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第百二話 衝撃の事実!?

暖房がかかった保健室に集まった俺たちはいつものように各々が作業していた。

スマホをいじったり必死にノートを取っていたり、ノートを取っている人に茶々を入れたりと自由度は高い。


「邪魔じゃ。学年末が近いんだから邪魔するな」

「わたしも一緒に勉強する」

「なら自分のノートは自分で使え、時雨。貸してくれ」

「いいよ。一緒に使お?」

「やりにくいんだけど」


十六夜のノートを自分のノートに要点をまとめて写していく。

去年、というか半年前まで大変だったのにこの一年でだいぶ楽になった。

コツを掴んだというのもあるが、一番は集中力と精神が鍛えられたということだろう。

地獄に一年近く居ようとしているのになにも成長していなかったらそれこそ意味がない。


「もう二年生も終わりだねー」

「来年も同じクラスだと楽だなー」

「それは限りなく低いと思いますね」


そういう時雨の声音は少し落ち込んでいるようにも聞こえる。


「なんでそう言い切れる」

「毎年クラスは成績や授業態度など諸々を考慮して振り分けられます。私達の成績と授業態度ではバラバラにされるでしょう」


ま、当然か。

今楽しい分、三年になったら寂しい思いをすることになる。

どうぜ保健室に溜まるんだから変わらないと俺は思うけども。


「間宮はこの一年一緒にいてどうだった?」

「ただただうるさかった」

「もう!ツンデレはいらないって」

「お前マジで一回頭の病院行ってこい。そんで記憶ごと脳みそ取り換えてもらえ」

「楽しかったですか?」

「別に」


照れでも嘘でもない。

所々は楽しかったがそれよりも疲れの方が大きい。

勿論疲れさせたのは密着する勢いで俺に擦り寄るこの兎。


「わたしは本っっ当に!楽しかった!」

「それは誰の犠牲の上に感じたことだろうね。よく考えてこれからの行動に生かしてくれると嬉しいな。とても」

「ありがと」


腕を持っていかれたと思ったら俺の頬に当たるのは暖かくてとても柔らかい感触。

一瞬のこと過ぎて反応できなかった。

その代わりに反応してくれた人がいる。


「いつの間にそんなキスを許すようになったんだ。幸せ者め」


期待していた反応とは全く異なる形でなーおい。

ただこういう展開を何度も経験していると焦らなくなる。


「美咲さん!抜け駆けはズルいですよ!」

「落ち着け時雨。後ろから体重をかけるな腰がイカれる」


頭に乗っかるしっかりとした重量は着実に俺の首へとダメージを与える。

無敵も回避も転身も効かないスリップダメージ。密着度でダメージが変動とかにしたら強そう。


「天月さんもわざとか無意識か、胸を頭の上に置いて抱きしめているじゃないですか」

「っ!こ、これは!」


時雨が離れたとこにより俺のHPは残り一でなんとか耐えた。

スリップダメージは早急に対策した方がいいな。今度麻耶とゲームするときは注意しよ。


「お前ら甘すぎだぜ」


目の前に夏鈴の顔が来たと思ったらトドメを刺されてしまった。

ちゅ。といういやらしい音が聞こえたかと思うと八重歯を見せて満面の笑み。

どうやら後ろから発せられる怒りや焦りなどの感情は見えていないようだ。


「キスするなら口にしろよ」

「養護教諭。保健室での不純行為は止めるべきでは」


誰でもいいからこいつらを落ち着かせてくれ。

なんなら後ろからバットで殴ってもらっても構わない。


「よい。面白いから続けろ」

「やっぱだめか」


味方がいない状態で瀕死状態にされ、どうやって戦えと。

誰か保健室に来い。誰もいい。険悪な雰囲気にはなるが真島でもいい。むしろ険悪な雰囲気になって落ち着いて自分の行動を振り返ったらいい。

恥ずかしくて身悶えろ。


「拒絶しないんだ」


純粋無垢で不思議そうな顔をしながら十六夜が俺の腕を飲み込んだ。


「俺、好きな人出来たから。もうお前らとわちゃわちゃやることもないんだと思ったら今日くらいはいいかなって」


四人分の驚きの声が響いたのはいうまでもない。

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