第8話 HAYATO登場
HAYATOさんが現れたのは俺たちが集まってから1時間が過ぎた頃・・・
「みんな、元気にしてた?」
う〜ん、さすが芸能人・・・オーラが違う!
ニット帽にサングラスをかけてなるべく目立たないようにしているのだろうが、スタイルとセンスの良さは隠しようが無い。
「隼人兄、RIRICOのサイン貰って来てくれた?」
「明日香のために、ちゃんと貰って来たよ〜。でもRIRICOなんかより明日香の方が断然可愛かったぞ〜。」
HAYATOのクールなイメージが音を立てて崩れた・・・デレデレの様子でお嬢の頭を撫でている・・・これでは、親バカならぬ兄バカだ・・・
「修一、おまえちゃんと生徒会長やってるだろうな?つまんねぇ学校にしたら承知しねぇぞ!」
「あ・・・はい・・・ちゃんとやってると・・・思います・・・」
「お前には色々(・・)と聞きたいことがある!今度時間作るから覚悟しておけ!」
「う・・・はい・・・」
HAYATOさんはどうやら生徒会長に厳しいらしい。いい気味だ♪
「隼人さん、時間が無いので話を進めます。」
生徒会長を苛めて楽しんでいたHAYATOさんが、神さまの言葉にビクッとなった。
「美央ちゃんは、相変わらず僕に冷たい・・・どうしてなんだ?明日香、お兄ちゃん美央ちゃんに何か悪いことしたかな?」
「隼人兄が美央のこと追い掛け回したからでしょう!小さい頃から着せ替え人形扱いされたのがトラウマになって、女の子らしい服が未だに着れないのよ、この娘・・・」
「だって、美央ちゃんフリフリの服とかも似合うのに、全然着てくれないから・・・お兄ちゃん良かれと思って・・・シクシク・・・」
「あ〜もう!そんな昔のこと気にしてません!隼人さん9時に出なくちゃならないのでしょ!収録に間に合わなくても知りませんからね!打合せが終わるまでは一歩も外へ出しませんから!」
仁王立ちで言い切った神さまの迫力に、HAYATOさんもしぶしぶ席に着いた。
それから俺たちは神さまの仕切りで、当日の流れとHAYATOさんが考えてきてくれた曲目をちゃっちゃと確認し、店を出た。
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店の前で皆と別れ駅から家に向かって歩いている途中、真が心配そうに聞いてきた。
「諒・・・お前やっぱり、神さまに惚れただろ。」
「な!?なんで?!」
「お前にしては珍しく分かりやすいぞ、今回。」
「う・・・そうなのかなぁ?惚れちゃったのかなぁ?自分でもよく分からないけど、気になって仕方が無いのは確かだな・・・うん。」
「ま、いい傾向なんじゃない?お前今まであまり本気になったこと無いだろ?俺、ちょっと心配だったんだ。」
真は俺なんかよりずっと大人でいい奴だな・・・
俺は弟に負けた気がして少し悔しかったが、嫌な気分では無かった。
昔から真は周りのことがよく見えていた。
対して俺は自分本位・・・
「なんか俺ダメダメだな・・・真くん、こんなお兄ちゃんを見捨てないでね。」
「しょーがねーなーダメダメ兄ちゃん。神さまへの恋も成就しそうにないしね。兄思いの弟が骨は拾ってやるよ!大船に乗った気で玉砕しなさい!!」
ひ・・・ひどい、真くん・・・