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キャリアアップ?

 確かに、今まで受け持った生徒達も貴族のご令嬢(そもそも、豊かじゃなければ三ヶ月から半年ほどとは言え、人一人を住み込み&三食おやつ付きで雇えません)ですし。ありがたいことに、生徒やその親御さんからも私の授業は好評でした。

 とは言え、私はご存知の通りバリバリの庶民です。本来なら皇女様は前世のように、新年のご挨拶でバルコニーで手を振ってくれるのを、人混みから遠目で眺める存在です。

 そんな私が皇女様の家庭教師に選ばれたのは、父が教えてくれた『ディアスキア語』が理由でした。

 皇女様とくれば通常、皇国内の貴族へと降嫁するんですが――半年ほど前に、ディアスキア国王から婚姻の申し出がありまして。皇女の兄君であるイベリス帝がお受けした為、ディアスキア語を学ぶことになったのです。


(キャリアアップ、なんだけど……んー、相手が高貴すぎて現実味がないって言うか。いっそ、不穏な感じがすると言うか)


 そうは思いましたが雇い主が雇い主な為、断ることも出来ず。結局、私はいつものようにトランク一つで皇宮へと向かいました。


(……うわぁ、お姫様だー)


 そして、翌日の授業初日。ご対面となった皇女様は、思わず子供のような感想になってしまうくらい可憐でした。

 新雪を思わせる銀髪巻き毛に、同色の長いまつ毛に縁取られた深緑の瞳。年は二つ(確か十五歳です)しか違わない筈ですが、この愛くるしさは何なんでしょう。同性の私ですら「守ってあげないと!」と保護欲を掻き立てられます。


「ミナです。よろしくお願いします」


 とは言え、教師かつ雇われの身としては、節度を持って接しなくてはいけません。

 内心で感嘆のため息をつきつつも、私は淡々と名乗り、ドレスの裾をつまんで一礼しました。苗字がないのは、私が庶民だからです。


 ……仕事モード(私はロッテ○マイヤーモードと称してます)の時の私は、こんな風に良くてクール悪くて無愛想なんですが。

 この時、皇女様――ルナリア様には、媚びない態度を気に入られ「お友達になりたいわ!」と思われたそうなので、世の中って解らないですよね。

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