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第二十五話 楽しいゲームからのチキンレース

夕食後。

リビングへの集合がかかったために全員がリビングにいた。


「ゲームをしましょう」

「帰る」

「なんでだよ。やろうぜ!」

「部屋でも出来るだろうが!お前ら見てると手足痺れてまともにプレイなんて出来ねぇんだよ!」

「間宮でも出来るシュミレーションゲームだって」

「俺が出来ないなら誰が出来るんだよ」


中学時代にゲームをやり込んだ俺と全くの初心者じゃ元の経験値が違う。

俺の目の前にはノートパソコンが五台用意されておりそれなりの性能のモノだ。


「狼斗さんは経験者ですよね?」

「ああ、MODいれて遊んでたくらいだからな」

「今回はなにもない世界を五人で冒険しましょう」


加羅忍が用意したのはオーソドックスなサンドボックス型のゲーム。

マインクラフト。

数多くの実況だとかMODが製作されかなり奥深いゲーム。

工業化でマップ一枚掘りぬくもよし、ハードコアという難易度でメイドと深海棲艦とロボで冒険するもよしという自由度がカンストしているゲーム。


「目標もなくやるのか?」

「皆さんで家を作りましょうか。それぞれの家の設計図を持ち込み合作で作っていく。家の完成を持ってゲーム終了としましょう」

「明日休みだからってやりすぎじゃないか」

「これくらいで十分!大豪邸作ってやるぜ!」

「終わるの遅くなるぞ。豆腐でいいだろ」

「豆腐って?」

「真四角の建物の総称だ。マインクラフト名物」


豆腐建築の由来はマインクラフトからだからな。

この手の蔑称から愛称になるのは大抵ニコニコからだ。

サーバーを立て全員が世界に降り立ち俺の指示に従って動く。

取り敢えず鉄道具を入手する所まで来た。ベットも作ってあるし夜が来ても一応は大丈夫。


「家を作るので皆さん部屋の大きさを考えておいてくださいね」

「このゲーム戦いとかねーの?」

「一応夜になればモンスターが湧くし村を作れば襲撃イベントってのが発生した記憶」

「戦いも青春の内だ!やるぞ!」

「装備くらい整えろよ」

「攻撃に当たらなきゃ装備なんていらないんだぜ!」


それが言えるのはMOD装備で固めた奴だけなんだよな。

他のモンスターと戦いながら飛んでくる弓を回避するのは熟練のクラフターでも難しい。

夜が来るまで資材集めと食料集めと整地を繰り返した。

野ば......冒険家な夏鈴と十六夜には資材集めを、比較的おとなしい加羅忍と時雨は食糧集めと倉庫整理を頼んだ。

俺はというと一人寂しく石のシャベルで黙々と土を掘り、土地を平にしていた。


「狼斗の作業地味すぎないか?」

「この地味な作業を怠ると建物が建てにくい」

「土地を利用するにはかなりの建築センスが必要ですね」

「ああ。大抵は煮崩れた豆腐になる」


各々の作業をしている間にあっという間に夜になった。


「っしゃ!戦いじゃ!野戦じゃ!肉寄越せ!骨寄越せ!火薬寄越せ!玉寄越せ!」

「冒険者じゃなく盗賊じゃねぇかよ。頼もしい限りだけども」


一応湧きつぶしというモンスターが周囲にわかないようにしてはいるが感知範囲が広いため湧きつぶし範囲外から向かってくることも多々ある。


「おら!死にぞこないが!死ね!」

「瀕死のゾンビに更に追い打ちを」

「きゃあー!なになに!?矢飛んできてる!助けて!緑の気持ち悪いのもいる!」

「匠になんてことを」

「誰それ!」

「家をリフォームに追い込む匠だ。解体専門業者」


チェストの側で爆破されたら殺意しかわかない緑の匠。


「美咲さん。避けてください」

「うわ!向こうかも矢飛んできたんだけど!」

「私が撃ちました。近接は怖いので遠距離から援護します」

「賑やかだなー」


騒がしい上と違って俺は地味に地下を掘り進んでいた。

俗にいうブランチマイニング。


「おい狼斗!外手伝え!なんか敵の数多いんだが!」

「危なくなったら地下に逃げればいい」

「入口どこ!?」

「その平地のどこかにある。戻るの面倒だから頑張って探せ」

「間宮ー!助けてー!」

「リアルアタックはお止めください」

「だったら早く!わたしあとハート一つしかない!」

「ここだ。俺の名前見えるだろ」

「見えた!たーすーけーて!」

「スイッチ」


十六夜の後ろからつけて来たゾンビを腐肉へと変え俺も地下へと戻った。


「建築どころじゃないだろ」

「敵多すぎ!」

「難易度ハードはキツイですか?」

「あー初心者にはキツイかもな。色々と」

「間宮!わたし食料ない!」

「芋で良ければほら」

「ありがとー。もう好き」

「......そうかよ」


軽率に好きとか言うな。

加羅忍は興味深そうな目をするな。これ以上ややこしくなったら許容量が大幅にオーバーするぞ。

朝を迎えるまでに夏鈴は二デス。加羅忍と時雨は一デスづつして、俺と十六夜はゼロデスだった。


「夜はもういい!今日は早く寝るか」

「それがいい。本来はそうして敵の襲撃を回避するのは基本だからな」


MOD構成によってはリスキル祭りが開催されるからな。


「家の大きさは五十×五十もあれば十分ですね」

「仮置きしたが大分デカいぞ」

「五人でやればすぐだろ。そのために資材を集めたんだしよ」

「よーし!作るぞ!」


真四角の仮置き木材の中に色とりどりの木材が置かれていく。

床も張り替えたければ張り替えてヨシということになっている。

数時間して全員の作業が完了した。


「時間かかった......」

「狼斗さんが未知のブロックを作るからですよ」

「使えるブロックは使いたくなるだろ」

「一人だけなんか水色だしよ!」

「ダイヤモンド装備だ。今の段階で作れる最強装備」

「もう......眠いです」

「主催者がこれかよ」


途中寝落ちしかけてたからな。さぞ夜更かし経験もないんだろう。

時刻は夜の1時。

俺はまだまだいけるが限界なのが二名ほどいるためゲーム会はお開きとなった。


「夏鈴。加羅忍を運んでくれ」

「は。無理」

「なんでだよ。お前ならいけるだろ」

「おれも眠いから足元不安定」


不良と言われ停学もくらったヤンキーは夜更かしをあまりしないようだ。

加羅忍はほとんど夢の中。時雨も夏鈴も同じく目がウトウトしてきている。

俺が運ぶしかないか......めっちゃ不本意だけど。


加羅忍の頭後ろと膝裏に腕を回すとそのまま持ち上げた。

本人にほとんど意識がないのに鳥肌と変な汗が出て来た。早急に加羅忍を下ろす必要がある。

階段を上がり加羅忍の部屋まで来たが問題は鍵だ。

流石に服の上から探すことは出来ないしかといって廊下に放置すればこの季節と言えど風邪ひく。


「ありがとうございました」

「お前......」


俺の腕の中でパチリと目を覚ました。

その目には眠気などは感じられず変わりに好奇心を感じたられた。


「んで、なんで寝たふりなんかした」

「どこまでなら恐怖症を我慢してやってくれるのかなと思っただけです」

「グーで殴っていいか?俺の我慢を返せ」

「流石に服の中から鍵を探すのは無理でしたか。先が長いですね」

「当たり前だ。恋人でもない女の服をまさぐれるか」

「恋人だったら探るんですね」

「時と場合を考えろ」


どうしても必要な時は我慢できるがそうじゃないなら別ルートを考える。


「それじゃあお休みなさい」

「化け狐が......」


廊下でぼそりと悪態をついてみてももう誰も反応しなかった。

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