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仲良いようで何よりだ

 今日は土曜日、うちの学校は土曜日でも部活動をするように義務づけられている。

 俺らの『ネット小説部』は土曜日でも特にやることが変わらない。

 なんなら家で執筆してればいいから部活動をする意味を感じれないだろう。

 ルナとかそんなこと考えてそうだよな。


「星宮ー」


 俺の名前を呼びながらノックもせずに部室に入ってきた人がいる。

 入ってきたのは朝日奈美夏(あさひなみか)先生だった。

 黒髪ロングで身長が高い、大人っぽい見た目の人だ。


 ルナは突然のことでびくってなっていた。

 いつもの毒舌ばかり見てたけどそういうとこもあるのか。

 美少女だからかギャップがあるからか可愛く思える。


「ちゃんとやってるか?」

「見ての通りちゃんとやってますよ」


 そう言い朝日奈先生は俺らを見る。


「あれ、新入部員?」


 ルナのことにやっと気づいたようでそんなことを聞いてくる。

 俺は自分で名乗るのかと思いルナの方を見る。

 伝わんなかったようで軽く睨まれる。

 え、ちょっと見ただけなんだけど。


「そうですね、新入部員です」

「へー、入ってたんだな」

「……先生ちゃんと働いてくださいよ。部のこと放ったらかしですよ」

「いやぁ、仕事が多くてな。いつも悪いな」


 そう言い朝日奈先生は頭の後ろに手をやる。

 ルナがどういうこと?と言いたそうにこちらを睨んでる。

 いや、喋って。お願いだから、絶対誤解招くから。


「あー、二人は初めてだな。今ノックもせずに入ってきたこの人は朝日奈美夏先生。現文なんかをメインに担当してる人でこの部の顧問をしてる。現文だからで顧問してるだけだからネット小説についての知識は皆無だ。」


 卒業した先輩から聞いた話だけどほんとに全くネット小説についての知識がないらしい。

 なんなら二次元の知識もほとんどない。

 そして部活には今回みたいに突然来るだけで普段は放ったらかし。


「で、こっちは一年の神無月セレナ。新入部員です。先生は知らないでしょうけど書籍作家って言ってネットで書いたものが実際に本として売られるほど人気者です」


 ルナが勝手に紹介されたからか書籍作家と言われたからかわからないがこちらを睨んでくる。

 だからそれやめて。何でもかんでも睨まないで。

 どういう気持ちなのかわかんないから。


 対照的に朝日奈先生は感心したようなへーといった態度で腕を組みながらなんか頷いてる。

 あんたわかってないだろ。

 適当にそれっぽい態度すんな。

 というか腕組まないでください。

 そのでっかい胸強調されて目線困るんで。


「まぁそんな感じで今年は今んとこ入部一人ですけど有望ですよ」


 なんか大会とか賞狙うわけでもないのに有望って何だろうな。

 まぁでもルナは書籍化してるわけだから実績あるってことでいいだろ。


「ってことは順調なのか」

「……まぁそっすね」

「……順調って何がよ」


 ルナが俺たちの会話がわからないといった感じで話に入ってきた。


「ん? ルナが入ったから順調ってことだよ」

「たった一人で順調なのかしら?」

「そりゃそうだろ、うちの部はそんな大人数が必要なわけでもないんだから」

「……そ」


 それで会話は終わったとばかりに執筆を再開する。

 あれ? 先生とは話さないの?


「なんかすいません。先生と話すの恥ずかしいみたいです」

「何勝手に変なこと言ってんのよ!」

「でも俺とだけじゃん。あれだろ、親の影に隠れる子どもみたいなもんだろ」

「誰があんたなんかの子よ!」

「仲良いようで何よりだ」


 またしても腕を組みうんうんと頷いている。

 ほう、先生には仲良いように見えるのか。

 まだしっかりとした毒舌は出てないからな、そう見えても仕方ない。

 今もまさに睨まれてるはずなんだけど、それは先生の目には入ってないんだろう。

 俺も欲しいな、そういう都合のいいものだけ見える目。


「じゃあまたなんかあったら言ってくれ」


 じゃ、と先生は手をあげてどっか行った。


「結局何しに来たの」

「俺も知らんけど現状確認とかじゃね?」

「大丈夫なの、この部」


 大丈夫だと思うよ。

 俺が入学する前からこんな感じらしいし。

 これが今年創設であの先生だったら不安しかないな。


 突然やってきて突然どこかへ行き先生が何しに来たかわからなかったけどいなくなったので俺たちは執筆に戻った。

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