健委員でちゃんとしてる。私のデスクだって何度片付けて貰ったか」

「まったく関係なくてびっくりした。信頼出来るという情報ソースは」

「間宮を納得させるだけのソースはないが......文句があるなら二度と保健室を使わせない」

「汚い!まさに外道!」


俺が保健室がないと学校に来れないことをいい事に無茶仰る。

留年だとか退学するわけにはいかない俺は渋々従った。否、従うしかなかった。


「なんで?」

「なんでもいいだろ」

「弟がいるんだよ。3歳のな。だから余分に学費をかけるわけにはいかないんだ」

「おい教師」

「名前は確か颯太(そうた)だったか?」

「3歳か......可愛いんだろうなー。会わせてくれないかなー」


図々しことこの上ない。

なぜ目的が分からない女と颯太を合わせなきゃいけないのか。


「これまた丁度いいじゃないか。お前のご両親は共働きで間宮もバイトで家を空けることが多い。弟を預ける先として利用したらどうだ」

「毎回調整してるから平気」


確かに調整は大変だが運よくバイト先の店長がいい人で今の所は支障は出ていない。


キーンコーンカーンコーン。


「一限目始まるから十六夜は教室に戻るといい」

「はーい。間宮も後でね」

「先生。気分が悪いんで早退します」

「熱もないしサボりは認められない」


今だけ教師に戻りやがって。


「彼女は結構献身的でな。せいぜい利用するがいいさ。勉強も教科書をノートにまとめるのだけじゃキツイ部分も出てくるだろ。テスト範囲は担当教師によってバラバラ。先輩のノートが役立つのもこれまでだな」

「......はぁ」


俺が今まで単位を落とさなかったのは啓介先輩のノートがあったから。

だが今年は教師陣の定年やらでかなり入れ替わりが起こった。

ノートが使えなければ俺は該当する範囲全てを丸暗記する必要がある。

そんなのは現実的じゃない。俺は天才でも完全記憶能力者でもないんだから。


「鳴川先生が教えてくれるという手段は」

「高校の問題が分かると思うか?私は無理だ」

「ですよねー」


誰かに頼るしかない。

そして頼れるのは啓介先輩か十六夜美咲だけ。

啓介先輩は今年受験生のため負担をかけるわけにはいかない。


「男の友人すらいない自分が情けない」

「間宮のクラスの委員長も頭よくていいんじゃないか。あとお嬢様もいたろ。手駒に出来れば家庭教師を一緒に受けることだって出来るぞ」

「全員同学年なんで無理。考えただけで鳥肌が立つ」

「ま、じっくり考えてみればいいさ。将来を考えるか今の現状から逃げるか」


鳴川先生は冷たく言い放つとタブレットでゲームを始めた。


「今の俺に逃げるという選択肢は取れないんですよ」


過去、逃げた結果がこのざまだ。

今の俺には勇敢に戦って数百という矢を浴びるという選択肢しか残っていない。。

そこで倒れたらゲームオーバーどころか人生終了バットエンドまっしぐら。


「はぁ......クソゲーすぎる」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 同じく心理学者を目指すものが、相手のトラウマを知っていて、そこを突いてくるのはどうかと。 いえ、確かにそのような治療方があるのは聞いたことがあります。とはいえ、今回はそのような場面では…
[気になる点] 人のトラウマを知っているのに、叫んだらどうなる?って脅すのはカウンセラー失格ではないだろうか・・?
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