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第6話 最強カップル




今朝も生徒会「清く・正しく・美しく」の三役員は注目の的だ。

今日は朝から体育館に全校生徒を集め、文化祭について生徒会からの発表があるらしい。


今どき珍しく清楚なユキ姫。

可憐で守ってあげたいタイプ。元々俺はこういうタイプに弱い。

黒目がちな瞳に小ぶりな鼻と口。柔らかそうな髪が肩の辺りで揺れている。

いつも背の高いお嬢と神さまの横に居るから、余計に華奢に見える。


三人の中でも一際華やかなオーラをまとっているのが、お嬢。

カールがかった茶色い髪に、目鼻立ちのはっきりした顔。お祖父さんがフランス人らしい。

モデルばりのスタイルで、同じ制服を着ているとは思えないほど派手だが、育ちの良さからか下品な感じは全く無い。


そして、神さま。お嬢の隣にいるから目立たないが、実は結構な美人。

夏だというのに彼女の周りだけ涼しい風が吹いているかのような爽やかさ。

すっきりとした目鼻立ちで、肌はユキ姫に負けるとも劣らない白さ。

背中まで届く黒髪は、真っ直ぐで彼女自身を体現しているかのようだ。



「神さまのファン、結構多いよ。しかも、熱烈なのね。」

俺が神さまを見ているのに気付いたのか、真が話しかけてきた。


「しかも、彼氏いるっていう噂。ほら、生徒会長の(たちばな) 修一(しゅういち)。」



壇上に目を向ければ、神さまの横に噂の彼氏・・・

学年一の秀才で生徒会長、しかも爽やか系美男子・・・

話したことも無いけれど、既に存在自体が嫌味なやつだ・・・


でも、確かに二人が並んでいると絵になる。美男美女のカップル。

しかも生徒会長と副会長・・・これでは、立ち入る隙が無いってものだ。



俺の恨めしい視線に気付きもせずに、壇上の出来すぎ君は話し始めた。



「皆さん、おはようございます。ついに【からたち祭】の時期がやって来ました。今日は運営のお願いをする為に集まってもらったわけですが、まず実行委員長は私、副委員長は神永が行います。」


やっぱり、文化祭もカップルで仕切るのかよ・・・例年通りで当然と言えば当然だが・・・


「私たちだけでは準備に手が回らないため、10人の運営委員を選出したいと思います。書記の一条、会計の野々宮は運営委員に入りますが、その他あと8名の方に運営委員をお願いしたいと思います。自薦他薦は問いません。ただし!【からたち祭】が無事終わるまでは、フルに動き回って頂きますので、覚悟はして下さい。」


委員長はミーハーが入り込まないように、しっかり釘を刺しつつ生徒たちを見回した。

こんな場合、好き好んで自薦する奴なんて見たことが無い・・・



無い・・・



・・・

が!気付けば俺は手を挙げていた・・・真の腕を一緒に掴んで。



(俺自身ですら)予測不能の行動に驚いて俺を見る真。


「おい!諒!何してんだよ!」


真が慌てて手を下ろそうとしたが、俺はありったけの力を込めて下ろさせなかった。




「運営委員、やります!」




皆が一斉に俺たちを見る。



壇上の神さまと目が合った。

「2年2組、矢野諒多さんと真也さん。双子のご兄弟です。」


委員長は神さまに頷き

「立候補者2名受理します。では、残り6名、明日までに選出お願いします。」




***************************



「どういうつもりだよ、諒!俺、運営委員なんてやらないからな!」


「まぁ、そう怒るなよ、真。手が勝手に上がっちまったもんは仕方が無いだろ。」


「勝手に上がるか!どうせ、神さまとの接点が欲しいだけだろ!でも、神さまは委員長とデキてるんだって。諦めろよ!な、諒、今から一緒に辞退しに行こう!」


「神さまは・・・本当そういうんじゃ無いって。でも面白そうじゃん。やろうぜ真!」


「じゃあ、お前勝手にやれよ!俺を巻き込むな!」


「一人じゃ心細かったんだよ・・・真と一緒の方が楽しいと思ったし・・・それに、あんな全校生徒の前でやるって言ったのに、今更断るなんて格好悪くて・・・」




俺は真が最終的にはOKすると確信していた。


・・・


真は俺の弱った顔にめっぽう弱い!


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