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Spirit of Lore ~精霊と勇者と伝承~  作者: 青空
第一章 ~新たな伝承の始まり~
4/4

レイ

「あの時はちょうど森に動物を狩に行っているときだったんだ。」 


そうレイが話し出した。


俺が住んでいるのは、小さな村だ。

小さな村だからといって不便なわけでも、貧乏なわけでもない。

なぜなら、

この村は、森や川の自然に囲まれているため、村のみんなで育てた野菜、果物、薬草や、森の動物達の肉や皮が新鮮で、王都の人々に喜ばれているため、村の食料、お金には困らずに住んでいるからだ。

そして今日も、俺は森へと狩に出かけるところだ。


「いってきます。母さん。」

「気をつけて、最近は化け物がこの村の近くにも出ているらしいから。」

「分かってるよ。じゃあ。」


そう言って家のドアを開け、村の門まで走っていく。

村の人達に挨拶をしながら向かっていくと、門に見知っている顔が見えた。


「おう、レイ。今日も狩りか?」

「おはよう。ワイアットさん。」


ワイアットさんは、最近この近くにも出始めた化け物から守るために派遣されてきた王都の騎士だ。

村の人達にも優しく、門の見張りが交代したときは畑仕事を手伝ったり、相談にのってくれる。

母さんと知り合いみたいで、よく俺の家でご飯を食べたり、泊まることが多い。

いつもは鎧をしているが、お風呂からでた時に見るあの筋肉は言葉がでないくらいとてもすごい。

ついでに、一度母さんの話を聞いてみたら、いつもの優しく、強そうな顔が真っ青に染まり、そのままぶつぶつと壊れ始めたので、一生聞かないことにした。

母さんは、昔何をしたんだろう……


「はい。今から森に。」

「そうか、聞いているだろうが最近、化け物がこの近くにも出ている。まぁ、お前なら大丈夫だろうがな。一応、気を付けろよ。」


化け物か、母さんからも聞いたな。

少し前から急に現れた、謎の生物。

この村に危険がないといいんだけど。


「分かってます。母さんと、ワイアットさんから鍛えられているので任せてください。」

「おう。今日のご飯も楽しみにしとくぜ。」

 

「なんか、静かだな。」


ワイアットさんとの話しを終えて、森の中に入ったものの、いつもは動物達の鳴き声や、草木が風に揺られて森の音楽を奏でているのに

今日は風がなく、動物の鳴き声すら聞こえなかった。

レイが森の不穏な雰囲気に警戒していた時


「ぎぎやぁぁぁ!!」


と、動物とは違う声がした。


「なんだ!?」


不安になりながらも静かな森の中、足音をたてないようにそっと音のした方へ歩いていった。


「こっちの方からしたはず…」


狩りでなれた耳を頼りに音のした方を探し、草木を掻き分けていった。

するとそこには巨大な猪のような化け物と、岩にもたれかけ眠っている少女がいた。


女の子!?

なんでこんなところに。

レイは少女がなぜこんな森の中で眠っているか考えたが、今はそれどころではなかった。

すでに少女の前に猪の化け物が迫ってきていたのだ。


「でぇぇやぁぁ!!」


レイは腰につけたナイフを手に取り、化け物へと向かっていき斬りつけていく。

だが、持っているナイフでは致命傷はつけられなかった。

そしてレイに気づいた化け物はレイに向かって突進をしてきた。


「ぎやぁぁあ!!」

「くそ!!」


なんとか化け物の突進から避けたものの    どうする?

このナイフじゃこいつは倒せない       考えろ、何かないのか…  

だが、そんなレイにかまわず化け物は突進をしてきた。

その時だった

後ろからまぶしい光が見え、レイを包み込んだ。

それは少女の横に落ちていた剣だった。

これだ!!

その光輝く剣を持ち、レイは突進をしてきた化け物へと向かっていった。

まずは足!!

突進をよけ、化け物の足を狙いながら剣を振り上げる。


「ぎゆぁぁぁぁ!!!」


足を斬られた化け物はドシンっと体制を崩した。

今だ!!

動けなくなった化け物にレイは手に力をこめて、斬りつけていく。


「はあぁぁぁ!!」


化け物は何度か立ち上がろうと叫んでいたが、

レイの攻撃に耐えられず

そして、黒い霧となって消えていった。


「やったのか?」


レイは目の前から化け物が消えたのを見たと同時に、安心感と喜びが一斉に込み上げてきた。

やった!!

やったんだ俺。


「ふぅ…そういえばこの剣は何なんだ?あの女の子の物なのか?」


女の子?

あっ!!!

レイは自分が生きていた喜びで少女の事を忘れていた。

急いで少女のいた方を見ると、そこには

最初とかわらず、気持ち良さそうに寝ている白い髪の少女がいた。


これが俺とソフィとの最初の出会い。


魔王の復活まであと・・・364日

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