第7話 活動開始!
「諒多くんと真也くんと私で、今回の目玉BlueDogsのライブ企画を担当します。かなり忙しくなるけれど、宜しくお願いしますね。」
放課後の教室。神さまは凛々しい表情で話を進めて行く。
「知っているとは思うけれど、BlueDogsのボーカルHAYATOはこの高校の卒業生で、既に当日のアポは取っています。」
BlueDogsというのは半年前にメジャーデビューしたバンドで、楽曲の良さも去ることながら、ボーカルHAYATOのルックスの良さで老若男女を問わず大ブレーク中のバンドである。
ちなみに公表はされていないが、HAYATOはどうやらお嬢の兄らしい。
言われてみれば整った顔立ちとセックスアピール、そして底辺にある品の良さ・・・確かに似ている・・・
「早速だけれど、明日の夜HAYATOさんと打合せを行うことになっています。お二人とも出席出来るかしら?」
「もちろん!何が起ころうとも出席します!」
意気込みすぎて妙な答えになってしまった・・・
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翌日・・・
俺と真は一旦家に帰って着替えてから、待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所は品の良い料亭で、入口をくぐると小柄な可愛らしいおばさんが僕たちを迎えてくれた。
「修一坊ちゃんのお友達ですね。いつも坊ちゃんがお世話になっております。さぁさ、奥の部屋で皆さんお待ちですので、どうぞ。」
どうやらこの店は出来すぎ君の両親が経営するお店らしい。
建物の一番奥まった部屋の戸を開けると、既に生徒会役員が勢ぞろいしていた。
「HAYATOさんは少し遅れると連絡がありました。お二人とも少々帰りが遅くなっても大丈夫?」
「家はその辺放任なので・・・問題ないっす。」
初めて見た私服姿の神さまは、いつもより少し女性らしくてなかなか直視出来ない。
俺がモジモジしていると、小さな小さな声が聞こえた・・・
「あの・・・この間は・・・助けて頂いて、ありがとうございました。」
薄いピンクのワンピース姿のユキ姫が真っ赤になりながら、俺たちにお礼を言ってくれた。
ん〜文句なしに可愛い・・・
「ごめんなさい・・・私、あまり男の方に慣れていなくて・・・」
「ちょっとぉ、結喜、僕だって男なんだけど。」
「修ちゃんは別よ。弟みたいなものだもの。」
弟?!生徒会長を弟扱いするユキ姫・・・とても意外だ・・・
驚きすぎて口から言葉がこぼれていたらしく、神さまが笑って教えてくれた。
「意外じゃないわ。修一は勉強は出来るけど、それ以外はどうしようもないバカな弟みたいなものよ。」
「でも、だったらどうして生徒会長に?」
「ここぞという時の決断力だけは天下一品なの。」
「それしか取り柄が無いみたいに言うなよ〜美央!」
美央!呼び捨てかよっ!
それに何気に神さまにソフトタッチを繰り返しているし・・・かなり悔しい・・・
聞けば、4人は幼馴染で幼稚園からずっと一緒だったとのこと。
家も近所で親同士も親交があるらしい。
生徒会長と神さまは親同士も認めた仲ってことか・・・
「ところで、運営委員の中に葉山 可南子って娘がいたでしょ?あの娘、修一狙いらしいわよ。」
お嬢が面倒臭そうに言った。
「ほう、見る目があるいい娘じゃあないか。ところで、美人か?」
調子に乗る生徒会長の頭を隣の神さまがポカッと殴る。
「あんたのその軽〜い発言で、被害を被るこっちの身にもなってみなさい!」
全くだ!もし、その葉山可南子が生徒会長の恋人である神さまに逆恨みでもしたら・・・
これはしばらく注意が必要だな。
この頼りない生徒会長の変わりに、俺が神さまのナイトになってやる!