like a fish living in the deep sea
死体おろすかのごとく 床につく
水濡れた髪も そのままに
まくらに染みこむ 滴まにまに
また明日とかわした約束 破棄したい
大声で吐きだしたい
言葉つらつらと
夜ごとひとりで 没潜行
なみしぶき なみしずむ
あわくもあわさり なみしずく
しずけさなかに さかなたち
よぎり ねむる ねむれ
ねむれぬ よるおよぐ
鱗外套はおり 鰭靴はいて
鰓呼吸で 夜よぎる
虫の音 弱音 酔いどれ 千鳥
月の輪 光り よこしま 暴き
夜露したたる繭つむぎ
夜風ささやく ささやかに
進めども進めども あしぶみ
厚い靴底 無知の印
あしぶみ あしぶみ
地に落ちる 雨か汗
ひた ひたり ひた
ひら ゆたり ゆた
ゆら ゆらり ゆら
宙で揺れる光は、
「自らが燃えなければ
何処にも光などない」と言った。
しかし、明かりを灯せば
己の醜い姿も露わになってしまうよ
それでいいのか
それでもいいのか
どこまでも隙のない夜を
射刺す月光の
流れるような滑面に
逆立てた鱗を引っ掛けながら
泳ぐがいい
魚族の癖に正しい泳法も知らない
無作法を笑え
しかしお前は決して笑うな
いつまでも愚かしく溺没し
見苦しく喘いでいろ
誰ひとりとしてお前に手をかさず
誰ひとりとしてお前を認めない
誰ひとりとしてお前のことを想わず
誰ひとりとしてお前を記憶しない
誰かひとりがいるのだとしたら
それはお前自身だから
今はただ眠れぬ夜を泳げ




