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女家庭教師への道

 生まれ育った村から馬車でおよそ一日、北に向かって到着するリアトリス皇国は、日本の京都をイメージして頂くと解りやすいでしょうか?

 いにしえの都であり、皇帝がいて。文化や学問には秀でていますが、現在はかつての将軍が起こしたディアスキアの方が活気があります。こちらは、さしずめ江戸でしょうかね?

 とは言え、私がリアトリス皇国に来たのはここに『家庭教師組合』があるからで。

 教会の神父様に書いて貰った紹介状こそあれ、学校に通っていない私は最初、訝しげに見られましたが――筆記と実技の試験でほぼ満点を取れたので、無事に組合に登録することが出来ました。ちなみに『ほぼ』だったのはオルガンとピアノだと、音の出し方のコツが違ったからで。これは組合にあるピアノで練習させて貰ったことで、すぐに改善することが出来ました。


 さて、トランク一つでリアトリス皇国に来た私でしたが、最初の数日に組合で紹介された宿に泊まった(ピアノに慣れる間)だけで、すぐに最初の生徒を受け持つことになりました。嫁入り前の娘の為に、女性の家庭教師が欲しいものの。一方で、一般常識以上の学問や研究をする女性は好まれませんから、需要と供給が一致してないんですよね。

 ともあれ、こうして私は無事に住み込みで職に就くことが出来ました。

 生徒との年の差は、実のところそれ程ないんですが――格好から年より上に見られますし、中身がアラサーですから(転生後の年齢を足すとアラフォーですかね?)少なくとも、舐められることはありませんでした。


 内気で人見知りの激しいお嬢様には、無理強いせずに少しずつ距離を縮め。

 お転婆なお嬢様には、得意なもの(彼女はダンスでした)を見つけて伸ばすことから始め。

 女に学問は必要ないと言うお嬢様には、それを否定はせず(まあ、事実ではあると思いますから)美しさに磨きをかける為の手段であることを伝えました。


 おかげでお嬢様方との関係は良好で、私の女家庭教師としての評価も上がりました。信用があってこそ、次の仕事に繋がりますから何よりです。

 ……とは言え、まさか皇女様の家庭教師の話が来るとは思いませんでしたけどね?

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