『今日』という日が終わる中で……
警察署の正面から出ていく二人だったが、一方が立ち止まった。
その方は、独り身な友達から連絡を受けた方で、歩みを続ける方に朗らかに言った。
「さっき、お洒落をしていて助かったみたいなこと、君、言ってたじゃん。君をよく知る僕には、そのニュアンスは大体、通じるものがあるんだけど、答え合わせ的に、もうちょい、君から聞かせてよ」
もう、すっかり元気を取り戻していた、そう言われた方は、ゆっくりと歩き出す友に述べた。
「誰かが何かを発言してくれる、って、やはり大きいことでさ…いや、俺、最近、色んなジャンルの本を読むんだけど、『身なりに気を使わなくなるのは、様々な意味で宜しくない』みたいなことを読んでさ…もちろん、見掛けが全てではないけど、実は俺、仕事もプライベートも今、色々と冴えなくて内心、ブラックだったんだよ…でも、今日、スゲー気持ちのイイ日で空元気だけど髪整えて、オシャレして本屋に行ったワケ!俺の性格なんだけどダラシナイなりをしていたら、俺は、心も、そうなっちまう傾向があってな…
まさか、あんなことに遭遇するとは夢にも思わなかったけど、…お前は全否定してくれたけど、髪はボサボサ、格好はグウタラだったら、何かの間違いでも、アイツに言われたように血迷ったかもな、って話だよ」
そう述べて、また、深刻な表情に陥りそうになる男に、聞いていた者は、
君に限って、それは、絶対にないってば♪と再度、言い、少し間をおいて、
「何もかも否定すれば、そうなる気もするし、逆も、また然りで、何でも肯定しようと思えば人間そうなれるんだよね…。」と呟くのだった。
【オシマイ】




