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兆し
ルアナ王国の果てに、古い遺跡が広がっている。
緑に覆われて廃墟とかしているその場に、不自然なまでに美しい女性が涙を流して座り込んでいる。
「もう少しだけ、待っていてください。リーブ様。あなた様をこのような場所に封じ込めるなど、許されるはずがないんです。絶対に許さない」
誰もいない。何100年も前からここは誰も来ない。禍々しい空気が立ち込め、人は1秒たりとも生きていられない。
「そう、もう少しだけお待ちください。私はあなたを解放するためだけにここにいる。私はあなたに会いたいのです。リーブ様」
熱に浮かされたように、言葉を紡ぐ。
禍々しき気配は少しずつ広がり続けていた。ここ数年、特に酷くなっている。
何故なのか?
「もうすぐ会えるのです。あなたの解放が早まるよう、動いてみます。」
そう、解放はもうすぐ。時が満ちるまで待っている。けど、少しくらい。
女性は立ち去った。