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クソつまらなかったわ

 今日は部室に来てもルナはまだいなかった。

 まぁ毎日ルナの方が先というわけではないだろう。

 こんな日もあるだろうと考えながらパソコンを起動する。

 執筆しながら待つとするか。


 そこから少し経ってからルナが入ってきた。

 俺は執筆しながら軽くだけ確認する。

 なんだか嫌な予感がするな。


「あなたの小説読んできたわ」


 きました、この日が。

 昨日だけで読んできたのか。

 さては俺のファンになったな。

 全く嫌な予感なんて嘘だったな。


「クソつまらなかったわ」


(はい、今から議論を始めたいと思います。議題はもちろんこれ。

『小説書いてたら後輩で毒舌な書籍作家さんに罵倒されている件について』

 皆さんどう思いますか?)


(まぁつまんないのは事実だから仕方ないだろ)

(はい! そこ認めない! 認めたら議論の意味ないだろ!)

(でもつまんないのはほんとだろ?)

(そうだよな、感想欄もひどい)

(いや、ルナとそいつらが俺のファンにならなかっただけで面白いんだよ)

(……どこからその自信がくるんだよ。)


(はい!)

(なんだね?)

(ルナがまだ何か言いたいみたいだから聞いてみたらどうですか?)

(聞きたくないんだよぉぉぉおお! どうせあいつこの後も俺の心抉る罵倒するに決まってんだよぉぉぉおお!)


 脳内全俺で議論をしているとルナが話し始める。


「あなたの作品、描写が稚拙ね。情景描写も下手だけど心理描写が特に雑。キャラ達の考えが全く伝わってこない。そして昨日のあなたみたいな好感度無視の突拍子な行動。読むのを何度やめようかと思ったかわからないわ。はっきり言ってクソつまらなかったわ。駄作よ」


 ほら見ろ。

 完全に全否定。良いところを何一つとして言ってない。

 なんならクソつまらなかったって二回言ったし、駄作とまで言いやがったよ。

 もうやだ。この後輩、マジ無理。

 ……辛い。


「というか」


 なんだ、まだ言うことあんのか。

 俺のライフはもう0だよ。

 これ以上何言って心抉る気だ。


「あなたなんで現実恋愛書いてるの? 恋愛したことないでしょ」


 そんなの別にいいだろ!

 好きなもん書かせろ!

 恋愛してなきゃ書いちゃダメなのかよ!

 理想の女の子書いちゃダメなのかよ!


「それ言うならお前は異世界転生したことあんのかよ!」

「ないわよ! それとこれは別よ!」

「おんなじ小説だろーが!」

「実際に出来るかどうかが違うのよ!」

「現実恋愛だって現実に出来ないことあるわ!」

「例えばなによ!」

「えっ……と、高校生で通い妻とか?」

「それぐらい探せばしてる人いるでしょ!」


 え!? いるの?

 俺してないんだけど。

 何その羨ましいやつ、二次元だけだと思って我慢してたけどそれは無理。

 許すまじ、リア充爆発しろ。


「あ! そうだ、タイムリープ。これは現実にはできない」

「……それ、現実恋愛って言っていいのかしら。いつも疑問なのよね」

「異世界じゃないんだから現実恋愛だろ」

「けど実際現実では起きないじゃない。どう考えてもフィクションだけ。魔法みたいなものよ」

「まぁそうだな。タイムリープしたなんて聞いたことないな」

「そうよ、現実恋愛じゃないの。だから私が言ってることが正しいのよ」


 正しいって言ってもそれだと現実恋愛かける人が減るからなぁ。

 恋愛要素なんて現実恋愛以外の作品にも少なからず入ってるだろうからだいぶ減るな。


「お前恋愛したことあんの?」

「ないわよ。だから恋愛物は書いてないでしょ」

「まぁそうだな。でも異世界物に恋愛要素入れてんじゃん」

「……それぐらい入れるわよ」

「恋愛したことないのに?」

「うっさいわね、黙りなさいよ。年上お姉さん好きの変態!」


 何故だ、何故俺の性癖がバレているんだ。

 こいつにはそのこと話したことないはずだ。

 というか誰にも話してないんだけど。


「あんたの作品絶対メインヒロイン年上だからバレバレよ! 大学生に先生、一つ上の先輩って年上しかいないじゃない!」


 くっ、そんなことでバレるとは。

 次はこいつみたいな後輩書いてやろうか。

 でもそしたらロリコンって言われんだよな。

 こいつ幼児体型だし、どこがとかではなく全部なんだよな。


「別にいいだろ、年上。母性あんのがいいんだよ」

「それなら熟女書きなさいよ!」

「熟女は俺の範囲外なんだよ!」

「そんなの知らないわよ!」


 こいつといると口喧嘩ばっかで疲れるな。

 仕方ないから今回は俺が折れてやるよ。


「わかったわかった、今度はお前みたいなキャラ書いてやるよ」

「……やめて」


 蔑んだような目でこっちを見て冷たい声で言い放ってきた。

俺がせっかくロリコン覚悟で言ったのに……。

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