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第9話 最大最強のライバル




「諒多くん・・・好き・・・付き合って・・・」


うわ、何だこのシチュエーション・・・


お嬢が、俺に告白!



・・・んなわけない。



正しくは

「諒多くんのセンス好きだわ。プレゼント買うのだけれど、付き合ってもらえない?」

である。


どうやら男物のプレゼントを買いに行くのに付き合って欲しいということらしい。



「今日は委員会も無いし部活も休みだから、帰りに行ってみる?」


「ほんと?ありがとう!美央も誘ってみよっと。」



おおっと棚ボタ!俄然放課後が楽しみになって来た!




俺は「男物のプレゼントを買いに行く」というところは伏せて、お嬢を餌に真を誘った。

ごめん、真! でも、これってWデートみたいだな・・・




「時計をあげようかと思っているのだけれど、どんなのがいいのかよく分からなくて。」


デパートの時計売り場でお嬢のプレゼントを見繕っている俺の隣で、真の機嫌がどんどん悪くなっている・・・


「えぇっと・・・プレゼントの相手って彼氏?」


「ま、腐れ縁みたいなもんだけどね。」


お嬢は否定しなかった。哀れ、真くん・・・お兄ちゃんが後で甘いものでもご馳走してあげよう。


「それで、その彼氏はどんな感じの人?」


「頭はいいけど、お調子もので、掴みどころが無い・・・感じかしら。」


「今はどんな感じの時計をしてるの?」


「もうボロボロなのに、私が昔あげた初期のGショックを使っているわ。」



そういえば、最近初期のGショックをどこかで見たな・・・あれは何処だったか・・・

クラスのやつじゃないし、部活のメンバーでも無い・・・

ん?あれ?たしか生徒会長がやけにボロボロのGショックをしていたような・・・



「生徒会長もたしかGショックつけてたよね?」



そう言ってお嬢の顔を見ると、見る間に顔が紅くなっていく・・・


嘘だろっ!あのお嬢が横恋慕・・・しかも相手は神さまの彼氏・・・

じゃあどうして今日わざわざ神さまを誘ったのか!

これはとてつもない波乱の予感・・・大変なことにならなきゃいいけれど・・・



「明日香、これなんかどう?」


お嬢が自分の彼氏を好きだとも知らずに、親身になってプレゼントを探している神さま・・・

あぁ、この人を傷つけたくないな・・・


「あいつの趣味ってイマイチよく分からないのよね。諒多くんと真也くんが選んでくれた物の中から本人に選ばせようかしら。」


「明日香から貰った物であれば、何でも喜ぶと思うわよ。」


「それはそうだけど・・・そうだ!テレビ電話で見せてみようっと。」



え?ここでテレビ電話に生徒会長が出たら、神さまが気付いてしまう!

ちょっと待てよ・・・お嬢の話だと随分前から付き合ってるみたいな口ぶりだった・・・

ってことは何か?ずっと前から二股かけてたってことか?!あんの、エロ会長が!

世間的には神さまが彼女ってことになってる・・・

で、いわばお嬢は日陰の身。長い間我慢してきたけれど、それももう限界!

こうなったら神さまに何もかもぶちまけちまえ!とそういうことか!?



「うわぁっっと、ちょっと待った!何も今テレビ電話しなくても、写メで撮って後でまた買いにくれば・・・」


「嫌よ!面倒臭い!」



この女・・・何が何でもやる気だ・・・

・・・



「嫌だこんな時に、私の携帯電池切れてる・・・」



神さま・・・いやいや神様ありがとう!これでお嬢だって諦めるはず!



「美央、携帯貸して!」



そこまでやるか!女の執念って恐ろしい・・・

うぅっ・・・万事休す・・・



・・・・・・

「あ、もしもし明日香だけど。うん。美央も一緒。え?美央に話?うん、今変わる。」



携帯の画面を見る神さま。そこに生徒会長の顔を見つけ、ショックのあまり言葉を失う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ことは無かった・・・



「文化祭の件は了解。先生にも報告しておく。ところで!修一!明日香の選んだ物だったらどんな物でも無条件で嬉しいわよね?」


『もっちろ〜ん!愛する明日香から貰える物なら石ころだって宝物さ!』


「ほらね!」


得意そうに携帯の画面をお嬢に向ける。

お嬢は照れているらしく「一番ダサいのにするわ」と言って電話を切った。



俺の頭は話についていけなかった・・・どうなってるんだ?


「早く買い物済ませて、お茶くらいご馳走しなさいよ!」


「は〜い。会計して来ま〜す。」お嬢はペロリと舌を出して、レジへ向かった。




**********************




「私が修一の彼女?!有り得ないわ・・・」


神さまはミルクティーを飲みながらガックリと肩を落とした。


「噂ではそういうことになっていて・・・」


「修一と明日香は小学校の時から付き合っているのよ・・・それに、私、修一みたいなタイプ趣味じゃないし。」


「ちょっと、それじゃ私が趣味悪いみたいじゃない・・・」



お嬢がむくれる・・・そしてその横にもうどうでもいいという顔の真・・・


どうやら神さまと生徒会長が付き合っているというのは根も葉もない噂で、生徒会長は幼い頃からお嬢にベタ惚れらしい。

それでこの間HAYATOさんが生徒会長に厳しかったのだ・・・納得・・・

あの兄バカぶりなら当然だろう・・・



「え、じゃあ、神永さんのタイプってどういうの?」


俺はどさくさに紛れて、聞いてみた。



「・・・アンパンマン」


「ア・・・アンパンマン?」


「意外でしょ。美央ってば昔からこんなこと言って、だから未だに彼氏の1人も出来ないのよ。」




***************************



帰り道、真は「明日から何を目的に生きればいいのだ」なんて夜空を見ながら嘆いてた。

ま、真がお嬢に本気じゃないことは初めからわかっていたから、明日になればケロッとしているだろう。


「よしっ!お兄ちゃんが大判焼きを買ってあげよう!」


「いらねぇやい!」


「おばちゃん!大判焼き2つ!あんこの方ね!」




とりあえず、俺の最大最強のライバルは「アンパンマン」らしい・・・


俺は大判焼きを一睨みして噛み付いた・・・




少々間があいてしまいました・・・中原です。

今回は諒くん、随分テンパッてしまっています;

私も仕事でテンパッているので、その影響かも・・・なんて( ̄▽ ̄;)

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