第序話 共学に通っていながら青春する権利を棄権した俺
「おはざーす.....居ないのか」
薬品の臭いが漂う部屋で俺、間宮狼斗はいつもの席に着いた。
日当たりがよく暖かい。
特に春の日向は最高に心地がいい。
「ふぁあ.....毎日ご苦労さん.....間宮」
白衣を来た女性が大きなあくびをしながら入ってきた。
今年25歳を迎える鳴川先生だ。
「ま、これでも学生なんでね」
「なら教室に行けよ」
「それは.....あははは!」
「高校生が、青春しないでなにするんだよ」
「勉強でもしてればいいんじゃないですかね」
「お前みたいなのが多いから少子高齢化になるんだよ」
「すいませんね、ヘタレで」
高校生でありながら人と触れ合わず青春する権利を棄権した俺は誰もいない保健室で1人ノートを広げていた。
「治らないもんかね.....お前のそれ」
「んー。高校のうちにてのは無理じゃないですかねー。中学もそれで行ってない訳ですし」
「しっかりしろよ。私の仕事が増えるだろうが」
「でもその分給料は多く貰ってますよね?」
「これでお前が居なくなればただ給料が増えるだけになるんだよ」
この人なんで教師やってんだろ。
「なら教師辞めてもっと換金効率のいい仕事に就けばいいじゃないですか?」
「馬鹿め。養護教諭という仕事ほど楽な仕事はないだろ。出来れば男子校に行きたかった所だが家から遠いから諦めた」
この人なんで人間やってんだろ。
ナマケモノにでも転生すればいいのに。
「全国の養護教諭に謝ってください」
「面倒なのはお前のようにトラウマ抱えてでも学校に来る奴だ」
「仕方がないでしょう。通信制が整ってないんだから」
俺だって多摩川高校に通信制があればそっちに移動した。
けど残念なことに通信制はない。
「ま、問題さえ起こさなければわたしは構わんさ。問題さえ起こさなればな」
「男1人でなんの問題が起きるっていうんです?」
「休みにきた女子生徒を襲うとか。女子生徒を連れ込んで子作りするとか」
「真顔でなに言ってんだ」
その女子が怖くて保健室で勉強してるっていうのに……この教師は……人の心の傷を簡単に抉りやがって。
「人のトラウマを……」
「たかが冤罪吹っ掛けられた程度でなにがトラウマだ……」
「十分注意すべき部分では?」
冤罪でその程度と言えるなら大抵の罪は許せるだろうよ。
人によっては自殺を考えるレベルの事件ぞ。
「なんだっけ?ストーカー事件だっけ?」
「まあ」
「お前の味方でいるためにもう一度聞かせてくれ」
「本音は」
「暇だからなんか話せ」
「……いいですけど。女子にストーカー扱いをされたんですよ。俺は当然冤罪だから否定したけどクラスの皆どころか学年の皆は信じてくれなかったんですよ。それで不登校になりました」
簡潔にまとめるとこんな感じ。
その女子は学年ラインで「間宮にストーカーされた」と報告したあと、俺より先に不登校になってしまったため俺の罪が晴れることはなかった。
「人の不幸は蜜の味って本当なんだな」
「最低なコメントありがとうございます。今年も一年よろしくお願いします」
俺は早口で言ったあと教科書の文をノートにまとめた。
どうも皆さん。初めての方ははじめまして。そうでない方は、よぉ。また会ったな。
今作はラブコメです。
少し話しておくと主人公がやられたストーカー事件は作者である私が実際にやられた事を元にして
書いています。
誇張する必要がないほど、悲惨な日々でした。
今となっては笑い話でこのようにネタとして使えるくらいには心の傷は回復しています。
話は変わりますが最近、Vtuberにどハマりしましてよくアーカイブなどを見ています。
今これを書きながら「どーも。」さんのポケモン剣盾の動画を横で流しています。
無駄話を挟みましたが今作もよろしくお願いします。